伝えてほしい。
「あなたなの・・・?」
真理は、相手を見据えた。
女性は、真理と、目があうと、笑った。不気味でもなく、そこで、笑っているのは、真理達と何ら変らない、普通の女の子が、そこにいた。
「見えるのね?」
安心したように笑った。
「残念だけど」
真理は、頷いた。見える事で、厄介な問題に、何度、振り回され、友を失い、家族を悩ませた事か・・・。ようやく、生きる知恵が、身につき、見えないという事で、生活していく事が、出来るようになったというのに・・。
「何か、伝えたいことがあるんでしょ?」
だいたい、こうやって現れるときは、お願い事が、多い。頼まれ、拒否した場合、ろくな目にあわない。だから、こおいう場合、ささっと、願いだったり、伝言を聞いて、ささっと、消えてもらう事にしている。
「名前は?」
逆に聞かれた。
「真理」
「いい名前ね。真実のことわりって、意味ね」
ゆらっと、影が揺れた。
「あなたは?」
むっと、しながら、真理は、聞いた。
「あなたの名前にぴったりね。まだ、何も、気付いてないみたいね・・。」
「ちょっと、あなたは誰なの?失礼じゃない?」
「まだ、わからないの?」
ふと、寂しいそうな顔をした。
「思い出せないの?」
「思い出せと?」
「ここで、全てが、始まり。終った。あなたは、まだ、思い出せないの?」
女の顔が、苦悶の顔に、歪み始めた。
「真理・・。ようやく、探し出したというのに・・・。」
両手で、顔を覆い泣き始めた。
「あなたに、思い出してもらいたい・・。だけど、私が、何処から、来たのかが、良く判らない・・・。」
「何処から、来たか?」
「あなたを、探し出すことが、一番だと・・。」
女は、記憶が、曖昧になっていた。自分が、何処から来たのか、覚えてはいなかった。ただ、この世に、生をうけた者ではなく、ただ、彼女に、何か重大な用が、あって、頼って現れたようだった。
「助けて」
女は、真剣な眼差しで告げた。
「あなたの力が、必要な事は、確かなの。」
女の口調は、強かった。
「あなたを探して、幾つもの時代を探したわ。ようやく、探し当てた・・。」
真理は、怖くなって怯んだ。
「私の時代に来て!」
その女の居たという時代に真理は、行く事になる。