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Episode13:Chapter2 霊の戦い・第二節―――視点/角度⑤

「―――『邪神・角度獣王(ミゼーア)』である」


 ミゼーア―――もとい、『邪神・角度獣王(ミゼーア)』は、そう話した。それが纏う雰囲気は、先程までのミゼーアとは違い、もっと禍々しく、狡猾さがにじみ出ているような雰囲気であった。そのようなミゼーアの姿に、久瑠は動揺を隠しきれない。

「お前は……、一体誰だ?ミゼーアはどこへ行った!」

 そう問うが、眼の前に居る『邪神・角度獣王(ミゼーア)』は、その意味を理解していないのか、こう答えた。

「はて。なんのことやら。私が『邪神・角度獣王(ミゼーア)』であり、角度都市ティンダロスを支配する主だと、先程名乗ったばかりではないか。理解できないのか、人の子よ」

 そのようなことを、威厳とともに放った。しかし、久瑠にとっては、質問をはぐらかされたようで、あまり良い気ではない。

「だから、答えろ。お前は一体誰で、ミゼーア―――フェン・ミゼーアはどこへ行ったと聞いているんだ!」

「……あぁ、この肉体の持ち主か。成る程、このモノもミゼーアというのか。だがしかしなぁ、私はこの世界で呼ばれる“想像力”と同じ存在であるし、前のやつ―――ミゼーアとも精神は同じだ。お前が感じている違和感というのは、一体、なんのことを言っているのかね」

 『邪神・角度獣王(ミゼーア)』は、獣と同じ思考回路で、考えていたため、この質問の意図を全くと言っていいほど、理解できていなかった。そうして、ついに『邪神・角度獣王(ミゼーア)』は、行動へと動いた。

「まあ良い。このような下らん会話は終わりにしよう。……このティンダロスの主たる私が、直々にお前の強さを確かめてやろう。―――行くぞ!『獣王烈火ビースト・オブ・ファースト』ォ!」

 『邪神・角度獣王(ミゼーア)』の攻撃を、持ち前の反射神経で感知する久瑠は、自らの疑似心象風景に『邪神・角度獣王(ミゼーア)』を引きずり込むと、技を発動しようとする。

「また、化け物を呼び出して……、何をやっているんだと言いたくなるな。―――『深きものども(ディープ・ワンズ)』!飲み込め!」

 『深きものども(ディープ・ワンズ)』を召喚して飲み込もうとした、その時である。

「それは、無駄なり。私の『獣王烈火ビースト・オブ・ファースト』は、私に近づこうとするありとあらゆる物を燃やし尽くす!」

 『邪神・角度獣王(ミゼーア)』がそう言う。それは、数秒後に事実だとわかる。召喚された『深きものども(ディープ・ワンズ)』が覆った……と思われたが、その瞬間、ものすごい勢いで『深きものども(ディープ・ワンズ)』が燃え、弾け飛ぶ。

「……なるほど。光の反射角を限定することで熱を生み出したのか!」

「正解だ。まだだ、次!『獣王裂果ビースト・オブ・セカンド』!」

 すると、久瑠の疑似心象風景が消し飛び、久瑠自身には大きな切り傷がつけられる。

「ガハッ……!」

「……この程度で倒れるか。あれほど前のやつを圧倒したくせに、以外に呆気ないな」

 そう言うと、『邪神・角度獣王(ミゼーア)』は、その場を後にしようとした。―――が。

「待てよ……、まだ……だ。まだ、私は……倒れてないぞ!」

「立つか。まあ、そうだろう。来い!お前の力を見せてみよ!」

 久瑠が、死を覚悟したかのような表情をする。そして、最後の呪文を唱え始めた。

「呪文詠唱―――臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前・乾・坤・震・巽・坎・離・艮・兌。向かいの山に啼くひよどりは、啼いては下り、啼いては上り朝草刈りの、眼をばさます。九頭の頭を持つものよ、その褒美として、十の首をやろう。原初の誓いをここに。其の者の名はハイドラ。我が名は空海久瑠。甲乙の盟約に従い、我に力を下ろし給え―――。『神聖兵銃無双将浄剣・爻覇―――八卦』!」

 長い詠唱の後に、『海神の九頭竜(ハイドラ)』が元の姿に戻り、久瑠を飲み込む。すると、『海神の九頭竜(ハイドラ)』が光り輝き、中から久瑠の面影を残した人物が出てくる。

「これが、私の最終形態―――『神聖兵銃無双将浄剣・爻覇―――八卦』……通称『海神崩死転生(クティーラ)』だ!覚悟せよ、『邪神・角度獣王(ミゼーア)』!」

「素晴らしい!ならばこちらも―――『獣王烈華(ビースト・フィナーレ)』!」


「勝つのは―――」

「勝利するのは―――」

『この、私だ―――ッ!』


 二つの力のぶつかり合い。その莫大なエネルギーは、会場を(本当に一瞬だが)揺らした。そうして、勝ったのは―――


「見事だった、空海久瑠」

 ―――災厄『邪神・角度獣王(ミゼーア)』であった。

これで、連日投稿シリーズは終了となります。恐らく、また投稿ペースはいつもに戻りますので、ご了承ください。

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