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<従魔>って、なんだっけ? 2

 私は嫌だと言った。


【マップ】に映る魔物を示す赤ポイント。その多くがタランチュラのものだと確認した私は、先を急ぐことを提案したんだ。


 この林を抜けたら近道!という訳でもないからね。わざわざ魔物のいる林に入る必要はないと。


 でも、


「お願い、アリス! アリスの気に入る採取品が見つかったら全力で頑張るから!」

「タランチュラの糸と爪は売りに出せばすぐに買い手がつく有力商品なのです。しかもアリスさんはこれを不要だとおっしゃる。どうか我々に採取をさせてください!」


 高額では売れない素材なのに何故か依頼人夫妻が熱烈に欲しがり、


(糸と爪の売り上げの8割が入ってくるのにゃ! 魔石は当然僕たちのものだし、これはおいしい話なのにゃ!)


 筆頭従魔(しゅせんど)のハクが強烈に後押しをし、


(いっぱいひりょうをだしたから、ぼく、えいようがたりないの。タランチュラをたべたいな~?)


 かわいいライムがおねだりという形でハクに続く。


 お腹が空いているのなら、私が作ったごはんがあるよ?と勧めてみても、


(アリスのおいしいごはんはひりょうになんかしないよ? もったいないもん)


 ごはんと魔物は別ものだと主張され、だったら蜘蛛なんかじゃなくて別の魔物、インベントリに入っているオークを食べさせてあげると言っても、


(オークはおいしいごはんになるからダメ~)


 あっさりと拒否されてしまう。蜘蛛……というより蟲全般が苦手な私としては、一刻も早くこの場を離れたかったんだけど、


(ぼく、もうエイヨウブンがからっぽなの)


 さみしげに、呟くように言ったライムの一言に負けてしまった。


 ……項垂れる私を見て、ハクがライムに「えらいのにゃ!」なんて褒めてるのが目に入ったけど、もういいや。


 ・蜘蛛の形がそのまま残っている状態では私は預からない。

 ・蜘蛛を索敵&討伐はするけど解体は手伝わない。っていうより、私は死骸に近づかない。


 ことを条件に、依頼人夫妻の要望を聞き入れることにした。












 やると決めたからには、ひたすらに蜘蛛を退治するだけ。


 さっさと終わらようと【ウインドカッター】を使っていると、


(ダメなのにゃ! お腹(いと)を切ったら、高く売れないのにゃ!)


 すぐにハクからダメ出しが入る。


 ウインドカッターで頭部を狙うと、どうしてもお腹も一緒に切断してしまう。


 だからといって【ファイヤーアロー】を使ったら木に引火するかもだし、【ウォーターボール】だと効きがイマイチ。


 だったら【アイスボール】はどうだと頭部を狙ってぶつけてみると、……蜘蛛を後ろの木まで吹っ飛ばし、足の爪は折れるし体内の糸は変な体液で汚染された状態で凍りかけるという大惨事に。


 最終的に【アイスニードル】で頭部を貫き殺す。という手段に落ち着いたんだけど、


(お腹まで貫通させたら糸が傷むのにゃ!)


 それなりの勢いを付けて放つ【アイスニードル】は蜘蛛の頭を貫通してその後ろのお腹まで通ってしまう。横方向からの攻撃なら大丈夫だったんだけどね? 正面からの攻撃だと力加減が難しく……。


 上位種のアラクネーの方が簡単に倒せるのに! タランチュラなんて放って置けばいいのに!と内心で叫びながら試行錯誤した結果。


(そうにゃ! 上手にゃ! これなら素材を傷めないのにゃ。これで売り上げの8割入手なのにゃ♪)


 アイスニードルを蜘蛛の上に出現させ、下に落とすようにして蜘蛛の頭部を貫く。という細やかな魔力操作が必要になる攻撃方法を会得した。


 この攻撃、必要なのは細やかな魔力操作だけでなく、空間認識能力なども必要みたいできっちりと攻撃を当てるのにとても疲れる。


 …………UFOキャッチャー、もっといっぱいやっておけばよかったかも?


ありがとうございました!

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