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お引越し準備 3

遅くなってしまってすみません><

「……子守兼護衛?」


「そう。小さな子供たちが多いから、大変だと思うけど引き受けてもらえないかな?」


「子守、のついでの護衛なのか?」


「ううん? 護衛のついでに子守もして欲しいの。あ、話し方が悪かった?」


 アルバロとマルタのパーティーメンバーたちの緊張が薄れ、和やかな雰囲気の中でこれまでこなした依頼の話を聞いていると、バルトロメーオ(バルさん)が自分のパーティーメンバーを連れて戻って来てくれた。


 依頼を終えて戻って来たばかりなのに、全然疲れを感じさせないリーダーさんが席に座ると同時に「子守の相手は得意?」と聞いた事が悪かったらしく、リーダーさんは目をパチパチさせて戸惑っていた。


 でも、


「ガキの相手? 俺は結構好きだぞ?」


「あ、俺も! 老獪な護衛対象や威張り腐った我儘な護衛対象よりも、やんちゃな子供たちの方が楽しいよな! ……体力勝負で目が離せなくて疲れるってわかってても、さ」


 バルさんを始め、メンバーさんたちは好感触のようだし、メンバーの反応を見たリーダーさんも、


「まあ、うちにはでっかいガキのようなこいつがいるからな。おチビさん達の相手も苦手じゃないぞ」


 と乗り気になってくれた。


 リーダーさんに指を指され子供扱いされたバルさんが拗ねている気がするけど……、まあ、バルさんだからね。放っておいても大丈夫だろう。


 と、いうことで。私の依頼を受けてくれることになった3つのパーティーと急遽懇親会を開くことになった。ルシアンさんやイザック達も一緒の方が良いんだけど、急に決まったことだから仕方がない。また後日、子供たちも一緒に❝顔合わせ❞の食事会でも開くとしよう。













 ディアーナに詳細を話し、皆さんに護衛依頼(出発日はまだ未定)を受諾してもらったあと、酒場の隅の席を借りて懇親会をスタートさせた。


 ギルドの酒場はお1人様1ドリンクのオーダーで、食べ物の持ち込みを許してくれるからありがたい。……マスターの味見希望の視線をスルーする必要はあるけどね。


 総勢20名弱の団体を軽~く受け入れてくれるお礼に少しお裾分けするくらい構わないと思うんだけど、ハクとライムが許してくれないんだから仕方がないよね? 以前に日本酒(勝手に日本酒って呼んでるけど正式な名前はなんだろう?)を高値で勧められたことを根に持っているらしい。


 間に入って安く譲ってくれたシルヴァーノさんに対してはとっても友好的で、仕事中のシルヴァーノさんと視線が合うと左前足を耳の横で❝こいこい❞して(リアル招き猫!虎だけど♪)テーブルに招いては(呼びつけるともいう)、『これお食べ』とばかりに小さな頭でお皿をぐいぐいとシルヴァーノさんに向けて押しやっていた。もちろんディアーナの分も忘れずに2人分。


 なんだかんだ言っても、身内扱いの人たちには結構甘いんだよね。私の可愛い守銭奴(ほごしゃ)たち。












 ここまでの旅路で仲良くなっていたアルバロとマルタのパーティーメンバーに、バルさんたちのパーティーメンバーが加わってもぎくしゃくすることなく、とっても和やか……、いや、賑やかな懇親会になっている。


 さすがは皆さん大人だな!と感心しかけたんだけど、


「でよぉ、アリスちゃんに腕を切り飛ばされちまって……。

 なんだこれ!? これもうめぇ! ほんっとにうめぇなあ!!」


「うわっ! アリスに絡むなんておまえバッカだなぁ! 

 だろ? アリスの料理は何を食ってもバカみたいに美味いんだ。これが食えるんだから、おまえ…、バルトロメーオだっけ? ちゃんと反省してよかったなぁ!」


「ああ、ほんとだよなっ。……でな? そんだけ怒ってたのに、アリスちゃんは俺の腕を生やしてくれたんだ~。割安で! 金を出してくれたリーダーとみんなにも感謝してるけど、アリスちゃんには頭が上げられねぇよ」


「ああ、アリスはそういう所があるよなぁ。ジャスパーでもな、自分を襲って来た盗賊たちの手足を治療してやってたぞ。まあ、自供と引き換えにだが……。それを知ってアリスを<聖女>扱いするヤツが出て来て護衛をしてた俺らは手を焼いたぞ。

 あ、これも美味いぞ、食ってみろ」


「ほんとだ、これもうめぇ! ……聖女? アリスちゃんはすっげぇ優しいけど<聖女>って感じじゃねぇよなぁ? なんつ~か、……母ちゃんみてぇな妹? こんなに可愛くて優しくて料理上手な母ちゃんや妹なら、俺は全力で養うぞ!!」


「あんたわかってるじゃない! そうそう! アリスは時々母親みたいに怖くてしっかりしてるんだけど、所々抜けてるのが心配で可愛いポイントなのよ~!

 あ~、久しぶりのアリスのごはん! 食べられなくなってから毎日が辛かった~!」


 話の内容のほとんどが私の黒エピソードっていうのはどういうことなのかな? 恥ずかしいからやめて欲しい……。


 最初のうちこそ私の恥ずかしいエピソードで盛り上がってくれた皆だけど、お腹がいっぱいになって落ち着いたのか、話題は子供たちを連れての移動における注意点などの洗い出しになっていた。


 ・馬車移動に慣れていない子供たちは乗り物酔いをしやすいだろうから、こまめに休憩を取る必要がある。


 ・魔物や盗賊たちに襲われた場合の子供たちへの対処。または子供たちにどんな行動を求めるか。


 ・長い移動でストレスが溜まらないように遊んであげる為に何が必要か。一か所にまとまってできる遊びにどんな遊びがあるか。


 といった内容だったんだけど、ひとつだけ困ったことがあったんだ。


 それは、野営の際の眠る場所。


 出来たら安全な馬車内で子供たちを寝かせてあげたいんだけど、子供たちが全員横になるにはスペースの問題が出てくる。


 護衛の冒険者たちは馬車内では寝ないで、焚き火の側で夜番かそれぞれが持つテントの中で休むつもりだったらしいけど、それだと❝子守❞に差しさわりが出るので1台の馬車にせめて1人は同乗していて欲しい。そうすると余計にスペースが圧迫されて……。馬車内で横になれない子供たちが増えてしまう。


 どうしたものかと考えて、


「「「ハンモック?」」」


 私の頭に思い浮かんだのは、夏のキャンプのお供<ハンモック>だった。


ありがとうございました!


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― 新着の感想 ―
[一言] >話の内容のほとんどが私の黒エピソードっていうのはどういうことなのかな? 恥ずかしいからやめて欲しい……。  多人数で集まってその辺の話をし出すと、完全に親戚の集まりですわ。  いつまでそ…
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