長生きするのに必要なスキルを考えよう 準備開始
メリークリスマス♪
魔物がいっぱいいる世界なら、まずは強くないと生きていけそうにない。
「【身体能力向上】のスキルを付けましょう!」
スキル?
「まだ説明していなかったかしら? 『ビジュー』の生物には【レベル】や【スキル】が存在するの」
【レベル】や【スキル】って、まるでゲームみたい。もしかして【HP】や【MP】もあるのかな?
「あるわよ。そうね、RPGの世界観と似ているかも」
ゲーム、あんまり詳しくないんだけど……。
「大丈夫! 魔物を倒して経験値を溜めてレベルアップ。 スキルを取得・成長させて能力をアップ。
その程度のイメージで問題はないわ」
レベルアップには魔物を倒さないといけないのか……。
「農業に従事するとかなら、戦えなくても大丈夫かな?」
商人とかお店の店員とかも!
「畑の作物を狙って動物や魔物が来るわよ? 運が悪ければ魔物に襲われて、街が壊滅とかも」
期待は打ち砕かれた。 どうあっても、戦闘能力は必須なんだ……。
「地球には魔法は存在してないんだけど、私にも使えるかな?」
「魔法のスキルを取得すれば使えるようになるわ。【魔力操作】と【魔力感知】のスキルを付与しておきましょう。 魔法やスキルを使いたいだけ使えるように、【魔力=MP】も多めにしておきましょうね♪」
【魔法】や【スキル】を使うには【MP】が必要で、魔法を覚えるためには【スキル】を手に入れる必要がある。 覚えておこう。
「食材とかは、地球と一緒?」
状況次第では、野草でもなんでも調理して生き延びなくては。
「そうね、間違って毒物を口にするといけないから、【鑑定】のスキルを付与しておきましょう。ついでに【料理】スキルも」
「基本的な料理ならできるよ?」
弟の流威を育てたのは私だもん。
「【鑑定】スキルと一緒に【料理】スキルを上げておくと、食べたことのない食材でもなんとなく調理法が浮かんだりして、便利よ?」
「ください」
行く先は異世界。 知らない食材なんて怖くて使えない。料理&鑑定スキルは必須だ!
あ、でも、スキルを上げないと調理法は浮かばないのかも。
「スキルは上がったものを貰うことはできないの?」
めいいっぱいの全力に甘えておねだりしてみる。
「授けるスキルが2・3個程度なら、最高レベルのスキルを付与できるんだけど、多くの種類を高レベルでの付与となると、愛凜澄の魂に負荷がかかってしまうわ。
必要そうなスキルを付与しておいて、転移してから高レベルに育てる方が負担が少ないの」
残念だけど、そういうことなら仕方がない。
「怪我をしたら【ポーション】で、病気は【薬】だっけ? 簡単に手に入るの?」
「そうねぇ……。 【回復】スキルもつけておきましょう。低レベルでもある程度の怪我なら『ヒール』で治せるわ。いきなり大きな怪我をしないように気をつけてね? 簡単な病気なら『キュア』で治せるわよ」
おおっ、医者いらず。
「【薬師】スキルもつけておきましょう。 素材があれば『ポーション』や『薬』を作れるようになるわ」
回復スキルと回復薬を作れるスキル? 重ならないスキルを貰った方が良いんじゃないかな?
「回復スキルを使うには魔力=MPを使うことになるから、MPを温存したい時にポーションを持っていると便利よ?」
そういうものか。
「あと、ポーションも薬も売れるわよ」
「ください!」
お金大事。楽しく生きてくのにお金は必須!
「あ、お金。 貨幣は地球と同じ? 紙幣と硬貨? クレジットカードみたいなものとかは?」
「貨幣は『硬貨』だけで、紙幣はないわ。クレジットカードの様なものもないわね」
「だったら大金になると重たくなるね。銀行とかはあるの?」
治安があまり良くないってことだし、泥棒とかスリとか置き引きとか、不安要素がいっぱいある。
「だったら、アイテムボックス……、 いえ、【インベントリ】を付与しておきましょう」
「収納系のスキルだよね。どう違うの?」
「【アイテムボックス】は『ビジュー』では多くの人が持っているスキルね。レベルによって、収納できる容量が変わってくるの。 でも、愛凜澄には容量に制限が無く、時間経過もない【インベントリ】にしておきましょう。
これは愛凜澄だけの特別なスキルよ。新鮮な食材を収納し放題! 入れたアイテムを忘れないようにリスト機能をつけて、リストを見やすいようにソート機能もつけておきましょうね。きっと便利よ♪」
うん、すごく便利そうだ。 お金を落とすこともないだろうし、重い荷物を持って移動する必要もないから、急に魔物に襲われても荷物を失くすことがない。仕事に困ったら配送業なんかもできるかもしれない。
「銀行はないけど、各ギルドが銀行業務をしているわ」
ギルド?
「<冒険者ギルド>とか<商業ギルド>とかね。 職業別の団体、組合のことよ」
お世話になることがあるかもしれない。 覚えておこう。
命を守る手段として身体能力の向上や魔法、回復スキル。 食料調達の手段は鑑定や料理スキル。 資金調達にもなる薬師スキル。 身軽に移動できるインベントリ。 他に何が必要?
「あ、地図。 正確な地図とかは簡単に手に入るの?」
中世ヨーロッパくらいの文化水準なら、正確な地図は作成していないかもしれない。
「地図は各国の防衛上、あまり流通させていないわね。簡単なものなら各ギルドにおいてあるだろうけど、簡単すぎて、どれだけ愛凜澄の役に立つか……。
右も左もわからない異世界に行ってもらうんだもの、【マップ】スキルも付けておきましょうね。これも愛凜澄だけの特別よ♪」
特別スキルが大判振る舞いだよ。ありがたいなぁ!
「ありがとう! 危険な世界でも、なんとか生きていけそうな気がしてきたよ!」
「ふふっ。愛凜澄には長生きして、『ビジュー』を楽しんでもらわないとね♪」
うん、ビジューに『楽しい』を届けるためにも長生きしないと!
ありがとうございました!