出発、の前にお見送り 2
少し短いです……。
Q.30万円あったら何ができますか?
A.私が日本でもしも1人暮らしをしていたら、ひと月分の生活費用を軽~く賄えます。贅沢をしなければ週に1度くらいは外食だってできるし、貯金もできます。
そんな大金が、一食分どころか一皿分なの!?
カッサンドラさんのぶっとんだ金銭感覚に驚き、何も返事が出来ずにいると、
「もしかして、お安す過ぎたのかしら……?」
ちょっとだけ不安そうな表情のカッサンドラさんが問いかけてきた。
もちろんそんな訳はない。いつもなら大喜びするであろうハクとライムが、
(一皿分で30万メレ……。ドラゴン肉でもにゃいのに……? ドラゴンの肉は一体いくらするのかにゃ?)
(ぼくたちのごはんって、ちょう!コウキュウヒンだったんだねぇ……)
ちょっと引き気味になるくらいには高値を付けてもらっている。だから、
「でしたら50万……、いえ、ダメよ。あまりに高額だとだんな様に叱られてしまうわ! だったら量を減らして30万メレ分だけ売っていただく? ……これもダメだわ。 わたくし、大切な旦那さまの分まで食べてしまわない自信がないもの」
カッサンドラさんが値上げをするか、食べる量を少量で我慢するかと真剣に悩み出したのを見て、急いで声を掛ける。
「30万メレで十分だよ。思っていたよりも高額を付けてくれたから、少しだけサービスしてあげるね! ミネルヴァ家のみんながネフ村に肥料を持って行ったんだけど、馬車に乗りきらなかった分が少しだけ残っているからこれをあげる! 今から物置に入れに行くから、カッサンドラさんも立ち会ってくれる?」
「まあ! 本当ですの? とっても嬉しいですわ!! 旦那さまがどれほどお喜びになることでしょう! ありがとうございます、アリスさま!!」
前回の納品のあと、ライムがせっせと作ってくれた肥料をお裾分けすることにすると、カッサンドラさんは本当に嬉しそうに笑ってお礼を言ってくれた。
カッサンドラさんの喜びは、総支配人さんが喜ぶから嬉しい♪という感情がとても分かりやすくて、仕事とはいえ総支配人さんと別れて暮らすのは辛いだろうなぁ……と思っていると、
「アリスさまったら、わたくしを心配してくださいますのね? 嬉しいですわ! でも大丈夫です。だって、旦那さまったら、ここの総支配人姿ももちろんですが、ルクレツィオさまの相談役を務めている姿もとっても恰好いいのですもの! わたくしは旦那さまがわたくしを妻として大切に思ってくれていること、いつだって忘れることはございませんわ!」
とても嬉しそうに惚気られてしまった。
あはは! ご馳走様です♪
惚気話のお礼として、極桃オークの角煮のほかに、極桃のドライピーチも少しだけサービスしてあげることにした。
(元気でにゃ!)
(またね~♪)
ハクとライムも反対しないばかりかカッサンドラさんとお別れの挨拶をしていたので、ほんの少しだけ、最初の予定よりも多くドライピーチをあげてしまったことは……、2匹には内緒です!
幸せそうに極桃オークの角煮と極桃のドライピーチを持って馬車に乗り込むカッサンドラさんを見送った。
いつかまた、どこかで会えるといいね!
今日も読んでくださって、ありがとうございます♪




