表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/76

Episode13:Chapter3/Side:superbia 霊の戦い・第三節―――黙示録の戦《アポカリプス》⑩

(―――さて、どうするか)

 思考を巡らし、この状況からどうやって脱却するかを考える。眼の前には伝説の太陽の聖剣を携えた「破壊の天使」。しかもその剣は超高温。全てを燃やし尽くす希望の業火を纏いし剣。すでに自らの剣が最早使い物にならない有可にとって、もう自らの手に残る手段はほぼ残されていなかった。

「どうした、悪魔よ。我が手の剣の能力を暴いたとて、貴様の絶望的状況は変わりはせぬ。この太陽より使わされた聖剣―――“陽聖剣”至高天へと至る剣ガラティン・プリーステスは、最早いかなる攻撃をも焼き切ってしまう。これは、神が認めた最初にして最後の絶対武装。貴様ら悪魔ごときがこの神の御業を破るなど、千年早い―――否、早いどころではないな。永久にたどり着けぬよ」

 額に冷や汗。そんな状況の有可に対して、容赦なくジリジリと攻め寄ってくるヱリルの手には、不可視の炎に包まれていた黄金の剣身があらわになっている“陽聖剣”至高天へと至る剣ガラティン・プリーステスが。絶望的状況、その言葉が最も似合う場である。運命の前借り、それによって最早攻撃そのものが無へと化してしまう。要するに、もう攻撃はできない。

(となると、私は詰みか……)                         

                          ―――認められない。


 今、この瞬間にでもヱリルは距離を縮めてきている。彼女を処刑するために。

(私は傲慢だが、いっそのこともう潔く)

                       ―――それだけはならない。

 

胸の奥から熱い―――熱すぎるものが溢れてくる。それは、鼓動に合わせ心臓から溢れ出るように。

(さっきから何だこれは……)

                      ―――何のためにやって来た。


 頭の中にガンガンと響く誰かの声。まるでそれは、有可が自らの思想を否定しようとするのを阻止しているような。

(うるさい……)

                  ―――王として、皇帝としての矜持を。

「―――ッ!」

 その言葉で思い出す。彼女は何者で、何を背負って、何を目標として生きてきたか。愚かだが愛でるべき仲間たち。陰ながら支える舞台裏の人物たる経営陣。その期待全てに応えるべく、彼女は、今まで生きてきたのではないか。

「フフフッ、ア―――ハッハッハ!」

(そうだ、失念していた。私が……ワタシが何を掲げて生きてきたのかを。全ての民から愛されるべくしてワタシは―――)

                     ―――ワタシの手を取れ、堕天使。


「どうした、悪魔よ。まさか、この剣の威光にさらされ気が触れてしまったのではあるまいな?」

 その言葉に、得意げな表情を浮かべ、有可は振り返る。―――否、有可ではない。それは―――


【ワタシを悪魔などと……まだ根に持っているのか? その神は】


 黄金にたなびく髪を優雅にまとめ上げ、禍々しく輝く黄金の目を見開き、言った。

「まさか……貴様は……」

【ワタシが何者かを知りたいか? そうか、ならば教えてやろう。―――ワタシこそがローマ帝国第五代皇帝たるネロ・クラウディウス・カエサルその人である! ……いや、貴様らの場合は、『666の獣』と名乗ったほうがわかりやすいか?】

【副音声的なもの】

・覚醒フラグ

 おや? 有可のようすが……

・覚醒しました

 おめでとう! 有可はネロ・クラウディウス・カエサルに進化した!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ