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出発、の前にお見送り 1

 出発までの1週間は、ひたすら料理と製薬と複製に時間を費やすことにした。


 依頼人夫妻と夫妻のお馬さんの分の食料も必要になったからだ。


 もちろん移動中も料理や製薬をするつもりだけど、時間が取れない日もあるだろうし、ゆっくりと食事の支度をする時間よりものんびりと休息を取る時間を優先させたい日もあるだろうしね。


 とりあえずはミネルヴァ家のお引越しの際にごっそりと減った、即席麺やアルファ化米を補充かな?


「煮オークもにゃ!」

「ドライフルーツもわすれないでね!」


「了解♪」


 ハクの大好きな煮オーク(干し肉になった)とライムの大好きなドライフルーツも在庫が大幅に減っているから、補充しないとね! 


 ミネルヴァ家の子供たちも、おいしく食べてくれているかなぁ?












「まあ! なんて良い匂いなの!!」


 可愛いハクとライムの為だから、いつもよりももっとおいしい物を作りたくて。


 作ってみました! 極桃オークの角煮とこの角煮を使った干し肉もどきとドライ極桃(ピーチ)


 素材のランクがあがると、香りも味も段違いにおいしくなるのは常識だよね? それがわかっていても、


「お肉とろとろっ! 脂が甘~いっ! 極桃はフレッシュもびっくりするくらい美味しかったけど、水分が抜けてるのも甘みが強く感じられて良いね~っ!」


「おかわりっ! おかわりなのにゃ! 角煮をもっと食べたいのにゃ!」

「ぼくもおかわりなのっ! ドライピーチをもっとたべたいの!」


 極桃オークで作った角煮と極桃で作ったドライピーチは格別に美味しい♪


 カッサンドラさんが旧ミネルヴァ邸にやってきたのは、私たちが試食という名目のつまみ食いを止められなくなっている時だった。


 空けていた窓からの漂う香りに釣られたようで、一直線にキッチンに向かってくる。ドアを開けて香りの素を見つけると満面の笑顔で空のお皿を手にし、


「ごきげんよう、アリスさま! このとっても美味しそうなお肉を5万メレ分、無理なら3万…1万メレ分で良いので買い取らせてくださいな! 突然ですけれど、わたくし明日の朝王都へ戻ることになりましたので、今夜が夫と過ごす最後の夜になりますの。アリスさまのお料理を晩餐にいただけたら、とっても良い思い出になると思いますの!」


 突然の買取交渉が始まった。


 ハクとライムの為に作った極桃オークの角煮だから、売っても良いかどうかは2匹次第。2匹の反応は、


(……総支配人(ロランド)の為なら仕方がないのにゃ。でも、スレイとニールの分はちゃんと取っておくのにゃ!)

(ロランドすきだからボクもいいよ~。 でも、ちょっとだけ、ね?)


 とのことなので、譲ってあげることに……、


(タダでもいいのかな?)


((だめ!)にゃ!)


 売ってあげることにした。


 でも、5万メレ分ってどれくらいかなぁ? 相場がわからないので困ってしまう。いっそタダの方が楽でいいんだけど……、と悩んでいるのが売り渋っているように見えたのか、カッサンドラさんが少しだけ不安そうな表情を浮かべたので、お皿に2人分の角煮を盛ってから小皿に味見用の一口分を分け、


「極桃オークは売るつもりがなかったから値段は考えていないの。カッサンドラさんが値段を付けていいよ。とりあえず、味見してみて?」


 難しいことは凄腕商人(カッサンドラ)さんに丸投げする。総支配人さんの奥さまだからね。信用してるってことで!


 いくらになっても文句は言わないつもりで答えを待っていると、味見用の角煮をゆっくりと咀嚼していたカッサンドラさんがおもむろに目を閉じ、


「ああ、いつまでもずっと味わっていたかったのに、口の中で溶けてしまいました……。が、なんて甘美な後味……。これは何としても旦那さまにも味わっていただかなくては!」


 後味を楽しんでいたかと思ったら、次の瞬間にはキッと角煮を盛ったお皿を睨み、


「極桃オークのお値段が1頭平均500万メレ。そのお肉をお皿に山盛りに持っていただいていて……、味付けがこれまた最高のお味……。


 アリスさま、このお皿、30万メレでいかがかしら!?」


 なんだかとんでもない価格をはじき出した。


 あれ? カッサンドラさんて、すっごく大きな商会の敏腕商会長さんじゃなかったかな?


ありがとうございました!

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