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お引越し準備 2

 アルバロのパーティーは男性ばかり4人のパーティーで、マルタのパーティーは女性3人男性2人の5人パーティーだった。


 それぞれに、強面で寡黙だけど女性には無条件で優しかったり、露出が多くてお色気ムンムン!なのに武器が拳だったり、大きな体でガハハハッ!と豪快に笑い一見荒っぽく見えるのに、ハクとライムに差し出す手がとても優しかったりと個性が豊かなメンバーだ。共にAランクのパーティーだから強さは折り紙付き!


 共通するのは、誰一人としてハクやライムを軽んじることがなかったこと。小さな子猫(虎だけど)と最弱なスライムである2匹に対して、


「ハクくん、こんにちは! おお、ちっこいな~! こんなにちっこいのにきちんとご主人さまとご主人さまの各種の権利を守っているんだって? 偉いな~!」

「初めまして、ライムちゃん! ……ぷるぷるっ! こんなにぷるぷるでぽよぽよなのに、ご主人さまの為なら迷わずに敵に突っ込んで行くんだって? すごいねっ!」


 それぞれの特性を褒めながら、きちんと挨拶をしてくれる。ついでに優しくなでなでしたりもふもふしながら、とっても満足そうな笑顔でいることだ。


 みんなが可愛いもの好きだということと、アルバロとマルタが事前にどんな風に話してくれていたかが良くわかる一幕だった。


 ただ、


「お初にお目にかかります、アリスさま。リーダーたちからお噂はかねがね伺っております。お会いできて光栄です!」

「お目に掛かれて光栄です、アリスさま。ダビの件、ジャスパーの冒険者たちを代表して改めてお礼申し上げます!」


 ……私に対する態度だけは妙におかしいんだけどね?


 私は駆け出し冒険者で彼らはそれぞれに高ランクのベテラン冒険者。いくら今回は私に関わる依頼を受けているにしても、こんなに遜った対応をされる覚えはない。


 こっちを見てにやにや笑ってるアルバロとマルタ? 彼らにどんな話をしたのか、きちんと聞かせてくれるよね?













<王弟>であるモレーノお父さまと<英雄>と呼ばれるオスカーさんの後見を受けていることを秘密にしている訳ではないけれど、2人の後見を傘に高笑いをするつもりもない。


 だから彼らがそれを理由に緊張を強め、必要以上に私に気を使っていたとわかり思わずアルバロとマルタを睨んでしまったんだけど……。2人が話した訳ではなかったんだ。


 2つのパーティーの依頼人であるマルゴさんと、マルゴさんがアルバロたちに会う時に同席したモレーノお父さまが、


「アタシと亭主(オスカー)の大切な大切な孫娘なんだ。会ったらよろしく伝えておくれ」

「依頼とはいえ、私の愛しい娘に会いに行ける君たちが本当に妬ましいね。……適切な距離感でよろしく頼むよ?」


 ()()()()()()()笑顔で挨拶をしてくれたかららしい。


 でも、ジャスパーからラリマーまでの短くない道中、事情を知っているアルバロとマルタが取りなす機会はいくらでもあっただろうにそれを放置したのはどうしてかな?と思ったら、


「ランクが上がると同時に依頼人の地位もある程度高くなってきてなぁ。最近では依頼人に会うのに緊張ってヤツをあまりしなくなっちまったんだよ。それが今回はガッチガチで面白…、いや、そのアレだ」

「初心に帰る良い機会だと思ってね!」

「そう、それなんだ!」


 ………メンバーの珍しい反応を楽しんでいただけらしい。初心に帰る? そんなのきっと後付けだよね?


 2人とも、イイ性格してるんだから!


 まあ、とりあえず。アルバロとマルタの取りなしで妙な誤解(?)も無事に解けて、護衛兼保父さん&保母さん9人getだよ! マルゴさんとモレーノお父さまに感謝だね♪













 マルゴさんが依頼人になるアルバロ&マルタのパーティと、私が依頼人になるルシアンさんたち&バルさんのパーティ(こっちはまだ予定だけど)。


 ひとつの仕事に複数の依頼人がいると、現場で何かがあった時に混乱する可能性が出てくるかもしれないとハクの提言(うちの仔賢い!)があり、アルバロとマルタのパーティーも私が雇いたいと言ったら、


「いや、俺たちはもうマルゴさんからの依頼の遂行中だから」


 すげなく断られてしまった。


 でも、私が勝手に企画した『ネフ村を活気づかせて1日も早いダンジョン発生を促す!』の為の第一歩である村民増加のための今回のお引越し。


 村長であるマルゴさんと領主であるモレーノお父さまの了承は取ったけど、その為に掛かる費用をモレーノお父さまやマルゴさんに出してもらうのは何かが違う……。そう思いながらアルバロとマルタに視線を向けると、2人が妙にいたずらっぽい表情をしているのに気が付いた。


 そうだよ。短い期間だったけどこの2人は私の護衛兼優秀なマネージャーを務めてくれていたのだから、今回のことだってある程度は想定していたハズ。そう思いながら期待を込めて2人をじっと見つめていると、


「……降参よ! アリスならそう言い出すかもって思って、ちゃんと話を詰めて来たわよ!」


 マルタが先に折れてくれ、「早いな」とでも言いたげに片眉を上げたアルバロに説明を促した。


 私が何も言わずに彼等のパーティーが護衛してくれることを受け入れていたら、ネフ村までの護衛の依頼料をマルゴさんが支払う。


 でも、もしも私が依頼人になることを望んだら。


 ジャスパーからラリマーまでの日当と、ラリマーを出る日までの宿泊費用(上限あり)と食事代(こっちも上限あり)はマルゴさんが支払い、ラリマーからネフ村までの護衛料を私が支払う。


 もちろん、マルゴさんからの依頼は完了手続きをしてから新たに私の依頼を受ける形だ。


 ここまでの話をジャスパーでしっかりと詰めて来てくれるあたり、本当にアルバロとマルタは優秀なマネージャーだよね!


ありがとうございました!

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