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Episode13:Chapter5 霊の戦い・第五節―――夢の終わり、それは現実の始まり②

そろそろ2部もクライマックスでは?

「うふふふ、あっははははっ!」

 笑い声が、こだまする。それは、喜色でも、何かしらのきっかけがあったわけでもない、ただ発せられただけの狂乱の笑い声。狂気に染まりしその嘲笑は、ただ、自らとそれを取り囲む全てを嘲る。そんな笑い声を上げるアマカを―――私は、おかしなモノを見るような目で見ていた。否、もしかしたらそれよりももっとひどい目で見ていたのかもしれない。

 赤く染まっている視界では、わずかにしかとらえることが出来ないその姿だが、「存在」の格が違うのか、私の網膜は、しっかりと彼女の変質した姿を映していた。


「……長かったわ。この小娘に憑いたはいいけれど―――入れ替わるまでに相当時間がかかってしまいましたわ……。けれど―――」


 変質した彼女は、続ける。その目は虚空を捉えていて、全てに興味がなさそうな、今目の前の現実がどうでもいいような―――そんな目をしていた。

「―――けれど、これで(わたくし)の思うがまま! あとは片割れを探せば……」

 しかし、その続きを会長が切る。

「……誰だ、お前は。急に性格が豹変したが、多重人格というわけではあるまい」

 すると、彼女は自分の失敬に気づいたのか、ハッとした表情を見せ、スカートの裾を上げる動作をし、俗に言うカーテシーと呼ばれるものの真似をし、語り始めた。

「あら、挨拶がまだでしたわ。―――ごきげんよう、皆様。私は、“無限の神”。あらゆるモノを喰らうものにして、あらゆるモノを生み出す混沌の片割れ。―――私の名はウボ=サスラ。今からあなたがた人類を喰らい尽くしますので、ごめんあそばせ」

 誰からともなく、その場にいた全員が息を呑む。それは、確たる実行の意思。本物の神による、自らが生み出した有機生命体への食、その興味。そこにいた話を理解できるほどの情報を持った全員が、こう思ったことだろう。―――こいつの言う、“片割れ”には、絶対に会わせてはならない。もし仮に会わせてしまったとしても、絶対にこいつに取り込ませてはいけない、と。

 だがしかし、彼女―――ウボ=サスラはぐるりと周りを見渡すと、ある一人の人物に焦点を合わせた。その人物に、さっさっさ、とまるで近づくのが当然でしょう? と言わんばかりにごく自然に近づいていく。待望の眼差し。この神はコロコロと興味がなかったりあったり、待望の念を抱いていたりと、変わるものだ。

 その神を静止させようと、誰もが構えたが、誰一人として動けなかった。ただ歩いているだけで、その神が放つ威圧感。何人たりとも私の邪魔はさせぬという、決意の塊。待ちわびたこの瞬間を、誰かに邪魔されたりするものか。コツコツと少々心地よく、また同じくらい気味の悪い狂気的な不穏な靴の奏でるリズムが、そう仰々しく物語っている。

 そして、その人物の目の前で立ち止まる。身長の差はあれど、ただ見上げるだけではなく、値踏みするように、生贄に捧げられる人物が、本当にその神に釣り合っているのかどうかを見極めるかのように、その人物を見る。

 その人物も、ただ値踏みされるだけではなく、一組織の長として―――ひいては、自分の孫へ勇姿を見せるため、威圧感を乗せて見下ろす。その姿に、どこかの寺にある金剛力士像の虚像(イメージ)がピッタリと影すら同じく重なる。

 神は、その人物をじっと見つめると、見つけた―――と言わんばかりに不気味な笑顔を見せ、その人物に語りかける。神託を告げるように、ゆっくりと。

「見つけましたわ。随分と探しましたのよ―――ねぇ、アザトース。私のかわいい片割れの妹。正反対の“虚無”という無なのか物質なのか分からないモノを司る、この宇宙の原初(はじまり)

 その神は、その人物―――空海無垢美に向かって、そう語っていた。

……やっと物語が進展しました。

出たな、ウボ=サスラ! 何が目的なんだウボ=サスラ!

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