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されて嬉しいサプライズ 6

 土地家屋の代金に対する私の抗議はさらりとスルーされてしまい、私の家は総額500万メレ、モレーノお父さまのお屋敷は土地代と家屋の建設費を合わせて1億5千800万メレで落ち着いてしまった。


 私の家の建設費の不足分をマルゴさんとモレーノお父さまが2人で補うつもりにしか思えないんだけど、


(<治癒士>に村に住んで欲しいなら村で家を用意するのが当然なのにゃ! でも、アリスはすぐに永住するわけじゃないから、500万払うくらいでちょうどいいのにゃ! あとはマルゴを信用するのにゃ!)


 と言われて妥協して、


(モレーノは領主なのだから、これから繫栄する予定の領地に初期投資をするだけなのにゃ)


 と言われて納得してしまった。


 人間(わたし)よりも人の心の機微に聡い(ハク)


 ハクのお陰で私は助けられてばかりだ。感謝の気持ちを何で表したらいいんだろうね? やっぱりごはんかなぁ?









 2人とお話していてそれなりの時間が経った頃、いつもなら職員さんが申し訳なさそうに終わりの時間を告げにくるのに今回はそんな様子がない。


 もしかしたらモレーノお父さまが後から追加料金を支払うことになっているのかな? だったら私から話を終わらせた方がいい?と迷い始めていると、マルゴさんが笑いながら、今回の通信費用が500万メレ掛かっていることを教えてくれた。


 びっくりする私にモレーノお父さまは、


「愛しい我が娘とゆっくりと話ができるのだから、500万メレなんて安いものだろう?」


 なんて軽~く笑っているけどね? 500万メレって、私がネフ村で用意してもらう土地家屋と同額なんだよ?


 ……モレーノお父さまの金銭感覚に戦慄を覚えながらも、「次の使用者がいなければ時間は無制限で、次の使用者がいても最低24時間はキープできる。その部屋では飲食も可能で希望すればベッドも用意してくれるよ」と言われて、「えっ! それはお得だっ!」なんて一瞬思ってしまった私も金銭感覚が壊れていたらしいと自覚する。気を付けよう……。












 お互いが離れていた間の出来事やこれからの予定などを話していると、あっという間に時間が過ぎていく。


 私はいくらでも時間の都合が付くけれど、裁判所での仕事に加え、王都への引っ越し準備などが控えているモレーノお父さまや村長なのに村を離れているマルゴさんが暇な訳がない。


 いつ2人に呼び出しが掛かってこの通信が終わってしまってもおかしくはないので、私は以前から心の中で考えていた計画を2人に相談することにした。


 といっても、モレーノお父さまにはすでに了承を得ていたことなので、マルゴさんに相談するだけなんだけど。


 この計画はマルゴさんの負担が大きくて、ダンジョンの発生にも関係しそうなので内心ハラハラしながらの相談だったんだけど、結果は❝是❞。マルゴさんの自信に満ちた「任せておくれ!」の一言がとても頼もしかった。


 すぐ後に、モレーノお父さまに、


「ダンジョンが早く発生したらアリスも早く村に戻るかもしれないのだから、張り切り甲斐があるだろう?」


 とからかうように言われ、少しだけ赤い頬のマルゴさんが、


「……当然ですよ。可愛い孫娘の為に張り切らない婆がいるものですか。ああ、でも忙し過ぎて領主さまのお屋敷には手が回らないかもしれませんねぇ。アリスさんが戻ってくるまでにはモレーノさまのお屋敷もご用意しておきたかったのですが……。ババアは体力がないから色々なことには手が回りきらないかもしれませんが、仕方がないですよねえ?」


 なんて言ってモレーノお父さまに反撃し、お父さまが、


「ふっ……。マルゴ? 私はアリスが絡むことになら、領主権限を乱用することに少しの躊躇いも持たないが、……良いのかな?」


 なんてやり返すのを見ているのが楽しかった。


 ネフ村ではこの2人と❝ご近所さん❞なんだと思うと、ダンジョンの発生が楽しみで仕方がない。もちろん、多忙な身のモレーノお父さまが頻繁にネフ村に来られるとは思っていないけど、それでもたまにはみんなで一緒にごはんを……なんて期待するのは、悪くないよね?










 大好きな2人との会話はどれだけ話しても尽きることはなく、お茶を飲んだりお菓子を食べたりしながらのんびりとおしゃべりを楽しんでいたんだけど、やっぱり多忙なモレーノお父さま。とっても申し訳なさそうなウーゴ隊長の声で楽しい時間は終わりを迎えた。


 お父さまはマルゴさんにそのまま話を続けても良いと言ってくれたんだけど、やっぱり申し訳なさそうな声のウーゴ隊長から「マルゴ殿にも来客が。3時間ほど待たれていますが……」と言われて、通信を終了することに。2人がとっても残念そうにしてくれたので、私はそれだけでなんだか胸の奥が温かくなる気がした。


 ハクとライムがぴったりと側に寄り添ってくれたので、体も暖かかったんだけどね!









 今回の楽しいおしゃべりのお陰で、遠見の水晶がとってもとっても欲しくなってしまった。 


 数が少ないからなかなか手に入らないし、とても高額なものだということはわかっている。でも、いつ見つけても躊躇なく買えるように、いっぱいお金を稼いでおこうと心に決めた。


 がんばって稼いで、貯金、するぞーっ!!


ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言]  ここまで溺愛されると笑うしかねーやね。  ……しかし、ここまで溺愛されるからこそ逆に心配になるのがアイツら。  元村長達。  反モレーノやらなんやら、利害の一致で変に協力して、何かやって…
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