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二次試験

二次試験の試験場は早稲田大学の大教室だった。


郁子と正面入り口で待ち合わせた。

社交家の郁子は早稲田にも友人がおり、何度も遊びに来たことがあるからと、案内をしてくれた。

大教室の広さにも驚いたが、そこに詰めかけた受験生の人数が多いことにも驚いた。

しかし、一目で「あ、アナウンサーだ」という雰囲気の人は一人もいないようだった。

みんな服装も普段着らしいし、取り立ててオシャレをしている人もいないようだった。

それが、私をほっとさせてくれた。


とにかく、郁子が二次も一緒に行こうと言ってくれたのと、

ミーハーを自称している母が、一次通過と聞くと

急に乗り気になって


「アナウンサーなんて、面白そうじゃない。頑張って受かってよ。

放送局ってどんなところなのか見てきてちょうだいよ」などと言い出す始末。


これでは、二次を受けませんというわけにも行かず、

まあ、どうせ受かるわけはないのだから、受からなければ母もあきらめるだろうと思っていた。


二次の試験には時事問題が出るらしいと、どこかで情報を得てきた郁子が教えてくれた。


「でも、時事問題の試験と言われたって、どうしたら良いの?」と聞くと、


「そうよね、新聞の社説とか天声人語とか読んでおけば良いのかな」と、郁子も自信はなさそう。


「それでは、あまり、勉強したって仕方がないわね。」


ということになって、殆ど受験対策をしないまま、試験に臨んだ。




いざ、試験が始まってみると、

かなり枚数のある試験問題集のようなものが渡された。

一ページに一問、そして、そのほとんどはいくつかの解答例の中から1つを選べば良いことになっていたので、枚数が多い割合には時間がかからなかった。


まあ、いろいろな学部から受験者が集まってくるのだから仕方がないことなのだろうけれど、出題は多岐にわたり、見たことも聞いたこともないような問題もあった。

ギリシャか、ローマ時代の石柱が何本も描かれていて

コリント式はどれかとか、

音符がたくさん並べられており、

これは何の音階か?とか。

とにかく択一方式なので、適当に回答をしていった。


最後が作文だった。

400字詰め原稿用紙に「ユーモア」について書きなさいという。

作文に正解はないはずだからとにかく思いついたことを書けばよいと思ったが、それだけではつまらないので、400字いっぱいにしてみようと思い立った。

句読点に気をつけ、語尾にも気を配って、何度も何度も書き直して、やっと、400字いっぱいを埋め尽くすことができた。

択一の問題には自信がなかったが、400字ピッタリに作文ができたことには自己満足していた。

もちろん、作文は長さが問題なのではなく内容が重要であることはよくわかっていたが。


まあ、楽しめたんだから良かったんじゃない。

そう、思いながら、帰宅した。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 話が具体的で読みやすい。経験したことのない者しかわからない臨場感がある。
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