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新たなビジュー神像 2

(ビジューさまは何ておっしゃっていたのにゃ?)


 前のビジュー神像を壊した(勝手に断定する)ことを悪びれることなく、ハクが心話を送ってくる。叱られるなんて微塵も思っていない笑顔付きだ。


 確かにビジューは怒っていなかった。というより喜んでいたけどね? でも、


「アリス殿!? しっかりなされよっ! 

 もしや、ビジュー神像を安置する聖なる場所に縁のない女の像を置いたことで神罰が……? 見たところ体には異変はなさそうだが……。 

 ハッ! アリス殿! 私が誰かわかりますか? ここがどこかは? あなた自身のことはきちんと覚えておられるか?」


 おかげで領主(ルクレツィオ)さんから❝神罰❞の心配をされる原因の一端を作ったことは反省して欲しいな!













 ビジュー像が白い光を放ったことは、ここにいる全員が目にしたらしい。


 そして、その瞬間から私の意識がどこかへ行ってしまったことも、全員が目にしていたようだ。


 ちょっとぼ~っとしていただけ。なんて言い訳では納得してもらえないレベルでみんなに心配をかけていたようだけど、本当の事なんて言う訳にもいかないし……。と思っていたら。


(ビジューさまのお言葉をきちんと伝えるのにゃ!)


<神獣(ハク)>❞から要請が入る。


 創造神(ビジュー)の言葉を伝えたりなんかしたら❝聖女認定❞待ったなし!になってしまいそうなので、ハクの要請は却下!と思っていたのに、


(みんなアリスのことをすごく心配していたのにゃ。……ルクレツィオは神罰でこの地が滅ぶ心配もしていたにゃ~)


 と言われて諦めた。もしもの時は私のビジュー像と引き換えに口止めを……。いや、<神獣(ハク)>のことをバラして、神獣(ハク)は静かで自由な環境を好むからハクに嫌われたくなければ黙っていた方が良い。という形で口止めしよう!


 心の中でハクを盾にすることを決めて、ビジューが言っていたことを伝える。



 ・今まで置かれていたビジュー像はビジューとは似ていない。今安置している像がビジューの姿を写し取ったものであること。


 ・自分の像にしっかりと敬愛の念が込められていたのを感じ、喜んでいたこと。


 ・今後、女神像を安置するときに、自分の姿を写し取った像であり邪念が入っていなかったときに限り、制作者への褒美として一度だけ祝福を与える(像を光らせるだけ)こと。


 そして、


 ・教会関係者や治癒士たちを大量に捕縛したことに関して、ビジューは何とも思っていないから、この領地に神罰など落ちないこと



 を言葉を選びながら丁寧に伝えると、みんなは一斉にビジュー像の前に跪き、一心に祈りを捧げ始め……。


 ほぼ同時に祈り終わると今度は、


「やはりアリスさまは聖女さまであられた! ビジューさまより遣わされたアリスさまは、この世の宝だ!」

「聖女……。聖女様だ! ああ、ありがたい、ありがたい……」

「ふふ。やはりアリスさんは聖女であられたか。元々隠しきれてはいなかったが、改めて知らされると感慨深いものだな」

「で今回の件は聖戦、になるのか? ああ、ビジューさま! 私は今後アリス殿、いや、アリスさまの御身をお守りすることをお誓い致します。むろん王家にも至急の報告を」


 ……私を<聖女>と思い込み、喜びを口にする。


 ……もうだめだ。ここから逃げるしかない!とハクとライムを抱きしめると同時に、


「皆の者静まれ!! これより国王陛下よりのご下命を申し渡す!」


 力強い声がみんなの興奮を押さえつけるように響いた。そして、


「この場を出たなら、今後はアリスさまを<聖女>とお呼びすることを禁ずる! 破る者には厳罰が下るぞ!」


 あまりにも、私に都合の良い命令が辺りに響いた。


遅くなってすみません……。

いつもお読みくださって、ありがとうございます!

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