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Episode13:Chapter5 霊の戦い・第五節―――夢の終わり、それは現実の始まり⑥

 ―――爆散したアブホースは、実に脅威であった。爆散のスピードは凄まじく、手榴弾が爆発し、それによって飛び散った破片よりも遥かに速いのである。しかも、アブホース本体はアメーバ状の巨大生物だが、先程からの様子を見る限り、変幻自在の超柔軟金属でできている可能性が高い。それが、どれほどの質量や硬度を誇るのかは未知の領域だが、当たれば良くて失神。悪ければ死に至ると思われる。

 だが、あの会長がいれば大丈夫では―――とも思ったが、会長も化け物じみた活躍をしているので誤解しがちだが、人間である。私の認識能力は、一度限界を喰っているので、その名残り―――というか後遺症のようなもので、あの超高速の爆散を認識できているのである。普通の人間であったなら、残像が見え、正確な速度を把握、予測するのも一苦労―――否、難しいだろう。実際、会長も自らに迫ってくる破片から身を守るのに手一杯であり、他を守る余裕はなさそうに見える。

 かと言って、私も自由に動けるわけではない。なにせ先程から鼓動が異常なまでに速い。それ故、苦しい。私は、今過度に動けば、死ぬ自信すらあった。誰かに任せるしかない―――そう考えていたが、瞬間、予想外の出来事が起きた。

 遂に、私の意識が朦朧としてきた。酸欠―――それに酷く似た症状である。しかし、ちゃんと呼吸は出来ているし、肩で息をしているが、それでも空気は吸えている。では、何故?

                              ―――捧げよ。

 頭にガンガンと響く謎の音。

                         ―――その身を、捧げよ。

 そのような、ワケには……行かない! そう思い、自らの無駄に強い意識でその朦朧とした霧を弾き飛ばそうとする。体を捧げよと、そういうのであれば、私はソレに反抗してやる。

                      ―――その身は、我が身である。

 違う。これは私の体だ。

                     ―――否、それは我が体であるぞ。

 意識は、拮抗する。何か原因らしい原因は分からない。しかし、私には、この謎の意識―――声が、何故かいつも私の後ろにピタリと張り付いていたような気がする。生まれたときから―――今に至るまで、ずっと。

 良いようにして来たと、なぜか思った。良いようにしてきた? 何を? そう問いかけても、自らの中に答えはあらず。だが、一瞬感じたことがある。それは―――

「私……の、“想像力”……が?」

 そう。自らの“想像力”の気配がないのである。気配がない、というのはオカシイ。正確に言えば、私よりもずっと前にいる気がする。要するに―――私の中に、見つけられない。今までいた、その力を。

 もし、“想像力”が、反旗を翻していたのならば。その可能性は十分にありえる。“想像力”というのは、今でも全てが謎のベールに覆われている不思議な現象。自意識を持つ、というのもありえるかもしれない。そして、もしそれが本当だとしたら……。

「“想像力”は、私から……抜け出そうとしている?」

 ヒト、という檻に囚われ、そこから抜け出せない不思議な力たちが、自らを縛る鎖たるそのヒトが弱まっている時に出ようとするのは、普通ではなかろうか。そして、私の“想像力”は今や檻の外。私よりも遙か先に!

「そんなこと……」

 ―――認められるものか!

 私は、意識だけが走り出した。新たなる力を求めて―――否、先に行ってしまった私の力を求めて。走って走って走って……ようやく追いつくそのもう一人の私の背。渾身の力を籠め、足先に力を流す。その必死の脚力から繰り出される一蹴りは、地面をも砕く。

 そして……私は、背を抜けた。後ろに振り返れど、そこに見えるのは実体の私。本来の私。そこには、先に行ってしまった背はどこにもない。その代わり、私の手にはナイフ―――“呪啜剃刀”妖魔封印刀・蠅(バアル=ゼブブ)が。それは血にまみれており、光り輝いている。それは、神々しき、しかし禍々しい狂気的な全てを飲み込むような輝きそのもので―――。

 そこでハッ、と目が覚める。そこに広がっていたのは、新たなる地獄であった。

 スライムのような生物が人々を襲い、それを薙ぎ倒す―――獣と黄金。その姿は、間違いなく姫様とゆうかりんだった。

 だが、様子がおかしい。格好もそうだが、何かこう、雰囲気的なものが、幾分か狂戦士(バーサーカー)じみている。唸り声を上げ、戦場を驅ける戦士たち。それは決して、アイドルではない。最早それは―――悪魔である。しかし、私はそのようなものを持っていない。視線を落とし、ふと手に握るナイフを見る。

 それは決して新しいとは言えないが、とても使い込まれた錆びている刃。叩けばすぐにでも綻んでしまいそうだが、決してそんなことはない―――存在の強度がある。意識を、そちらに向けてみれば……未だ感じる、魔なる気配。私は、再び彼女らのことを見る。姫様は、ただ狂うのみ。ゆうかりんは、背に何も背負わず、無意味な戦いをしている。ならば、この戦い―――私が意味をもたせようではないか。

 すると、“呪啜剃刀”妖魔封印刀・蠅(バアル=ゼブブ)が再び輝く。その輝きは、いつしか私の体を包み込み―――全てを悟らせる。

 圧倒的な全能感、全てにおいて負ける気のしない―――神の如き高慢さ。その全てを以て、私はこの戦いを終わらせると決意した。

「さあ―――行くぞ、“呪啜剃刀”妖魔封印刀・蠅(バアル=ゼブブ)!」

 その呼びかけに呼応するかのように、光は一層輝いた。

うん。途中から何を書いているか分からなくなった。

まあけど、話の本筋は掴めてるし良いかな……いや良くないわ。

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