表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

512/763

公私混同? 歓迎ですが・・・・・・

 公園のベンチに座ってお昼ごはんのサンドイッチを取り出していると、


「アリスちゃん! 探したの!」

「アリスさん! ここにばあちゃんを呼んできてもいいですか?」


 手をつないだ子供たちが駆けて来た。


 息を弾ませ、額に汗を浮かばせている2人は私を探して朝から走り回っていたようだ。 何があったのかと聞いてみると、


「うちの畑の野菜が大きく立派に育っているんです! その上、すっごく甘くておいしくなっているんです! ばあちゃんが『これは今の私たちには毒になるから、売りに出したい。でも、まずはアリスさんに相談を』って言ってて……」


 昨日、ライムの作る肥料を足して整備した畑の作物が見事においしく変身を遂げたらしい。


 ミネルヴァさんが❝味見❞をした結果、「この野菜の味に慣れてしまうと、他の野菜がおいしく食べられなくなる危険がある」と判断をしたようだ。


 子供たちが育ててきた野菜なのだから私に相談をする必要はないと思ったんだけど、作物がおいしくなったのは昨日の<(ライムの)肥料>の成果だと言うことが明白だからか、ミネルヴァさんが気を遣ってくれたようだ。


 子供たちと一緒に卵と野菜のサンドイッチを食べながら少しだけ考えて……。


 私たちはもう一度商業ギルドに戻ることにした。











 商業ギルドに来た理由。それは、


「なんと! そこまで素晴らしい効果のある<肥料>の取り扱いまであるのですか!? ではこの件の担当は私が」

「ネストレさん! ギルドマスターはこんなお使いのような仕事をする立場じゃないでしょ! 誰か、信頼のできる人を紹介してもらえたら十分だから!」


 商人を紹介してもらう為だ。 小さな仕事だから駆け出しで十分。ただ、人間性だけは保証して欲しいのでネストレさんに紹介をお願いしたかったんだけど、話を聞くなり、ネストレさんが自分が直に行くと言い出したので、笑ってしまった。


 今回お願いしたいお仕事は、ミネルヴァ家に行って❝おいしくなった❞作物を適正価格で買い取ったあと、買い取った作物を私(宿)に届けてもらうというものだ。


 手数料などの相場がわからなかったのでラファエルさんに相談に乗ってもらおうと思っていたんだけど、私がギルドに顔を出したとたんに、あれよあれよという間にギルドマスタールームに案内されてしまって今に至る、と。


「アリスさまが関わった物には私もギルドマスターとして関わりを持っていたいと思いまして……。

 で、その作物は全てアリスさまが買い取られるのですか? よろしければ商業ギルドの方で、いや、私個人が買い取らせていただいても……!」


 こんな小さな仕事にどうしてギルドマスターが?と思ったら、ネストレさんの顔に答えが書いてあった。❝子供たちが驚くほどのおいしい野菜を自分も食べてみたい❞と。


 適正価格を割り出す為に❝味見❞は必要な行為だけどね? 随分と可愛らしい公私混同だ。


 でも、おいしい野菜は私も欲しい。 ライムの<栄養>を与えた作物ならなおさらだ。


 だから、今回は全て私の買い取りだと主張すると、とても残念そうにだけど、ネストレさんは諦めてくれた。今回はすぐに動いて欲しいと伝えたことで、商人ではなくてギルドの職員を派遣してくれることになったけど。


 もしかしたら、味見用の野菜の残りを持ち帰る為かな?なんて考えが頭をよぎったことは内緒にしておく。


 ネストレさんがワクワクとした雰囲気を隠そうともしていないから、中らずと雖も遠からずだと思うんだけどね!


ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] この状態、アリスは完全に生きた金の大鉱脈ですな。 そりゃあ万難を排してでも関係を続けたいですわ。 しかも、後ろ盾もあって身元は確か且つ強力で、それを知れる大きな悪い組織は手を出しにくいから…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ