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Episode18 神話、顕現す。①

「―――今、私は猛烈に気分が良い! 歌の一つ歌いたいような気分だ。―――だからな、私の最高を、お見しよう! 呪文詠唱―――太陽、少陰、少陽、太陰。易に太極あり、これ両儀を生じ、両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。八卦は吉凶を定め、吉凶は大業を生ず。希望、それは最果てより来る。我らが“世界”のさらに向こう……窮極(きゅうきょく)の扉を超えし“世界”の最奥。そこから生まれし、一本の剣。それを今、この地に降ろそうぞ!―――『無限収斂』―――“純聖剣”最果てよりの希望(エクスカリバー)!」

 長々とした仰々しい詠唱が終わると、瞬間、ウボ=サスラの右手に―――“陽聖剣”至高天へと至る剣ガラティン・プリーステスを握った、やけどだらけの右手に、光が灯る。

 その光は、何千、何万、何億、何京もの周回を繰り返し、やがて徐々に剣の形をなしていく。そして作られた剣は―――全ての願いを受け止めたかのような、神々しき光。

 しかして、それに飲み込まれないほど、強く作られた輝きの剣身。

 まさに伝説の聖剣―――かつてブリテンの騎士王アーサー・ペンドラゴンが湖の妖精から授かった、世の中に“聖剣”と伝わる剣の中で最上の性能を誇る剣―――聖剣・エクスカリバーの名を冠するにふさわしい剣であった。

「クッ―――前衛交代(スイッチ)! 輝夜!」

 握っていた“陽聖剣”至高天へと至る剣ガラティン・プリーステスを奪われたゆうかりんが体制を崩し、胴が隙だらけになってしまった時に、姫様が助けに入る。その手には、見覚えのない剣が納められている鞘が握られていた。姫様は、言葉を唱えながら、その剣を鞘から抜く。

「―――……其れは、大いなる宿命の刃。紅く染まるは王の血により。汝、総ての善を打ち倒し、我の覇道を進めるべし! 来たれ……『大罪の、紅き離反の剣サタニズム・クラレント』―――!」

 それは、ウボ=サスラが握る“純聖剣”最果てよりの希望(エクスカリバー)と同じアーサー王伝説に登場する、アーサー王の実の息子にして最大の離反者。普通ならば、ダンテ作・『神曲・地獄篇』の最後に描かれた地獄の最下層、第九圏コキュートスの中の第一の層たる血縁者に対する裏切りを行った者が堕ちる地獄―――「カイーナ」に堕ちていても不思議ではない反逆の騎士―――モードレッドが所持していたとされる実質的な親殺しの大剣―――邪剣・クラレント。

 そのクラレントにアーサー王は自らの手に握っていたエクスカリバーを落としたが、隠し持っていた聖槍・ロンゴミニアドでモードレッドを突き刺し勝利したが、その後、そのクラレントに負わされた傷が痛手となって死去した―――という話があるが……果たして、姫様の『大罪の、紅き離反の剣サタニズム・クラレント』はウボ=サスラの“純聖剣”最果てよりの希望(エクスカリバー)を弾き飛ばすのだろうか。

 その打ち合いは、見事であった。純真たるエネルギーの塊の“純聖剣”最果てよりの希望(エクスカリバー)が音もなく中を舞い、それを邪悪の化身たる『大罪の、紅き離反の剣サタニズム・クラレント』が弾く。次は『大罪の、紅き離反の剣サタニズム・クラレント』が打ち、それを“純聖剣”最果てよりの希望(エクスカリバー)が防ぐ。それを“純聖剣”最果てよりの希望(エクスカリバー)が……と繰り返すうちに、私はあることに気がついた。それは―――姫様が左手を全然使っていない、ということである。

 しかしその瞬間は、突然に訪れた。よく左手を見てみると、その指には―――一個の指輪がはめられている。その指輪は、真鍮と鉄でできていて―――。

 姫様は、その指輪を掲げ、言う。

「―――神よ、堕落した私をどうかお許しください。やはり、大いなる知恵は、まだ頃ではないようです。主よ、願わくば私の勝利を―――『堕落、それは許さぬ。(テウルギア・)だが、貴君に勝利を。(ゴエティア)』―――!」

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