イザックとニールの帰還 2
どこへ行ってもスレイプニルが人々の注目を集めていたこと。
野営地では近くにテントを張っていた冒険者たちがニール目当てに話しかけてきて、その際イザックの作っていた(お湯を沸かした鍋に乾燥野菜と麺をいれただけ)携帯食に興味を持ち、彼らの狩りの戦利品である魔石との物々交換を申し込んできたこと。
その日の夜に携帯食を味見した冒険者たちが翌朝もイザックの食事の支度を観察していて、お湯を入れてしばらく待つだけでご飯になるアルファ化米や野菜たっぷりスープ、ただの干し肉だと思っていたらお湯で柔らかく戻る煮オークやデザートのドライアップルを見て大騒ぎを始めたこと。
あまりにも携帯食を❝譲ってほしいコール❞がうるさくて、イザックが実力を見せてしまった(?)話や、ニールを譲ってほしいと付き纏って来た商人に対してはニールが貫録を見せて(どんな貫録?)追い払ったことや、ニールを狙って襲って来た不届き者たちを1人と1頭で撃退した話を面白おかしく話してくれた。
「ニールを狙ったヤツらはきっちりと型にはめてやったぞ!」
満面の笑みを浮かべながら話してくれるイザックの目の奥がギラリと光っていたのには気がつかないことにして、ニールを守ってくれたことやお世話をしてくれたことに感謝を伝えると、
「俺もニールに守ってもらってたからお相子だ。アイツのお陰で移動の時間が大幅に短縮できたから間に合ったんだぞ!」
嬉しそうにハクに笑いかけながら、大量の栗を指差した。ついでに「土産だ」と言ってアイテムボックスから籠にいっぱいのトリュフを取り出した。
(イザックは気が利く男なのにゃ~♪)
(ムシがはいっていないかチェックしたあとがある。さすがイザックだね!)
これには2匹も大喜びで、
(イザックへのご褒美は<極桃オーク>なのにゃ!)
明日の朝食は<極桃オーク尽くし>になることが決定した。
疲れた様子のイザックを部屋に泊めたいと宿にお願いすると、あっという間にコネクティングルームにベッドを用意してくれる。
部屋の隅で寝袋を使うつもりだったらしいイザックがハウスキーパーさんに丁寧にお礼を言っているのを聞きながら、翌朝だけスレイとニールをコネクティングルームに呼ぶことを許してもらうにはどうしたらいいかと考えていると、
(賄賂にゃ! ここは賄賂なのにゃ!)
ハクが悪い顔で囁いてくれたので、その案に乗っかることにした。
総支配人さんにアポを申し込むと、すぐに部屋まで来てくれる。
こちらからお願いごとをするのに呼びつけた形になって申し訳ないと思いながら、時間を取ってくれたことのお礼を言うと、
「ニール君が無事に戻られて良かったですな!」
いつの間にかニールの様子を見に行ってくれていたようで、私が厩舎に預けていたごはんを元気に食べていたことを教えてくれた。
ちょうどニールの話が出たので、
❝ニールとイザックの帰還を祝して<極桃オーク祭り>を開きたい。宿の調度品を壊したり傷をつけたりしないと約束するから、明日の朝だけ、ニールとスレイを部屋に呼ばせてもらえないか❞
とお願いすると、さすがに難しい顔で考え込まれた。 賢いスレイとニールなので調度品の心配はしていないが、床が……、と困った顔をしている。
でも、スレイとニールの体重問題は、
(スレイとニールの重さが気になるのなら【浮遊】させておけばいいのにゃ! 長時間は無理だろうけど、ごはんの時間位なら大丈夫なのにゃ!)
自信満々のハクの言葉で解決した。
………【浮遊】スキルってなんのことかな? スレイとニールのスキルにそんなものはなかったハズなんだけど?
ありがとうございました!




