極桃オーク祭り 1
「おかえりっ! 無事に戻ってくれてありがとう!!」
「ああ、ありがとう!」
「ヒヒン!(ありがとうございます!)」
「「「乾杯!」」」
始まりました! 極桃オーク肉祭り♪ とっても賑やかに盛り上がっています!!
と、言いたいところだけど。
バカ騒ぎでこの街一番の宿の評判に傷をつけないよう、ちょっと上品に<ガーデンパーティー>を楽しんでいます。それでも、
「何と甘美な……! 肉がとろける……」
「相変わらずアリスの料理は最高だな! この<串カツ>なんて、いくらでも食えちまうぞ!」
「ああ、ただでさえ美味しいステーキが、このソースを合わせると何とも……」
「オークカツを小さいくしただけの物のようなのに、何とも新鮮な食感です。それにしてもこれらのソースは本当に素晴らしいものですね! ……串カツのソースは始めの一度だけしかつけてはいけないんですよね?」
「さっきアリスが上から掛けるのなら追加OKだって言ってスプーンを置いて行ったぞ」
「それは嬉しい! イザックさんも追いソースを掛けますか?」
大人の男性組には大好評で、
(こんなに素晴らしい料理を、我が戻るまで我慢してくれていたのか? 美しく思いやり深い番を持った我は世界で一番幸せなスレイプニルであるな!)
(主さまのお料理は本当に美味しいですわ! ……あなたと一緒に、主さまのお料理を心から堪能したかっただけですわ。これも美味しいですわよ!)
スレイとニールはすっごく幸せそうに寄り添いながら、料理を味わってくれているし、
(アリス! 串カツをおかわりにゃ!)
(ぼくはほそくきったキャベツをおかわりしたいな! ゴマのソースをいっぱいかけてね!)
ハクとライムからはいつもよりも速いペースでお代わりの催促が入る。
(もう串はそのままでいいから、早くなのにゃ!)
ハクは串を外す時間すら待てないほどのお気に入り具合だ。器用なハクだから、串付きでも問題ないだろうけどね? 一応串を刺さないように気を付けるように一言だけ掛けておく。
今日の主役はもちろんニールとイザック。そしてゲストは総支配人さんと料理長にラファエルさんだ。昨日はいなかったラファエルさんだけど、これからもいろいろとお世話になりたいのでお手紙で誘ってみた。
昨夜作った串カツとソース、胡麻ドレッシング以外はステーキやハンバーグなど定番と言って良いものばかりだけど、みんな喜んで食べてくれているので、よかったよ♪
中庭を使わせてもらっている為、たまに客室の窓が開いて視線を感じることがある。ほとんどのお客さんは私たちを見るとそのまま窓を閉めて放っておいてくれるんだけど、たま~に、宿側のイベントと勘違いをして庭まで出て来てしまう人もいた。
もちろん、私たちの側に来る前に、お手伝い(警備)をしてくれているスタッフさんがお帰り願ってくれているけどね。
だから、最初その人に気がついた時も宿のお客さんとしか思わなかったんだ。
マップで確認しても赤丸は付いていなかったので安心して放置していたら、
「坊ちゃま!」
彼に気がついた総支配人さんが目を真ん丸にして彼に駆け寄った。どうやら知り合いのようだ。
❝坊ちゃま❞と呼ぶにはいささか年嵩のようだけど……、と思っていると、彼も同じように思ったのか、苦笑しながら、
「じい、いつまで私は❝坊ちゃま❞のままなのだ?」
と苦情を口にする。目は優しく笑っているから、一応言ってみただけって感じかな。
どうやら親しい人のようだけど、私たちに遠慮して、
「楽しんでいる所を邪魔して悪かったな。あまりにも良い香りがして引き寄せられてしまったのだ。許せよ」
と言って踵を返そうとするので、慌てて引き留めた。
総支配人さんに用事があってわざわざ来たんだよね? 私たちはただ食事をしているだけだから、お気遣いなくーっ!
❝ぐ~~❞
私が引き留めても遠慮して帰ろうとしていた男性だけど、彼のお腹が私の言葉に反応を返した。
焼いたお肉や揚げたお肉の香りって、食欲をそそるよね~?
「良かったらご一緒に!」
と誘ってみると嬉しそうに笑ってくれたので、ゲスト1名追加です♪
ありがとうございました!




