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金策 2

 冒険者ギルドの酒場の隅で、<夜のルーチェ>の面々は他の冒険者たちに囲まれていた。


 彼らが揃って元気に戻ってきたことで、「おまえら本当に生卵を食ったのか?」と依頼の遂行を疑われたり「アリスが治療したんだろ? 生きて帰れてよかったなぁ!」と卵に中ったことを前提に帰還を喜ばれていて、ちょっと笑ってしまう。


 みんなは1人5個の生卵を飲んだんだよ~! その上お腹を壊すことなく元気いっぱいだったんだよ~!


 私は心の中でツッコミながら、彼らを横目に受付に向かった。


 ディアーナに依頼の完了処理をしてもらってから、改めて<夜のルーチェ>のみんなに声を掛ける。


 ❝アリスの扱う生卵ではお腹を壊さない❞と言うみんなに半信半疑で質問を重ねていた冒険者たちまでもが一斉に振り返るのでちょっとだけびっくりしたけど、別に害はないので気にしない。


 リーダーさんが受付で報酬を受け取っている間に、私は彼らから預かっていた獲物を返すことにする。ここで出すには少し量が多いので直接倉庫に行くことにしたんだけど、冒険者(ギャラリー)たちがぞろぞろと付いてくることには少しだけ呆れてしまった。


 私の時もそうだったけど、みんな物見高いよね~? <夜のルーチェ>のメンバーが嫌がることなく嬉しそうに笑っているから、私も気にしないことにするけどね。


 私がインベントリから取り出す獲物を、彼らが渡していたリストと照らし合わせながら確認し始める。と同時に同行していた冒険者(ギャラリー)たちから「それ、全部おまえらのか!?」と声が上がる。


 それに、


「ああ。朝起きたら美味い朝飯が出て来て、狩りをしながら<おやつ>っていう甘味を食って、野営地に戻ったらまた温かくて美味い飯が出て来る。後始末などに時間を取られることもなく【クリーン】でさっぱり汗を流してから休めるんだ。おかげで体調が万全だったせいか夜番もたいして苦にならんかったし、これくらいは当然の結果だな。

 依頼が終わっちまって残念だよ」


 なんて答えるものだから、冒険者たちが私を見る目がとっても怖かった。


 ……私はパーティーを組む気はないからね?


 ❝勧誘❞が始まる前に安全地帯(ディアーナやシルヴァーノさんの側)を求めて受付に急いで戻った。












 ディアーナにサブマスへのアポイントメントをとってもらい、早速売り込みを開始する。


 今回の商材は<水>とポーションを始めとした薬類だ。


 あまり時間を取りたくなかったので、ここで販売実績のある薬類を手っ取り早くお金に変える。量を前回と同じにしておいたので料金も同じ。かなりの時短になった。


 そして腐りにくい<水>は想像以上に飛ぶように売れて、今回の販売用に分けていた分があっという間になくなった。一言❝腐りにくい❞と言うだけであっさりと信じてくれるので、このまま売ってもいいかちょっと躊躇しちゃったよ。


 思わず、確認もせずに買って大丈夫なのかと声を掛けると「今さらあんたを疑う奴なんていないさ」とあっさり言われて、身が引き締まる思いだった。


 この❝信用❞を手放してしまわないように、これからもキッチリとした商売をしないとね!










 解体部門責任者(ライモンド)に極桃オークを預けて急ぎの解体をお願いする。森の中でしっかりと血抜きを済ませて来たので、すぐに取り掛かってもらえた。


「マルゴさんに送る分だから」って伝えると、ものすっごく!気合を入れて手早く解体してくれた。


 ……ちゃんと、頼りになる❝兄弟子❞だって伝えるからちゃんと手元を見て解体してね! ちらちらと私を見ながらアピールするのはやめましょう! ……手元を見ないで解体してたから見ていて怖かったって報告しちゃうよ? 







 ライモンドさんから❝スライス❞はしなくていいのかと残念そうに聞かれたけど、ネフ村までは距離があるから塊のままの方がいい。 


 今日の分は塊で、後日私が使う分をスライスしてもらうつもりだと伝え、ライモンドさんの腕前はきちんとお手紙に書くことを約束するとますます気合が入って、あっという間に解体作業が済んだ。








 さて、次はどこへ行くのがいいかなぁ。

 時間がないから<商業ギルド>へ戻って相談した方がいいかなぁ。


ありがとうございました!

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