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<運び屋>さん 1

 少し離れていただけなのに、なんだか懐かしく感じる<ラリマー>の街。

<水晶>を使った犯罪者チェックを済ませて門を潜ると、

「アリスさん! アリスさんですよね!?」

 見知らぬ男性に呼び止められた。

 マップで確認しても<悪意あり>の色のマークは出ていないけど、誰だろう?


 門を潜ったばかりの所でまるで出迎えるように声を掛けてきた男性。厄介事だと嫌だなぁ…と考えていると、


「えっと……。白い毛並みの可愛い子猫に素直そうなスライム。スレイプニル、は聞いていなかったけど、ミステリアスな黒髪と黒い瞳の色白美少女。聞いていたマントとは違うしレースの付いた服は見えないけど、身長は聞いていた通りの高さだし。子猫とスライムが仲良さそうで、ここまで条件の合う美少女のセットなんてそういるものではない……。


 アリスさん、ですよね? ネフ村のマルゴさん一家と懇意にされている?」


 少しだけ焦ったように記憶を掘り起こしながら人違いではないと確信したようで、改めて私に問いかけてくる。

「ええ、アリスです! あなたはマルゴさんのお知り合いの方ですか!?」


 この男性が何者かはわからないけど、マルゴさんの名前が出たら知らない顔なんてできる訳がない。


 勢い込んで返事をすると、


「はい。俺は<運び屋>のラウルと言います。あなた宛ての荷物を預かって来ました。

 念のために本人確認をさせていただきたいので、マルゴさんの旦那さんから預かっている手紙がまだ手元にあれば見せていただくか、なければこちらの質問に答えてもらえますか?」


 男性はほんの少しだけほっとしたような表情を浮かべた後、私に1枚の紙を渡した。質問用紙だ。


 マルゴ家のメンバーとその名前? →夫のオスカーさんと息子のオースティンさん。 ……元・狸村長の名前はいらないだろう。


 マルゴ家で作ったごはん? →生姜焼きとか炒飯とか。

 おむすびと交換で手に入れたものは何? →焼きたての丸パン!

 ネフ村での宿泊先? →マルゴさんの家のオースティンさんのお部屋。


 オスカーさんからの紹介状はちゃんと持っているけど、せっかくだから質問用紙に答えを埋めていく。❝私とマルゴさんたちしか知らない情報=そのことを知っている彼はマルゴさんの知り合い❞ってことだしね。


 質問に答えを書き込んで返却すると、それをざっと確認したラウルさんは、


「間違いなくアリスさんですね! ああ、良かった! 


 では、預かり物を受け取っていただきたいのですが、ここでは少し人目が有りすぎて……。貴重品なのでアリスさんの宿泊している宿にお邪魔してもいいですか?」


 ほっとした表情で嬉しそうに、でもすぐに困った顔で続けた。


 マルゴさんから預かっている貴重品。 <カモミールティー製造販売>に関する取り決めとかの書類かな? だったら、確かにこんな場所よりも落ち着いたところの方が良いだろう。


 でも、さすがに初対面の人を宿に招待するのは抵抗があるから、ギルドの部屋をお借りしようかな。


 私が留守の間に溜まっているだろうミネルヴァ家で収穫した野菜も引き取らないといけないし、商業ギルドに案内することにした。












「………はっ!?」

「確かにお渡ししましたよ。では、こちらの受け取りにサインと血判をお願いします」


 丁度空きがあったので、商談用の部屋をすぐに一部屋借りることができた。


 疲れていたので何か飲み物でも出そうとインベントリを開くと、同じタイミングでラウルさんもアイテムボックスを開き……。


 出てきたのは、大きな大きな………。冷蔵庫? 


 お届け物って冷蔵庫なの!?  確かに「欲しい」って言ったけど、この街では結構散財しているから、今はまだ買えないよーっ!?


ありがとうございました!

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