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待つ。ひたすらじっと待つ

 辺りに漂う甘~い香りに釣られたのか、


「もう出来たにゃ!?」


 付近の魔物狩りに出ていたハクが、ただいまの挨拶も忘れて熾火に近づく。


「まだだよ~?」


「まだなのにゃ!? 一体いつになったらできるのにゃ~!?」


「もうすぐだよ~。ライムと遊びながら待ってる?」


「……ライムが火に近づいて火傷をしたらかわいそうだから、出来るまでは従魔部屋(ハウス)で休ませておくのにゃ! 僕はまた狩りに行ってくるから、アリスはちゃんとマップで辺りを警戒しておくのにゃ!」


 ソワソワと熾火の周りをぐるぐる回るハクが可愛いな~と思いながら「まだできていない」と伝えると、ハクはがっかりとした様子を隠さずに❝おでかけ宣言❞をする。


 甘い香りがするのに❝おあずけ❞状態なのは辛いらしい。また気を紛らわす為の魔物狩りに出かけてしまった。


 私もじっと1人で待つのは辛いんだけどね? 焼き芋が焼きあがるの。










<夜のルーチェ>が狩りに出かけた後はいつものようにストックのごはん作りに勤しんでいたんだけど、この森に来てからはずっと料理ばかりをしていたので、なんとな~く飽きてしまったんだ。


 それで辺りを警戒しながらぼ~っと空を眺めたり、ハクとライムがじゃれ合っている姿を堪能していたんだけどね。さっきまで近くの木の上で綺麗な声で鳴いていた鳥のいたずらか、私の上に降って来た葉っぱを見てふと閃いたんだ。


 マルゴさんからもらったおいしい❝お芋❞がたくさんあるのに、この世界に来てから<焼き芋>をまだ食べていないってことに!


 お芋さんと葉っぱさえあれば調味料もいらないお手軽オヤツなのに、どうして今まで作ろうと思わなかったのか! 自分を不思議に思いながらも、一度思いつくと食べたくて食べたくて……。


 即、実行に移した。


【ウインドカッター】で周りの木の枝を落とし、ハクとライムが千切るのを手伝ってくれた葉っぱと小枝に【ドライ】を掛ける。ある程度乾燥した葉っぱが集まったら、第一段階の準備OK!


 火を点けて見ると思った以上に勢いよく火が上がってびっくりしたけど、ハクが周囲に炎を通さない結界を張ってくれたから火事の心配はO(ゼロ)だよ♪


 そのまま燃やした火が落ち着いて、熾火になったら第二段階の準備OK!


 ここではアルミホイルに似た素材は見かけなかったので、当然持っていない。だからそのまま灰の中にさつま芋を入れて上から灰をかぶせたら、準備は完了だ!


 あとはただただ焼きあがるのを待つだけなんだけど……。


 初めは何の問題もなかったんだ。 私は他の料理を作っていたし、ハクとライムは少し離れた所で追いかけっこをして遊んでいたから。


 でも、すこ~しずつ香りがしてくると、ライムが興味を持ってしまった。


 いつもなら火には近づかないように気を付けているとっても良い子なのに、炎の上がらない熾火は危険だとは思えなかったのかな?


 近くに寄ってじっと様子を見ていたと思ったら、いきなり変形して体の一部を熾火の中に突っ込もうとしたんだ!


 隣で様子を見ていたハクが体当たりをしてライムを離してくれたから、火傷などの怪我はしなかったけどね?


 見ているこっちの寿命が縮む思いだったよっ!


 その後もそわそわ状態が続いていたライムは、私が目を離している間にふらふらとお芋の状態を見に行っては、その度にハクに止められていた。


 で、とうとう火傷を心配したハク(おにいちゃん)から、従魔部屋(ハウス)での待機を命令されちゃったんだよね。いつも良い子のライムには珍しく。


 ライムがあまりにも近くに寄るものだから、直接の火傷以外にも低温火傷が怖かった私にはそれを止めることはできなかった。


 で、今はひたすらお芋が焼きあがるのを待っている状態なんだけど……。


 ハクまでお出かけしちゃった今、私はとっても、さみしい、かもしれない。


 あ~~っ! 早く焼きあがってくれないかな!!


 ライムとハクの喜ぶ顔を早く見たいよっ!


ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] いや、81話で焼き芋してるでしょう…… 作り方は違うけどそういう書き方じゃないし。
[一言] さつまいもかぁ。 それと卵で簡単に思い付く料理(おやつだけど)は、スイートポテトかなぁ。 黄身を塗って、つや出しするやつ。
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