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護衛旅 集落 19 

 どうしてこの宿がわかったのか? 


 そんな私の疑問は、


「小さい町だからな」

「小さな町なので」


 との答えにあっさりと解消した。


 宿屋を片っ端から当たったようだ。数が少なくて楽だったとのこと。


 だからといって、朝一番で宿の前で待ってなくてもいいのにね?


 少しだけ呆れた視線を送った私に、2人は揃って苦笑する。


 昨夜、私と従魔(ハクたち)がこの町の宿に泊まらなかったことで、冒険者ギルドで不愉快な思いをした私は、さっさと町を離れる可能性が高いと思ったらしい。


 だとすれば、私に会いたければ、依頼人が泊る宿の前に陣取っておくのが手っ取り早い。


 今のように依頼人を迎えに来るならここで会えるし、依頼人とは町の外で待ち合わせをしているのなら、依頼人の後をついてくれば確実に会えるだろうから、と。


 昨日引き渡した盗賊たちの懸賞金などをまだ受け取っていないのだから、突然朝イチで町を出ることはない。ギルドのマスターと裁判所の職員さんがわざわざ待たなくても、Gランク冒険者にでもお使いを頼めば良い事なのに。と思った私は、


「君にとってはヤツらに掛かっている懸賞金などはした金ではないか!」

「盗賊退治は貴族の義務だと、懸賞金などを受け取らない方もいらっしゃるので……」


 彼らからの自分たちに対する印象に膝を崩しかけた。 


 少なくても、盗賊たちを鉱山奴隷として売ったとしての最低価格10万メレを含む懸賞金などの収入ははした金ではないし、私は貴族ではないからそんな義務を負ってもいない。


 私はお金にがめついただの冒険者だ。


 脱力しながらもそう説明したのに、2人は互いに顔を見合わせ、乾いた笑いを漏らしただけだった。

 もう、面倒だからさっさと用件に入ってもらう。


 ギルドマスターの好意でまずは裁判所の職員さんから。なんだけど……。


 昨日私に絡んだ冒険者ギルドの職員と後を追って行った男の2人が、酒に酔って酒場の客と喧嘩騒ぎを起こしたとのこと。当然速やかに捕まったんだけど、取り調べの際にしきりに私への恨みなどを口にするので(というか、しばらくは恨み言しか口にしなかったらしい)、一応の事情聴取と恨みを買っているから身辺に注意した方がいいと忠告する為に来たとのこと。


 ………聞かなきゃよかった。


 で、次はギルドマスターの<造血薬>と<解毒薬>のことだっけ?


 予備があればもっと欲しいってことかな? とりあえず話を聞こうとギルドマスターに顔を向けたら、


「君は、キラービーの蜂蜜を持っているだろう? 少しで良いのでギルドで売ってもらえないだろうか?」


 ……薬以外のことを言われてしまった。確かに、とても困っているって言っていたけどね?


(ダメにゃ!)

(ダメなの!)


 聞いた瞬間ハクとライムが戦闘モードに入る。


 毛を逆立てて威嚇するハクも、ぽよんぽよんと全身で上下運動をするライムもとっても可愛いんだけど。


 こっちの話も聞かなきゃよかったな……。


 と思ってしまった私は、決して薄情なんかじゃないハズ。


ありがとうございました!

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