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ライムの成長 2

「美味しいにゃ!」

「オイシ、イ!」

「うん、なかなか♪」


 今日の晩ごはんは、


 オークの角煮(一緒に煮た白菜を添えて)、オークの生姜焼き(ちぎったレタスをたっぷりと添えて)、チーズ入りハンバーグ(焼き椎茸を添えて)、オークそぼろと野菜たっぷりの炒飯だ。


 たっぷり作って、今食べる分以外はインベントリに収納してある。旅のごはんがますます手軽に美味しく食べられるよ♪ オーク尽くしだけどね。


「僕、煮オークの方が好きにゃ!」


「どうして?」


「美味しくて、大きいからにゃ!」


 思った以上に可愛い返事で笑いがこぼれた。


「角煮を気に入ってくれてよかったよ」


「角煮? 煮オークじゃないにゃ?」


「ほとんど一緒。作るときの大きさとか使う部位がちょっと変わるくらいかな? 煮ボアはスライスしたから小さくなったね」


「ショウガ、ヤキ。オ、イシイ!」


 ライムも満足そうだ。


「うん、美味しいね~。チーズ入りハンバーグはどうかな?」


「美味しいにゃ!!」

「オ、イシイ!!」


「よかった♪」


 ヤギのチーズはちょっとクセがあるけど、私は好きだ。ルベンさんはチーズ作りも上手だなぁ。


「普通のハンバーグも焼いてあるから、明日食べようね」


「あの鍋も、明日のごはんにゃ?」


 今、かまどでは一口大に切ったさつま芋が茹でられている。 


「うん、明日は芋粥とハンバーグだよ」


「楽しみにゃ!」

「タノ、シミ!」


 たった、3人での野営とは思えない、賑やかな時間になった。





 予想以上に炒飯が無くなった(嬉しい^^)ので、保存用の炒飯を作り直している時だった。


「こんな所に<スライム>?」


 魔力感知に反応があった。スライムが1匹だけ近づいて来ている。


「どうする?」


 スライムの1匹くらい見逃してもいいかな?と思いながら、意見を聞いてみると、


「大事な獲物にゃ」


「オフロ」


 との事だった。


 従魔たちの方がよっぽどしっかりしている。


「じゃあ、もう少し近づいて来たら、狩りに行くね」


 今は炒飯の仕上げが大事!


 出来上がった炒飯をフライパンごとインベントリに入れて、さくっとスライムを狩っておいた。


「この後はどうするにゃ?」


 今日はのんびり過ごしていただけなので、するべきことは特にない。


「複製があと2回残ってるから、複製を済ませたらもう寝ようか^^」


「今日はいっぱい寝る日にゃね~。いいにゃ!」

「イッパイ、ネル!」


 決まり!  残り2回の複製は、


 ・ワイルドボアの敷物  失敗

 ・ホーンラビットの敷物 成功

 ・はちみつ       成功



 マントが綺麗になったので、敷物にも【クリーン】を掛けてみると、とっても綺麗になった。


 かまどから焚き木に火を移すと気が抜けたのか、一気に睡魔が襲ってきたので、昼寝の時のまま敷いていた敷物とマントに潜り込んだ。 自分達にも【クリーン】を掛けて、


「おやすみ、ハク。 いつも火の番ありがとうね!」


「任せるにゃ!」


「ライム、おやすみ。 たまにはゆっくりと体を休めてね?」


「ダイ、ジョブ」


 いつの間にか、従魔からもおやすみのキスをされるようになって、私も返して…。


 すっかり『外国』ならぬ『異世界』に馴染んでる気がした。






 目を開けると、まだ夜明け前だった。


「もう、起きたのにゃ?」


「うん、おはよう。 昨日はいっぱい寝たからかな? 目が覚めた」


「おはようにゃ。ライムはまだ寝てるにゃ」


 今朝も私の体は、ライムのぷるぷるボディに守られていた。


(じゃあ、このまま動かない方がいいね)


 ライムを起こさないように心話に切り替えたけど、


「起きても大丈夫にゃ。最近のライムは意外にタフにゃ」


 ハクは大丈夫だという。何か根拠がありそうかな?


 ゆっくりと体を起こしてもライムはぷるりとも動かなかったので、本当に大丈夫らしい。


 ハクと自分に目覚めのクリーンを掛けて、ゆったりと時間を過ごしていると、空が明るい色に染まり始めた。


「綺麗な朝焼け…」


「うん、きれい」


 思わず呟いたら、同意が返ってきた。


「ライムも起きたの? おはよう」


「おはようにゃ」


「ありす、はく、おはよ」


 なんとなく、発音が滑らかになったような…?


 ライムにもクリーンを掛けると、


「ありがと」


 うん、やっぱり滑らかな気がする。


「ライム、しゃべるの上手になったね!」


 抱き上げて褒めると、嬉しそうに震えて、


「おいしいごはんのおかげ」


 と言ってくれた。可愛すぎて、抱き潰しそうになった…。


「今日もクッションになってくれてたんだね? ありがとう! でも、ライムは痛かったり、窮屈だったりしないの?」


 ライムが話せるようになったので、気に掛かっていたことを聞いてみることにした。


 スライムは丈夫な魔物じゃないから不安だったのだ。


「だいじょぶ。ありすにくっつくの、きもちいい」


 くっ! 可愛いことを!! もふり倒しちゃうぞ!


「そう? 嬉しいな^^ でも、くっつくのなら、私のお腹の上に乗っててもいいよ?」


 その方がライムも楽だろうと思って提案してみた。


「だめ。ありすのくっしょんになるほうが、きもちよくておいしい」


 下敷きになるのが“気持ち良い”の? “おいしい”って何?  戸惑っていると、


「言葉の通りにゃ。アリスの魔力は気持ちが良くておいしいのにゃ」


 ハクが笑いながら言った。


 ん……? 魔力?


「ライムは従魔だから、アリスの魔力もごはんになるにゃ。昨日の干しりんごとドライアップルはアリスの魔力がいっぱいこもっていたし、毎日のクリーンや浄化水からもアリスの魔力を吸収して、ライムが成長できたのにゃ~。僕もアリスの魔力がこもっている方がおいしいのにゃ♪」


 そんな仕組みだったの!? 


「私は寝ている間、何をして魔力を使ってるの?」


 朝起きて、魔力が減ってると感じたことはない。 不思議に思っていると、


「生物は、何もしていなくても、微量の魔力を放出しているのにゃ。だからくっ付いていると、魔力を吸収できるのにゃ。アリスが気持ち良い方が魔力も美味しいから、ライムはクッションがいいのにゃ~」


 ハクが説明をしてくれた。 そうなの?とライムを見てみると、


「ぼくの、もうひとつのごはん」


 頷くように震えながら肯定した。 そっか、ごはんだったのか。


「ありすは、いや?」


「ちっとも嫌じゃないよ! ライムがクッションになってくれるの、気持ちがいいもん。 ライムのぷにぷにぷるぷると、ハクのふわふわもこもこはすっごく気持ちがいいんだよ? いつも感謝してる!」


 ちょっと寂しそうにライムが聞くので、力いっぱいに否定したら、2匹ともとても嬉しそうに鳴いて喜んでくれた。






「普通のハンバーグもおいしいのにゃ!」

「おいしい!」

「芋粥おいしい……。 体の中から暖まるなぁ…」


 朝焼けを眺めがらの朝食は昨日よりも美味しい気がする。


「足りた? 他にも何か食べる?」


「今はいいにゃ。お昼におむすびを食べるにゃ!」


「おひるに、きのうのりんご」


「お昼におむすびとドライアップルだね? 了解!」


「「「ごちそうさま」にゃ」」


 さて、昨日のんびり過ごした分、今日は早めに出発しようかな。


「片付けが済んだら、出発しようか?」


「わかったにゃ」

「うん」


 今日は美味しい獲物に会えますように!


ありがとうございました!

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