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護衛旅 集落 26 出発準備 3

 私はこの町が嫌いなわけではない。


 ギルドマスターのことが嫌いなわけでもない。


 でも、期間限定でもここに腰を落ち着けるつもりはないから、依頼終了後に戻って来るとは約束できない。


「私は色々な所を旅する為に冒険者になったの。腰を落ち着けるのは冒険者を引退してからのつもりよ」


 だから、笑顔できっぱりとお断り。


 ハクとライムは笑顔なんか必要ないって怒ってるけど(「蜂蜜を譲ってくれ」発言を根に持ってるみたい)、いつ依頼でこの町に立ち寄ることになるかわからないんだし、余計な禍根は残さないようが良いよね?


 そんな私たちを見ていた依頼人夫妻(オデッタたち)は、自分たちがさっさと町を出ることで私たちを助けてくれた。


 危険がいっぱい!の門の外に依頼人を放置するなんて護衛任務中の冒険者としてはあり得ないことなので、ギルドマスターも私たちを引き留めるのを諦めてくれたけど、


「近くに来ることがあったら、また立ち寄ってくれなーっ! 歓迎するぞーっ!」


 私たちが門を出るまで、手を振りながら見送ってくれた。


 うん。近くに来ることがあったら立ち寄るから、その時はのんびりさせてね!












 門を出てすぐの所で待っていてくれた御者席のアルフォンソさんに感謝を込めて手を振り、先に進む。


 昼に全力で走ったことでご機嫌なニールとスレイが散歩モードでぽくぽく歩くので、後ろから来ているアルフォンソさんも穏やかな表情だ。


 この時間に町から離れて行く馬車が珍しいのか、門限に間に合うようにと急いでいるはずの対向の馬車や旅人から、「町で何か起こっているのか!?」と聞かれ、「何も起こっていない。ただ単に宿代を惜しんだだけ」だと答えると、びっくりしたようにスレイとニール、馬車と私を何度も見ては「……宿代?」と呟かれて苦笑してしまう。


 スレイプニルが2頭で引く馬車に乗っている私が貧乏だって言ったらそんなに意外? 


 スレイプニルが2頭(ニールとスレイ)とハクとライムがいるからこそ、下手な宿に泊まるより野営の方が快適で安上がりなんだよ!って言いたいのを笑って飲み込む。 従魔たちの自慢をしだしたら、時間がいくらあっても足りなくなるからね!


 陽が落ちて真っ暗になる前に今日の野営地を見つけたいなぁ、と思っていると、


「今日はあの辺りでのんびりするのにゃ!」


 ハクが街道から少し離れただけの野原を前足で差す。


 草が腰の辺りまでぼうぼうに生えているけど、テントを張りやすい平らな地形だしマップや魔力感知を使って確認しても、魔物や盗賊が潜んでいる様子もない。


 街道からすぐ側の場所だから落ち着かないかな?と思いながら馬車を止めてアルフォンソさんやオデッタに提案したら、即OKが出たので今日の野営地があっさりと決定した。


 ウインドカッターで辺り一面の草を刈り、テントを取り出したらトイレを設営。


「こんなにきちんとしたトイレを用意してくれるんだもん。街道のすぐ側でも平気よ~!」


 とはオデッタの発言。


 ……草刈りの時、何も考えずに一面の草を刈っちゃったけど、街道とトイレの間の草は残しておけば良かったかな?


 少しだけ反省。


 どうやら自分が思っているより疲れていて判断力が鈍っているようなので、今日は早めにゆっくりと寝ることにする。


 さて、その前に晩ごはんだよね。 今夜は何にしようかな?


ありがとうございました!

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