異世界への導き
朝、目を覚ました俺は携帯電話を確認するといつものように着替えた。
今日は、土曜日で休みだった俺は朝ご飯を軽く済ました後もう一度寝ることにした。
そんなわけで、ゴロゴロと一人休日を満喫していたのだが…。
「ん?地震か?」
ベッドで横になりながらスマートフォンをいじっていた俺は、揺れに気づき身体を起こした。
すかさず机に身を隠したがなかなか揺れがおさまらなかった。
「…。」
やっと、おさまったと思い俺は、一階へと降りた。
妹は友達と映画に出掛けると言っていたので少し心配だった。
姉さんは、コンビニでバイトをしているだろうし…両親は今、イギリスで働いているので大丈夫だろう。
そんなわけで、友達と連絡を取ろうとソファに腰掛け…テレビを付けた。
そして、余震が再び家を襲った。
俺は、その時…転倒し頭をどこかへ打ちつけてしまった。
転倒するさなか、リビングの窓の外には黒いブラックホールのようなものが一瞬見えたような気がした。
それが、あの世界での最後の記憶だった。
ふと、気がつく俺は木に腰をかけていた。
辺りには、草原が広がりどこまでも見渡せそうだった。
「…?」
「やあやあ、気がついたようだね?」
どこからか、優しい声が聞こえたのでそちらに目を向けるといかにもRPGに出てきそうな女神?のような女性に出会った。
「いや~、待っていたよ。あれからずっと…別にさみしくはなかったけどさ…。」
「あなたは、誰だ?」
「私?私は…そのなんというか女神様だよ…名前はフレイア。よろしく、白川陽斗君?」
「…なんで、俺の名前を?」
そもそも、ここは言ったいどこなのだろうか?
ひどく頭を打ちつけてしまったせいか、幻覚を見ているのだろう。
というか、まず、第一に俺は夢を見ることがほとんどない…だとすれば、脳に深刻なダメージを受けた可能性がある。
「まあまあ、落ち着いて…。」
「落ち着いていられるか!これは、全部夢だ!」
「残念ながら違うよ…君が生きていた地域のほとんどは壊滅した。不幸なのか幸運なのか、何故か君だけがこの世界にやって来た。」
「だったら、証拠を!」っと、俺が言うと女神は楕円型のスクリーンを出した。
「…あまり、気が進まないのだけれど…確認してくれ。」
「…。噓だろ…何で…?」
そこには、女神が言ったように俺の居た地域全域が隕石が衝突でもしたように穴が穿たれていた。
もうそこには、姉も妹も友人達の姿も見えなかった。
「…そんな。…何で?」
「時空のひずみが原因だね。」
「ひずみ?」
「ああ、その影響で本来何も関係のない世界同士が干渉してこうなってしまった。その、なんというかこういうのは最近多発してて…。」
「…なんで…だよ。」
俺は、しばらくそこを見ていた。
「…そのですね…戻りたいですか?」
「…ああ、でも…こんなんじゃ…。」
例え戻ったとしても…秋葉も…夏希姉も居ない。
だけど、両親はまだ生きている…でも、俺にはそれだけじゃ…。
「陽斗さん、聞いてください。」
「なんだよ…こんな時に…。」
「妹さんとお姉さんを助ける方法はあります。」
「えっ…。」
「簡単なことですよ…。」
そうフレイアは、言い切った。
けれど、ものすごく辛そうだった。
『この世界を犠牲にしてください。』