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異世界に来たのに2人目でした;  作者: 葵流星
望みの為に…。
13/13

彼女の半身

用語解説

脇差わきざし

小刀

例によって文化も色々混ざっている


「あの…ちょっいいかな?」

「何?」

「いや…パーティを組んでほしくて。」

「…間に合ってる。」


俺は、さっそくフレイアが先ほどから言っている女の子に話しかけたのがこのざまである。

勿論、周囲も俺が仕事をまだ終えていないのだろうと思っているようだった。

…それと、この子宿代はどうしようか?

流石に、0円なんてことはないだろう。

あと、夜ご飯どうしよう?


「頼む…。」

「やだ。」

「どうして…?」

「何で名前も知らない相手とパーティを組まなきゃいけないのよ?」

「それもそうだね…。」

「はあ…綾香あやか。」

「…あやか?」

「私の名前よ。」

「ああ、俺は白川しらかわ陽斗はるとだ。」

「…笑わないの?」

「何を?」

「私の名前?」

「別に…。」

「そうほかの国からあなたも来たのね。」

「あながち、間違ってはないかな。」

「そう…坂上さかがみ綾香あやか…それが私の名前…純血。」

「そうなんだ…。」

「興味なさそうね。」


確かに彼女はフレイアが言うように美人な少女だった。

黒髪で、それでいて武士の風格が出ている。

武士というよりは侍の様だった。

印象としては、つかみどころのない…そんな印象だ。


「ん?ああ、坊主…そいつはあまりオススメしないぞ?なんせ、超が付くほどの暴力的な女だからな。ほかの女…よきゃ娼館の初物をたらし込んだ方が有意義だぞ?」

「そんな気がしますよ。」

「それじゃあ、なんで声をかけたんだ?」

「暇そうだったからです。」

「もっと暇してる女は外にいるぞ?それじゃあ、俺は軽くお仕事してきますわ。」


たまたま通りかかった男はそう言うとギルドを後にした。

なんていうか、この世界の言葉は俺がいたところと遜色なさそうだ。

まあ、それもフレイアのおかげなのだけど…。


「2件だけでいいから…少しだけ…お願いしたいんだけど。」


俺は、またそう口にするが少し諦めていた。

藤原じゃないとダメなんじゃないのか…。

そんな風に思う。


「それじゃあ、俺はもう行くよ。」っと、立ち上がると彼女も俺と同じように立ち上がった。

そして、そのまま彼女は腰元の脇差わきざしに手を掛けると紐をほどいてその脇差を俺の胸に押し付けてきた。


「これは…私の魂と同じ…これなら力を貸したことになるでしょ?早く持って行きなさい!」


そう彼女は言った。

俺が脇差を受け取ると彼女はまた椅子に座った。


「ありがとう、あとで返すよ。」

「ええっ…折ったら殺す。」

「了解、すぐに返す。」

「陽斗さん、行きましょう!」

「ああ、それじゃあ、綾香ちゃんありがとう。」


そして、また、俺はギルドを後にした。

依頼は先ほどよりも高額な報酬のものだった。

また、先ほどと同じように長い道を歩く。


「話しかけたかしたけど…あれで、良かったのかな…?」

「ええ、むしろ好調ですよ。」

「あんなに、素っ気ないというか…毒づくとかそんな感じだったのに?」


依頼主のところへ向かう途中、俺はフレイアと話し始めた。

こうして、話しているだけですぐに目的地につけるような気がする。

実際は、そんなことないんだろうけど。


「実は結構嬉しかったみたいですよ?その脇差が証拠です。」

「武士の魂…ね。」

「あの子は、ツンデレみたいな感じですよね。自意識過剰で、意地っ張りで、負けず嫌いで…だから、敵が多くて、なのに仲良くしたいとは思わない…そんな感じです。」

流石さすが、神様。」

「…そうですね。いくらでも…いえっ、結構このまま行っても私は…何でしょうか。」

「フレイア?」

「…神様だから。そうですね、神様だからしっかりしないとですね。」

「その…やっぱり、この世界は大事なんだよね?」

「そういう事ではなくて…生きていたんですよ。どうせあと…少しだけしか生きられませんし。」


この日、俺とフレイアこの後8件依頼を達成し、報酬を得たのだった。

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