Episode13:Chapter3/Side:superbia 霊の戦い・第三節―――黙示録の戦《アポカリプス》⑨
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「―――煌めきたまえ! “聖典剣”忠義の女教皇!」
唐突な変貌を遂げたヱリルの持っている剣―――“聖典剣”忠義の女教皇は、轟々と燃え盛りながら、外殻(といったほうが正しいか)が灰となり地へ散っていく。しかし、その外殻が剥がれ、真の姿となった“聖典剣”忠義の女教皇は、最早別物―――否、別格である。
「なっ―――!」
その神々しさに気圧されるが、それでも立ち向かい続ける愚行は、さすがは傲慢の化身であると言う他ない。その瞳は、真っ直ぐとその“聖典剣”忠義の女教皇という鞘に収められていた真の姿―――“聖剣”の降誕を見ていた。
太陽のように輝き続ける―――言うなれば“疑似太陽”と言うべき存在。その剣があれば、この世全てを切り裂けたに等しい。そのような名剣が今、ここに。
「―――その姿は廻天す。天にまたがる乳の道、その重みを礎とし。八つの星を繋ぎ止め、燦々と煌めくそれは、神の意志。その化身たる剣は、我が手に!―――」
輝ける神の意志は、ここに。今、世界にいる。
「―――“陽聖剣”至高天へと至る剣!」
仰々しい詠唱を完了した瞬間に顕現したのは、纏っていた炎が消えた―――否、刀身の消えた黄金の柄のみが存在するなんとも奇妙な姿へ変化していた。しかし、有可はその目で捉えた。先程見た黄金の刀身が、揺らめく炎が少し蘇ったときに、その隙間から顔を出していたことを。
(もしや、あの剣は―――)
一瞬考えこんだ、と思った次の瞬間。有可が自らの剣―――“転輪刀”凛廻天聖を持って突撃をした。その突撃を無言かつ余裕の表情で受け止めるヱリルであったが、その余裕こそが一番の失態であった。そして、何を思ったか有可がすぐに後ろへ退き、ニィっと感じの悪い悪役顔の笑みを浮かべてこのように告げた。
「油断をしたなァ、ヱリル―――いや、ウリエルよ。ワタシが考えもなしに特攻したと思ったか? そう考えたならば実に愉快な頭だな。その剣のカラクリ、見破ったぞ。―――よもや陽炎で剣身を秘匿しているとはな」
そう、彼女はただ単に勝てないと思って特攻したわけではない。その炎の中から少しだけ見えた黄金の剣の正体を探るべく、刀をその手に持ち、空白に突き立てた。そして、その“転輪刀”凛廻天聖の潜めたる「全ての物事を幾度でも再生させる」という“想像力”の効果によってその空白を一旦消し、炎の状態に戻る前にその正体を確認した。その結果が、この剣の特性―――超高温の炎の層を纏うことにより、剣身を光の屈折で不可視にすることの判明である。
しかも、超高温なのであらゆる物が触れただけで一瞬にして蒸発―――物と場合によってはプラズマ化する。そして、この“転輪刀”凛廻天聖が蒸発せずに融解しただけで済んだのは奇跡―――あるいは想像上武具という俗世間から離れたところにある物品故の恩恵なのか。
ともかく、この“陽聖剣”至高天へと至る剣はあらゆる物品を切断する破壊力だけならば最強の位置に存在するのである。それに加え、有可の想像上武具の“転輪刀”凛廻天聖は今やもう使い物にならず、先のヱリルが豹変する前の戦いで見せた『不幸咒・憐憫』の影響で最早攻撃は全て通らない。このような絶望的状況に立たされても、彼女が考えていたのは
(さあ……どうやれば勝てるか?)
ただ、それだけであった。
今回、試験的に副音声的なものをちょっとだけ入れてみたいと思います。
【副音声】
・突然変化する剣
多分、奇跡ってやつです。ええ。
・まさかの聖剣
ガラティン……というか聖剣って実在してんのか?
・特攻に出る有可さん
無謀ってわけじゃないです。ちゃんと作戦ありました。……もしやあれは風お(ry
・『不幸咒・憐憫』は強い
運命を圧縮して飛ばす―――結構いいアイデアなのでは?




