悪霊左府編第3話
お久しぶりです。初めて読んでくださる方、いつも読んでくださる方ありがとうございます^^*
更新頻度が極端に減るかもしれません。すみません。
旅立ちの場へ、とてつもない速く走る、鉄塊が滑り込んできた。
「ひかる様。お気をつけてください。ばあやは何時でもあなた様の味方です。」京子がそう私に語りかけてくれる。
「京子さん、お元気で。また逢う日まで。」
そう言い、鉄塊に乗り込む。
自分の席に座りパソコンを開く。ミチカは徒人には見えない姿になることもできるが、本来刀霊なのに、猫の姿をとることで、現世に関わりをもつ事が出来てている。しかし、徒人には猫の姿をとると視えてしまう。だが、徒人には視えない姿になると、霊力の消耗が激しく、下級、中級刀霊と同じように、天下五剣の一振りの、ミチカでもその姿を保ち続けることは骨の折れる作業であった。
これから、祓い屋としての仕事もある。霊力が足りなくなると危ないので、今は、元の姿の刀霊となり、私のバッグの中にいてもらっている。
乙茂内家。そして、その他の傘下の、一族。政府に公認を貰っていない非公式組織なので、刀を所持していると、捕まってしまう恐れがある。なので、鞄の奥深くにミチカは追いやられているのであった。
『おい、主様。狭いのぉ。出してはくれまいか?』
ミチカは、声をはりあげ、ひかるに話しかける。
「ダメよ。ミチカ。刀を所持してると捕まってしまうかもしれない。」
『はぁ……』ミチカはため息を着き、しぶしぶ食い下がった。
そうこうしているうちに、時は矢のように早く進み、気づくと、
『まもなくー名古屋ー名古屋ー。忘れ物されぬようにおきをつけください。』
名古屋に到着する。という、アナウンスが流れてきた。
パソコンを閉じ、席を立ち上がる。
ホームに、鉄塊が滑り込んでいく――。
灼熱の暑さの中、ひかるは決戦の地に降り立った。
「ひかる様?ひかる様はどこにおられるのだら?」
「あ!ひかる様。ご無沙汰してます。光莉だに。お久しぶりにお会いできて、でら嬉しいみゃあ!」
そう言いながら、光莉さんは、小走りでこちらに駆けよってくる。
切れ長の瞳に、端正な顔立ち。足は長くスタイル良い。
私が密かに憧れてる彼女の姿がそこにあった。
彼女は、印鑰家の傘下筆頭の轟原光莉さんだ。
「光莉さん!ご無沙汰しております。お元気でしたか?」
「私は、元気だったに!」
「良かったです。これからよろしくお願い致します。」
2人は再開の喜びを噛み締めるのもつかの間、立体駐車場に向け、歩き出す。
運転手さんに挨拶を交わし、黒塗りの高級車に乗りこむ。
そして、まもなく、滑るように車は動き出す。
名古屋城、名駅と名古屋を代表する建物が車窓を通り過ぎていく。
「光莉さん。これからどこへ向かうのですか?」
「今から、印鑰家の本家の邸に向かうのだら。」
そう言い、光莉は唇をかみ口を閉ざす。
しばらく、沈黙の時が続いていく。
そうこうしてるうちに、静かに車が停車する。
ウィーン。音を立てながら、車のドアが開き、そして、ひかるは車から降り立った。
降り立った途端、ひかるは不穏な空気、そして悪霊が放つ、独特な空気を感じ取った。
「ひかる!」そう声が聞こえ、煙と共に、1人(1匹?)の美少年が顕現した。
その直後、悪霊が放つオーラが増大したのだ。
その直後ひかるとミチカは、奈落の底に堕ちて行くような感覚になり、あたりは一面真っ暗になった。
✄------キリトリ------✄
目を覚ますと、何も見えない漆黒のなかにいた。
あたりを見渡すが、何も見えない。
傍には猫の姿になった、ミチカが横たわってるだけ。
ミチカは、まもなく目を覚ました。
『ここは、どこなのかね?主様。』
「ミチカ、私にも分からない。」
そう、ひかるは言うと、手探りで、あたりを探り始めた。
暗闇を手探りで探っていく……。あたりは、ゴツゴツした岩肌のようだ。
その刹那、暗闇から声が聞こえてくる。『ひかる!久方ぶりであるな。こっちにおいで。』
そう声が聞こえた途端、暗闇に1人の人影が視える。
漆黒の衣を纏った男。頭には塔のような烏帽子がそびえたっている。顔は闇のような暗闇の中でよく見えぬ。
『やっと来たか。待ちわびてたぞ。』
そう、声が聞こえる。
その声は、いつの日にか聴いた懐かしい、あの声……。
あの声は……。いつの日にか再び、話したいと思っていた、あの人の……。
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