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お引越し準備 12

 ハクとライム(と私)の抗議で、高額買い取りをしてくれてもおかしなノベルティは付かないと訂正コメントを出した自称<金はないが腕は良い。金欠中堅冒険者>さんだったけど、上がり過ぎている価格の値下げには難色を示した。


 私が彼に預けた造血薬と購入希望の冒険者の数が釣り合わないので、より高額で購入してくれる人に売るのが当然。早い者勝ちにすると後で諍いの種になるとのことだ。


 買おうと思った物が売り切れてしまった場合、残念に思う気持ちで少しの不満を口にする人は出るかも知れないけど諍いなんて大袈裟だ。そう思った私が再度価格を下げるように言おうとしたら、


「彼の言う通り。アリスの作る薬は割高にしておかないと既存の薬師たちが迷惑するし、今回は販売数が少ないんでしょう? だったらならなおさら高値にしておかないと転売屋が出て秩序を乱すだけ。

 レシピが販売されてアリスの造血薬が<造血薬>のスタンダードになるまでは、高値で販売するべきよ」


 ディアーナからも同じような忠告をされてしまう。


<転売屋>なんて出るかな?と思わず購入希望の人たちに視線を流してしまうと、


「<造血薬>の必要性をわかっているヤツらは絶対に転売なんか。自分が飲みたいからな。でも、造血薬の必要性をわかっていないヤツら、自分が飲まないヤツらにとっちゃあ、儲けの種に見えるだろう。 新人(ルーキー)の大半はその日の宿代を稼ぐのでいっぱいいっぱいだからな」


 視線の意味をきっちりとくみ取ってくれたベテランらしき冒険者さんが答えてくれた。


 金欠中堅冒険者さん、ディアーナ、ベテランらしき冒険者さんの意見に頷いているハクとライム。きちんとした説明を聞いたら私も納得するしかない。金策中の私としても、高値で買い取って貰えるのはありがたい話だしね。


 でも、ヒートアップし過ぎだったさっきの販売会には改めて水を差しておく。


 余計なおまけは付きません! それでも良かったらぜひ購入してね! の路線で金欠中堅冒険者さんに販売をやり直してくれるようにお願いする。


 金欠冒険者さんがまるでベテラン実演販売士さんの様で見ていておもしろかったから、最初から見たかったって言うのは……、ハクとライムには内緒だよ?












 仕切り直しなのに、最初からノリノリな金欠冒険者さんと購入希望の冒険者さんたち(いつの間にか衛兵さんも混じってた)のやり取りは見ていてとっても楽しい。


(もう一声! もう一声にゃ! ……良し!………にゃ)

(やったね! ……でも、もっともっとたかくかって~!)


 そして私以上に楽しんで(?)いるのが、うちの可愛い保護者たち。


 余計なおまけは付かないとわかった冒険者さんたちが落ち着きを取り戻したせいか、先ほどのような大幅な値上げはなくなり、今やっと50,000メレを越えたばかり。 


 十分だと思うんだけどね? さっきの半額では満足できないうちの可愛い守銭奴(ほごしゃ)さんたちは、


「うおっ!? っと。この可愛い従魔を見てくれよ! アリスさんの従魔たちが、この薬はもっと高値の価値があると声を上げているぞ! さあ、我こそは! と思う方はどうぞ! はい、57,000がでました!」


「にゃあん? にゃ!」

「ぷきゅん? ぷきゅ!」


 ベテラン販売士……、金欠冒険者さんの両サイドに移動して、値上げを応援中だ。


 う~ん? そろそろ依頼をこなしに出かけたいんだけどね?


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