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Episode20 異能再演地底劇場《クン=ヤン》①

「―――さあ、再演(アンコール)を始めよう! 終演(カーテンコール)にはまだ早い!」

 閉じる幕を遮って、手を突っ込む。大きな力に押されて挟まれそうになりながらも、私は自らの最大の力を振り絞り、強制的なアンコールを。徐々に閉じる力のほうが弱まってきて、私の開く力のほうが強くなってきた。グググッ―――と、力任せにこじ開ける。すると、バッと光がカーテンの中から漏れ出てきて……。

 ―――新たな、幕開けである。

 私を模した人形が、何かよくわからない剣を握り、ウボ=サスラを模した人形に斬りかかる。そのウボ=サスラ人形が手に持つ剣―――恐らく“純聖剣”最果てよりの希望(エクスカリバー)―――がそれを防ぐが、その私人形が持っている剣のエネルギーの方が上回って―――ついにウボ=サスラを、その剣で打ち倒す。

「そうだ、こうすれば良いんだ!」

 不思議と全てがうまくいくような感じがして、そんなことを口走った途端、一気に私の意識は浮上していった。深い水底から、暗闇から、私は、地上へ―――。


 ―――目覚めるとそこは、地底世界であった。

 否、地底世界にしか見えない、どこかである。そして、眼の前にはウボ=サスラ。倒れた姫様とゆうかりんが、そこにはまだ眠っている。

 わずかながら感じるこの領域に響く胎動に、私は心当たりがあった。

 私は、持っていた“呪啜剃刀”妖魔封印刀・蠅(バアル=ゼブブ)を地面に突き刺し、頭の中を駆け巡るもの、おそらくはある種の呪文を口から唱える。それはいかにもな雰囲気をまとっており、怪しげ、そして何かこの状況を打破してくれそうな予感がした。

「ウボ=サスラ、始めよう。私達の、戦いを」

 私達―――キュグデを追い求める天遥の執着心から始まったこの戦い。そして、その執着心を利用し顕現した最後の災厄―――“無限にして終着、あらゆる生命の行き着く先。神を生みし絶対にして相対する巨大なる魔、虚無の神にして全ての始まりたる原初の魔王アザトースの秘められし双刻する対の星”と評する他ないウボ=サスラ。

「呪文詠唱―――」

 その討伐を以て、

「―――それは満たされぬモノ。虚空、絶対に満たされない空の杯。ヒトが、未だ観測できぬ窮極(きゅうきょく)にして最後、最初の門。それから漏れ出る虚空は、未だこの星には到達し得ぬ。宇宙(そら)とは、(から)にして最大の容量を誇る原初の器。

 ―――それは(けが)されたモノ。脈動、絶対に浄化されぬ満杯の受け皿。ヒトが、全てを掌握しきってしまった始まり、終局の舞台。それから漏れ出る何かは、未だ広がる宇宙には届き得ぬ。大地(さいだん)とは、満杯にして最小の容量を隠し続ける最新の器。

 ―――それは深浅のモノ。始まりの雫、絶対に穢されぬあるかもわからぬ大釜(おおがま)。ヒトが、未だ全てを掌握しきれない終幕にして始解の溜まり場。それから漏れ出る水は、未だ異端の大地には届き得ぬ。大洋(せいはい)とは、穢れを許さぬ古来よりの中立の釜」

 この戦いは決する―――!

「―――それを満たせ、それを浄化せよ、それを穢せ。汝、全てを喰らい尽くすもの。汝、新たなる幕を開く、新世界の守護者(キーパー)なり!―――来たれ、全てを超越した再演するもの!」

 そのわけの分からぬものに当てられたかもしれないウボ=サスラは、狼狽(うろた)える。

「な、何をする気ですの?!」

 そして私は叫ぶ。高らかに、私の心象風景の、真なる名を! 叫べ! その名は―――

「我が心の内は、『影の裏の“かなしき女王(スカアハ)”』の名にあらず! 私の心の内は―――『降臨せし禁忌の都:異能再演地底劇場(クン=ヤン)』―――! 新たなる境地―――〈フェーズ:アンコール〉を切り開いた新世界の管理者にのみ開ける、“世界”よりの特権である!」

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