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出発前の下準備 8

 私の作った携帯食と言えば、


 ・アルファ化米

 ・煮ボア(煮オークもあり)のジャーキー

 ・粉末状にしたスープの素

 ・即席麺

 ・調理済みでお湯で戻すだけの乾燥野菜(スープや即席麺の具材として)


 といった所だろうか。ああ、干しリンゴも一応は携帯食になるか。


 インベントリリストとにらめっこしながら❝携帯食❞と呼べそうなものを取り出していると、


「この干し肉、すっごくいい香り!」


 興味津々のオデッタが煮ボアのジャーキーを指差しながら、旦那(アルフォンソ)さんの腕を振り回している。


 掴みはOKって感じ?


 それぞれの食べ方を説明し、実演(お湯を掛けるだけ♪)しながらどのくらい必要なのかと聞いてみると、


「とりあえず7日分かな」


 とのことで、ちょっと困ってしまう。


 確かに7日分もあれば急場はしのげるだろうけど、私の手持ちの携帯食では種類が少なすぎる。


 味についてはオスカーさんやイザックたちのお墨付きの食品ではあるけど、もしもの時に7日間も同じものを食べるのはさすがに辛いだろうと思い、私以外の所からも用意することを勧めてみると、


「普通の携帯食って、カッチカチに乾いていて口の中の水分を全部奪っていく堅~いパンとか、ひたすら塩っ辛くて匂いがきつくて嚙み切るのに苦労するような干し肉とか、乾燥したクズ野菜をお湯で戻すだけの味も素っ気もないスープしか種類がないのよ……。アリスは食べたことある? 私、今回の話が持ち上がった時に試しに食べてみて、……こっそりと一晩泣き明かしたのよ」


「! ……そうだったのかっ!?」


 スッと表情を無くしたオデッタが呟くように試食の感想を告げて、アルフォンソさんを慌てさせた。が、


「だから今回アリスの評判を調べている時に冒険者の人たちから<アリスの携帯食>の話を聞いて、どれだけ嬉しかったか! ……ねえ、もう食べてもいい?」


「ああ、私も気になっていたんだ。アリスさん、いただいてもよろしいですか?」


 オデッタの興味が目の前で食べごろになった携帯食に移ると同時に、アルフォンソさんの意識も携帯食に移ったようだ。


 まあね。大切な奥さんが食事の度に悲しい思いをしないように、持って行く食料の味のチェックは大事だよね。


 夫妻の口に合えばいいな、と少しだけ祈るような気分で「どうぞ」と答えた。


 ……もう、味見の必要のない、ハクとライムまでがボア肉のジャーキーを食べたがったことは想定内。


 携帯食を気に入ってくれたオデッタが即座に10日分の購入を決め、特に気に入ったらしい即席麺のおかわりを作り始めたことや、<米>を初めて食べたらしいアルフォンソさんが、


「これが❝飼料❞として扱われていることになんの疑問も持たなかったなんて、私は商人としてなんと未熟者だったのか……」


 深~く落ち込んでしまったことは想定外。


 でもすぐにアルファ化米の仕入れを検討して計算を始めるあたり、商人としてのタフさを見た気がするよ。この姿勢は私も見習わないとね!


 ……それにしても、オデッタ? 今あなたが食べている即席麺は旅の間の非常食のハズだよね? 万が一、があった時の為に置いておかなくてもいいのかな?


 アルフォンソさん? 嬉しそうに食べている奥さんを見て幸せそうに微笑むあなた達はとっても仲良しで素敵な夫妻だと思うんだけど、そろそろ止めなくてもいいのかな? 奥さん、また即席麺に手を伸ばそうとしているよ? 


「ああ、あれは私の分だから大丈夫ですよ。残したりはしません」


 ってことじゃあなくってね? アレ、非常用の携帯食だと思うんだけど?


 まあ、アレが必要にならないように、頑張って護衛するけどね!












 試食(?)が済んで満足そうな2人から、旅の間の荷物を預かる。


 リストと荷物(商品含む)の照らし合わせには想像以上に時間がかかってしまったけど、この旅の間に何回かする作業だから、その内に慣れるだろう。



 味見程度のジャーキーでは満足できなかったハクとライム(くいしんぼう)に急かされて、旧ミネルヴァ邸へと戻ってみると、


「「「「「おかえりなさい!」」」」」


 この家屋の持ち主でもある総支配人さんを筆頭に、総料理長、ディアーナ、シルヴァーノさん、従魔登録担当(セラフィーノ)商業ギルドマスター(ネストレさん)首席裁判官(マリアンジェラさん)が庭先で出迎えてくれた。


「明日の朝、出発でしょう? 忙しいのはわかっているからお別れだけ言いに来たの。アリス、今まで本当にありがとう! とっても楽しかったわ!」


 ディアーナの一言で、どうしてみんながここにいるのかがわかってびっくりした。わざわざ、お別れの挨拶をしに集まってくれたんだ!


 事情を理解したハクとライムが嬉しそうにみんなに元へ飛び込んで行く。


 そうだよね! びっくりしたけどとっても嬉しいよね!


 せっかくだから、この嬉しさを何かの形で表現したい。 そう思った私は心話で従魔(ほごしゃ)たちにとあるお伺いを立てる。


 4匹からのお返事は、


(今日は特別にゃ! いっぱい楽しんで、明日は馬車の中で寝てるといいにゃ♪)

(ぼくがクッションになってあげるからあんしんしてね)

(明日からの移動は安心して我らにお任せを!)

(主さまはゆっくりと馬車の中で休まれてくださいまし)


 とのこと。


 もちろん、きちんと護衛の仕事はするつもりだけどね。今日はハクたちが揃って私を甘やかそうとしてくれるので、安心して甘えることにする。


「みなさん、わざわざ集まってくれてありがとう! 今からお別れのお食事会を開くから、良かったら付き合ってね!」


 せっかく来てくれたみなさんと、ゆっくりお別れしたいじゃない? 


 手持ちの料理とお酒だけで申し訳ないけど、即席のお別れ会を開くことにした。


 湿っぽいのは苦手なんだ! 今日はみんなの笑顔を目に焼き付けるよ~!


投稿するのを忘れてました!


今日も読みに来てくれて、ありがとうございます♪

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