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護衛旅 野営 7 蜂蜜採取

「これ以上近づくのは危険にゃね~」


 ハクは暢気に笑いながら言ってるけど、私は笑えないよ? 


 私の背よりもずっと大きな蜂の巣。ここから連想するのは、①蜂自体が大きい種族 ②とんでもなくたくさんの蜂が生息している。ってことなんだから。


 どっちの想像が当たっても怖いけど、②番だったら速やかに逃げるしか手が浮かばないほど怖いよね? だって空を飛ぶ上に攻撃を当てにくい大きさの蜂が無数にいるんだよ? しかも1匹1匹が人を殺せるだけの毒を持ってるんだから、怖いに決まってる。


 なのにハクは嬉しそうに舌なめずりしてる。


「あれだけ大きな巣なら、きっと蜜もいっぱいにゃ♪」


 ってことらしいんだけど、蜜を採る為には蜂と戦わなきゃいけないってことはどう思ってるのかな? 防護服もないんだよ?


 なんて、あたふたしているの私に、


「じゃあ、アリス。頑張るのにゃ!」


 ハクは至ってお気楽に❝お任せ❞してきた。


 …………手伝ってくれないのーっ!?












 異世界(ハク)流、正しい蜂の巣の駆除方法は、


 1蜂の巣を大きな水で包み込んで、中の蜂(とその周囲を飛んでいる蜂)を溺死させる。

 2蜂の巣を凍らせて、中の蜂(とその周囲を飛んでいる蜂)を凍死させる。

 3蜂の巣を囲むように密閉して、周りの蜂ごと中の蜂を窒息死させる。


 らしいんだけど……。


 まず1番。これは【ウォーターボール】を使う。通常、投げつけて使うウォーターボールを破裂させないように優しく巣まで移動させ、巣を飲み込ませたら水をそのままの形で蜂が全滅するまで維持するという、高等技術が必要となる。


 えっと、練習すればもしかしたらできるようになるかもだけど、ぶっつけ本番ではやりたくない。失敗するイメージしか浮かばないからね。ハクも「蜜の味が落ちるからお勧めしないのにゃ」って言ってるからこれは没だね。


 次に2番。これは離れている巣を中心に【アイスボール】を作るらしい。今までは自分の手のひらの上で作っていたアイスボールを離れた所にって……。まあ、練習すれば何とかなるかもだけど、いきなりは無理だと思うんだ。失敗して巣を破壊するイメージしか湧かないんだもん。これもハクが「氷を解凍させるときに蜜の味が落ちるのにゃ」って嫌そうに呟いたから没になった。


 話をしながら、1番もわざわざウォーターボールを作ってから巣まで移動させなくても、最初から巣を包み込むイメージで作れば良いんじゃないの?って思ったんだけど、口には出さない。だって、どっちにしてもできないからね。余計なことは言わぬが吉です。


 残った3番が本命らしい。私がやるなら、【アースウォール】の変形バージョンかな? 土の壁で密閉の箱を作るように……、って考えたら難しそうな気がするんだけど、ハクが「これが蜂蜜を守れる1番お勧めの方法なのにゃ!」とノリノリなので頑張ってみる。


 ちなみに、蜂蜜はまだインベントリの中にもあるし、なくなる前に【複製】すればいいんだから❝ここはスルーしよう❝案は❝キラービーの蜜は普通の蜂蜜の何倍もおいしい!❞というハク情報の前に速攻で却下。


 そんなにおいしいなら、仕方がないよね~? 頑張ろっと♪


 異変に気が付いたキラービーたちが巣から出てきたら退治するのが面倒だ。だから、慎重かつ迅速に事を為す必要がある。


 巨大な蜂の巣をじっと見ながらシミュレーション。


 今回はいつもの穴を掘る為の物ではないから、【アースウォール】に使う土は巣の周りの土と私の魔力で作る土にする。魔力で作るのだから、当然いつもよりも大量の魔力が必要になるんだけど、問題無し!と思う。ビジューが大量のMPを保持する体をくれたからね。


 だから必要なのは、きっちりと密閉できるように角を作って合わせることと、土を堅く締めて空気の通り道を塞ぐこと。当然キラービーたちが体当たりしようがお尻の針で刺しまくろうが壊れない強度が必要。


 …………OK! イメージできた!


 身を隠していた木陰からそっと出ていって、キラービーの巣を見つめて魔法を発動!


 まずは巣の周り3辺に壁を作ってから、最後の1編の形を変形バージョンのL字型にして上も塞ぐ。


 巣の周りで警戒していたキラービーが異変に気が付いて私を見つけてしまったけど、とりあえずは気にしない! 怖いけどね! まずは魔法を完成させないと!


 と思った私の周りを囲む透明な防御壁。


 ……ハクは結構な頻度で無茶ぶりして来るけど、いつでも私の安全を守ろうとしてくれる。こんな時だけど、やっぱりハクは私の頼れる守護獣なんだなって実感できて、思わずにやけてしまった。…内緒だよ?


ありがとうございました!

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