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治癒士ギルド 静かな戦い 7

 お母さんの作ったごはんを幸せそうに食べたジーノ君は、お父さんに優しく頭を撫でられながらゆっくりと眠りに落ちた。


 どこか満足そうに微笑みを浮かべている寝顔を見ながら、私は治療費のことを考える。


 ❝出世払い❞でジーノ君は納得してくれたのに、ご両親が納得してくれなかったからだ。


「今回の治癒士との決別は私のせいだから」と伝えても「今回のことがなかったら治癒士に払っていた治療費だから。アリスさんになら支払わなくていいなんて道理はない」と言われてしまい、「ジーノ君から受け取る約束をしているのを聞いていたでしょ?」と言っても「丈夫な体に生んであげられなかったのは親である自分たちの責任だから、この子が成人するまでの治療費を自分たちが払うのは当然の事」だと言い切られてしまう。


 仕方がないので、ジーノ君のヒール代金は1回5万メレ。これは約束通りジーノ君が大きくなってから支払ってもらい、それでご両親が納得できないのなら、不足分として2人に体で支払ってもらうことを提案した。2人は、


「ヒールが1発5万メレだなんて聞いたこともないわ!?」

「俺たちみたいなのの体にどれだけの値打ちがあるんだ!?」


 と困惑を露わにしたが、商人である私が❝お子さま対象の特別価格❞として料金表に記載している(この後すぐに記載する予定)価格だと言い切り、インベントリから籠いっぱいの野菜をいくつか取り出して、根菜は丁寧に皮を剥いて芽の部分などを取ること、葉茎菜は1枚1枚綺麗に剝がしたうえで1枚1枚を浄化水で丁寧に水洗いしてもらうことを告げ、結構な重労働であることを説明して納得してもらった。


 料理人さんは久しぶりの下働きだと苦笑しながら、奥さまは上衣の袖を腕まくりしながら張り切って浄化水を溜めた桶に向かう。


 面倒な野菜の下処理を2人にお願いできて、今回はとても得をしちゃったな。お釣りの分は私も体で返そう♪


 ハクの、


(洗ったり皮を剥いた状態のものを複製しておけばいいのにゃ)


 という呟きは聞こえないふりをして、私は部屋を移動した。


 1日の【複製】の回数にも限りがあるんだよ? 出来上がったお料理を複製しても、すぐに食べ尽くしちゃうのは誰だったかなぁ?










 ジーノ君が薬師のお薬を飲めたなら、今回のケースに【治癒士】たちの出番はなかった。


 と言っても、彼に嚥下障害があるわけではなく、ただただ❝苦い❞お薬を彼の舌が受け付けないだけのようなので、問題はすぐに解決する。


 日本でも販売されていた<服薬用のゼリー>を用意するだけだから。


 と言っても手持ちに寒天がないので、いつものように<スライム>素材に活躍してもらう。スライム素材を使ってゼリーなどを作っている私にとって、寒天がない事くらい何の問題にもならない。


 ………スライムたちの恨みの声が聞こえた気がしたけど、きっと気のせいだ。


 だって、スライムのライムは気にした様子もなく、楽しそうにハクとじゃれて遊んでいるからね♪


 さ~て。ジーノ君と粉薬の苦手な子供たちの為に、ひとつ、頑張りましょうかね!


ここまでなろうに移し済み

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