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護衛旅 ライムの進化? 3

遅くなってすみません!

 寿命が尽きかけていて、本当ならもう死んでいたハズ。


 ライムの可愛らしい声でされた説明は一瞬だけ私の思考を止めたけど、話が過去形だったことと、体の大きさは変わったけど元気いっぱいのライムが目の前にいることで、何とか冷静に話を聞くことができた。


 ライムの寿命が尽きかけていたことに気が付いていたハクは、正直にライムにその事実を告げ、


「ライムが死んだらアリスが悲しむしぼくも寂しい。だから、ぼくの加護の力を使って、死なないように頑張ってみないか? 無駄になるかもしれないし、寿命がほんの少し延びるだけかもしれない。もしかすると、別の存在になったり別の人格になるかもしれない。正直に言ってどう転ぶか僕にもわからないけど……。このまま素直に死を受け入れて欲しくないんだ、……アリスの為に」


 と提案をしたらしい。


 ……真剣な話をするときには語尾に❝にゃ❞が付かないんだな~。なんて考えたのは一種の現実逃避かな? もしかしたら、ライムの姿をしたまったく別の人格のスライムになった可能性もあったなんて………。


 ハクの提案した方法は、


 1.新しい核を作らないように体を分裂させて、そこに今の(じんかく)を移す

 2.気合と根性で自分を進化させる


 のふたつ。


 スライムは分裂を繰り返すことで種の保存をしている種族だ。


 ❝分裂❞と聞くとなんとなく、ひとつのモノが分かれてふたつになるのだから元と同じものがふたつになる


 のでは?と思ってしまったんだけど、スライム(せいめい)として考えたらそんな訳はない。元のモノから分かれたモノは、まったく別の個性を持つ別のスライムだ。


 それを捻じ曲げて、(せいめい)の宿らない体を作り出し、もう生命維持できない元の体を捨てて新しい体に自分の(じんかく)を移す……。


 元は自分の細胞からできている分裂体(からだ)なのだから成功の可能性はなくはない。でも、核が限界を迎えてしまったらもうどうしようもないし、もしも新しい体に移る時に体に核が引っ張られてしまったら、人格が変わってしまう可能性がある。それは、ライムの死につながる。


 もう一つの選択肢、❝進化❞も一か八かの掛けだった。


 そもそも❝進化❞なんて、そう簡単にできるものではない。少なくても、気合と根性だけでなんとかできるものではない。


 それを手助けする為にハクが与える新たな加護の力は、ライムに強い生命力を与える代わりに、ハクが本気で命じたら、ライムはハクの命令に逆らえなくなるというものだった。


 生命力と言っても命、寿命を延ばすものではなく純粋な❝力❞のことで、その力を使って進化を試みても失敗する可能性もあった。


 どちらにしても、失敗の可能性のある2つの方法。ハクからデメリットも交えた話を詳しく聞いたライムが選んだのは2番目の❝進化❞だった。


「ぼく、みんなといっしょにアリスのそばでもっとながくいきたかったし、どんなメイレイでも、ハクがほんきでメイレイしたら、ぼくはちゃんときくから、いままでとなにもかわらないもん」


 とのことだった。


 ライムが心を決めたらハクは弟妹(ニールとスレイ)にもきちんと説明をし、後は従魔たちが一丸となってライムを応援する体制が整ったとのこと。


 ………どうしてそこで私への説明がないのかと不服に思ったけど、


「さぷらいずだったの! すごいね!って、がんばったねって、ほめてもらいたかったの! えへへ、ぼく、すっごくすっごくがんばったんだよ!」


 ライムは無邪気な笑顔で嬉しそうに言い訳し、


「……ハク兄上は、主の泣き顔を見たくないと仰せでした。我らもです。全てが終わった後にお叱りを受けるのは我慢できますが、主が悲しむ顔を、主が泣く顔を見るのは嫌だったのです」


 ニールが俯いたまま言い訳をした。


 そこまで聞いて、どうしてライムの新しい命に私が関係するのかと疑問に思う。ハクは進化に必要な力を授ける為に❝加護❞を与えた。では私は?


「アリスのつくってくれるおいしいごはんをいっぱいたべて、しんかにたえられるようにえいようをいっぱいたくわえたの。アリスのアリス(アイス)ボールはしんかにひつようなマリョクになったの!」


 とのことらしい。


 事前に教えてくれたなら、もっともっとおいしいごはんをたくさん作ったし、アイスボールだっていくらだって出したのに!と抗議したら、


「いつものありすがよかったの! ❝ぼくがしぬかもしれないからやさしくしてくれるアリス❞じゃなくて、いつもとおんなじのアリスがよかったの。なんにもなくてもいつもやさしいアリスが、ぼく、だいすきなの!」


 えへへ、と嬉しそうに笑いながら返されて、これ以上の文句は言えなくなってしまった。


「そっか……。うん……。ライム、よく頑張ったね! 生きていてくれて、とってもとっても嬉しいよ! 生きる為にいっぱいいっぱい頑張ったライムは、とっても偉い!」


 って褒めてあげるしかないよね? 


 もっと詳しい話を聞きたいけど、まずは、期待に体を揺らして目をキラキラさせて私を見つめているライムを褒めてあげないと! 


読みに来てくださって、ありがとうございます!


投稿時間に間に合わなかった……。

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