信頼と心配が嬉しいから、寝る! つもりだったのに…… 8
この貴重且つおいしいチーズにとても合うワインがインベントリで出番を待っている。欲望のままに取り出すか、理性を総動員して彼らの用件が終わるまで待つべきかと葛藤していることに気が付いたのか、
「そろそろ<オリガミ>の登録についてのお話をさせていただいてもいいですか?」
ラファエルさんが少し慌てたように私の気を引き戻した。
そうだった。このおいしいチーズはその為にハクとライム(と私)が貰ったものだった。
欲望に蓋をするようにほんの少しだけ急ぎ足で隣の部屋へ戻り、チーズを焦がした時の香ばしい香りを記憶の底に封印する。
あ~、危なかった。もう少しで❝仕事で来た人を酒盛りに誘う気ままで自由過ぎる人❞の称号を得る所だったよ。1人苦笑しながら顔を上げると、
「「「……………」」」
「この短時間の間にこれだけのものを? ああ……。やはりとても素晴らしいものですね……!」
彼らを待つ間にハクとライムにおねだりされるままに折った、色々な形の連鶴がいっぱい乗っているテーブルに視線を固定したまま呆けたように口を開けっ放しのネストレさん達と、感激したような声を上げながら思わず、といったように連鶴に手を触れようとするラファエルさんがいた。でも、
「ラファエル殿! 素手で触ってはいけない!」
「痛っ…、これは失礼を」
ラファエルさんの手が鶴を持ちあげる前に、工芸品部門の責任者さんが彼の手を叩いて止めた。
……いや、別に触ってくれてもいいんだけどね? もしも潰れたらまた折れば良いだけだし、そもそも折った私自信が素手で触っている物なのだから、今更、だよ?
ラファエルさんのフォローという訳でもないんだけど、彼の傍に寄り、親鳥1羽の両側に雛鳥が2羽くっ付いている連鶴を落としてあげると、
「なっ! そんなに雑に扱って、千切れてしまったらどうするのですか!?」
「ひいぃぃっ…」
今度は私がラファエルさんに叱られ、工芸品部門の責任者さんに悲鳴をあげられた。
……えっと、これは連鶴の織り方、って言うか切り方を思い出す為に折ったものだから、そんなに気にしなくてもいいんだけどな?
むか~し、流威と一緒に行った<連鶴の折り方教室>。あまりにも久しぶり過ぎて紙の切り方(設計図)があやふやなものがあったから、ハクとライムに強請られるまま、おさらい代わりにいっぱい折っていただけなんだ。だから気にしなくても良いと笑って言えば、4人からじっとりとした目で睨まれる。
………どうしてそんな目で私を見るのかな?
拗ねた気分になって、鶴を指先ではじいてみれば、
「「「「………っ」」」」
今度は声にならない悲鳴が上がる。
………自分で折ったら、これがそんなに貴重なものじゃあないってわかるよね?
さあ、さっさと<折り紙教室>を始めましょ!!
本日もありがとうございました!!
短くてごめんなさい><




