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Episode13:Chapter3/Side:superbia 霊の戦い・第三節―――黙示録の戦《アポカリプス》⑦

遅れました。今回の戦いの描写、結構難しい。

 ―――轟音。激しくぶつかり合う金属音の鳴り響くこの場所は、今や終末の戦場と言えよう。金色と金色の衝突。その手に握られる剣は、この世のものならざる神秘を纏い、炎と鉄がそれぞれの硬度を高めんとし、鉄は打たれ―――砕かれる。そして、遂に炎を纏った黄金が、口を開く。


「……汝、早々に諦めたほうが身のためだ。この場では私のほうが有利と言えようぞ。そして……その手に持つ剣を見よ。今やそれはただの融解せし金属に過ぎん。今、首を差し出すのであれば、苦しまずに落としてやるぞ」


 その黄金―――釉累ヱリルは告げる。もう一つの黄金―――朱雀坂有可に。その、手に握られる熱され、打ち砕かれ、融解し―――それでもなお、剣として戦い続けているそれを捨てよ、と。そのヱリルの手には、轟轟音を立てて燃え盛る炎が、剣の形を取っている―――半ば異形の剣が握られている。その剣先は、すでに有可に向けられており、いつでも処刑する準備・覚悟はできている、といった感じだろうか。だが、それに素直に応じる彼女ではない。対するヱリルに、有可は口を開く。


「断る! 何故私が……この世界の頂点に君臨すべきこのワタシが、貴様のような主に与えられた命令に従うことしか能がない人形に指図され、その上降伏しなければならないのだ! その不敬、もう一度言ってみよ。……次は貴様が砕けるぞ」


 そう言って有可は剣先をヱリルに向けた。そのドロドロと溶けてしまいかけている金色の剣(だったもの)は、未だ戦う覚悟を見せつけるがごとく光り輝く。しかし、その様子を見てヱリルは鼻で笑う。

「ハッ、何を言うかと思えば……今の自分の立場をわきまえぬ戯言か。汝、それは傲慢。笑止千万、呆れて物が言えぬわ。だが……」

 ヱリルは続ける。次はその剣先を向けた剣に視線を向け、

「その剣、未だ戦う意志を見せるか。この我が剣―――“聖典剣”忠義の女教皇(ハイ・プリーステス)の燃ゆる剣に打たれてなお形を最低限は保つ。―――実に負けず嫌いだな。往生際が悪いが、それもまた一興」

 と。ヱリルは剣先のみならず、全てを抉るような鋭い視線をキッと向けた。その視線を向けられた瞬間、有可の背筋は凍りつく。だが、それでも自らの矜持を示さんとするべく、気を強く持つ。自らは、傲慢の化身であると、眼の前の天使に示すように。

「べらべらと話が長い……そしてつまらん! 誰の許しを得て私に説法をするか、愚者が! 言ったはずだ……次、不敬をはたらけばその身が砕けると。そして、貴様はその忠告を無視し、なおもまたワタシに不敬をはたらいた……これは、万死に値する! その罪、剣で斬られようが何をしようが、決して許されることはないぞ! 行くぞ我が剣―――“転輪刀”凛廻天聖(リーンカーネーション)!」

「その剣でまだ向かってくるか! そろそろ身を弁えたらどうだ? 悪魔よ」

 そして、それぞれの剣は衝突する。その様子はまるで神話の世界の再現と言ってもいいだろう。打ち合いは、未だ決着はつかず。

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