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護衛旅 集落 15 でも野営 ……はトラブルを招くらしい 5

 ハクが張ってくれた結界のすぐ外側で、寝袋も使わずに折り重なるようにして倒れているパーティ―を見て、一瞬だけ生命の危機を心配したんだけど、


「あ~……、昨夜は遅くまで迷惑をかけて、本当にすまんかった…です」


 ここから少しだけ離れた、彼らの野営場所の薪の前で座り込んでいた男性に声を掛けられて安心する。


 仲間の命を心配している雰囲気ではなかったからね。


 だとしたら、彼らのこの状態は何? ❝昨夜遅くまで迷惑❞って何のことだろう?と思ったのが伝わったのか、彼は苦笑しながら、


「ああ、やっぱり気がついてなかったか…ですか。うちのバカが結界をバンバン叩きながら大騒ぎをしちまったんだ…です」


 昨夜何があったのかを話してくれた。


 昨夜、私がごはんのライスピザを食べている時、私はハクが私たちを閉じ込めるタイプの色付きの結界に切り替えてくれたんだと思っていたんだけど……、そうじゃなかったらしい。


 ❝見えない❞❝におわない❞のは私たちからだけで、彼らからは、私たちが楽しそうに(おいしそうに)食事をしているのが見えていたし、焼けたチーズやケチャップの香りもしっかりと届いていたようだ。会話は聞こえていなかったらしいけど、さすがにハクもそこは考えたらしいね。


 で、昨夜何が起こっていたか? それは私の最後の記憶、彼らが、彼らを拒む結界に気が付いて抗議(?)の為に結界を叩きながら何かを言っていたあの光景が、随分と長い時間繰り返されていたようだ。

 そもそもどうして結界を叩いていたのかってことなんだけどね? 悪意を持って結界に触れると攻撃されるって知っていてなぜそんな行動を取ったのか。


 それは、ただ単に、


「飯を譲って……もちろん金は払う! あ~、飯を売ってもらえないかと交渉したくて、です」


 ということらしい。


 彼らは日帰りの予定だったので晩ごはんは町で食べる予定だった。もちろん<冒険者>の嗜みとして、多少の携帯食は持っていたらしいが、


「町のすぐ側、しかもあんたらがあんなに美味そうなものを食ってる側で味気ない携帯食を食う気になんかなれん…ですよ」


 だそうだ。


 ハクの報復行動は、なかなか的を射た行動になっていたようだね。


 それが夜中まで続いていたのかとびっくりしたけどそうではなく、私たちの姿は、私がごはんを食べ終えた段階で見えなくなっていたらしい。でも、その後、私たちが朝食や携帯食を作っていた時の香りはずっと、彼らに届いていた、と。


 その香りに空腹を刺激されて我慢の限界を迎える度に、例のカレが結界を叩きながら「食い物を売ってくれ!」と大騒ぎを始め、それを押さえる為にパーティーのメンバーが頑張ったのが、この朝の光景に繋がったようだ。


 私はハクの結界のお陰で何も気が付いていなかったんだけど、いつの間にか到着していた旅人風のマントを羽織った男性がテントを片付けながら、ハクの張った結界の外側でぐったりとしている彼らを見る迷惑そうな、呆れたような視線見て、彼らパーティーのメンバーは昨夜は本当に大変だったんだな、となんとなく察することができた。


 ❝うちの従魔がいたずら好きでごめんなさいね❞ この一言が言えれば全ては簡単に収まりそうな気もするんだけど、昨夜の一連の流れは全て私の行動だと思われているんだよね……。


 どれだけ根に持つタイプだと思われているのか……。夜番をしていた彼の、とってつけたような❝です・ます❞口調の理由が判明したね。


 あの程度のことじゃあ報復なんて面倒なこと、考えもしないよ~? 


 まあ、とりあえずはこの原因であるハク? ちょっとお話をしようか!


ありがとうございました!


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