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親孝行? いえいえ、ただのワガママです 1

「これは何とも美しい‥‥‥」

「これがこの<玉子焼き専用フライパン>を使って作ったお菓子‥‥‥。 ああ、何と言う甘美!」

(おかわりにゃ~♪)

(ぼくもおかわり~!)


 今朝のドルチェは<ミルクレープ>。を、商業ギルドでいただいている。


 今日はラファエルさんとギルドマスター(ネストレさん)に相談があって、昨夜の内にアポイントメントを取っておいたんだ。<ミルクレープ>はその為の賄賂(おみやげ)のつもりだったんだけど‥‥‥。


 2人に❝新作❞認定されてレシピ登録することになった。


 今回作ったミルクレープは、クレープ生地とカスタードクリームを交互に重ねただけのシンプルな物。残念だけど生クリームが手に入らなかったんだ。宿(キャロ・ディ・ルーナ)の料理長に聞いたところこの街(この世界かも)には遠心分離機がないらしいので、この世界にはまだないのかもしれない。残念だけど仕方がないよね。


 でも、2人にはカスタードバージョンだけでも十分に楽しんでもらえたので、掴みはOK!かな? この後の相談がしやすいように、丁寧にミルクレープの説明をする。


 カスタードクリームは前回<ドルチェピッツァ>を登録した時と同じレシピなので、省略。


 クレープ生地の作り方を簡単に説明したら、玉子焼き専用フライパンを使って生地を薄く焼き、後は交互に重ねるだけのものなのでレシピ自体は簡単なものだ。


 生地を焼くのは鉄板や普通のフライパンで十分なこともちゃんと説明したし、薄くカットした果物を挟んでもおいしいと説明しておいたし、ついでに何種類かのクレープも作っておいたので、後はレシピ班員たちが上手にアレンジしてくれるだろう。


 いつもならモレーノお父さまの領地であるジャスパー支部の登録にするんだけど、今回はこの(ラリマー)での登録にしてもらった。 ネストレさんにもいつもお世話になっているからね。


 モレーノお父さまには少し申し訳ないけど、今後のことを考えると、ラリマー(ここ)の土地にも利益を置いておいた方がいいと思ったんだ。


 お父さまと<水晶>を使ってお話した時も、「旅先でまで私に気を遣うことはない。アリスが作ったレシピは君の権利だ。君の自由に」と言ってくれていたしね。


 でも、その代わり。


「…………この芸術品に見える紐は、実用品なのですか!?」

「ああ、確かになかなかの強度ですね。ですが、それ以上にとても美しい……!」


<組紐>はジャスパー支部での登録にしてもらった。しかも<占有登録>だ。利益はお父さまの領地にしか落ちないようになってしまうが、


「これがヴェルの糸で編んだもの。こちらがアラクネーの糸で編んだものですね? なんと美しく素晴らしいものなのだ……! ラファエル殿!!」


「ええ。ジャスパーの管轄でしか生産はされませんが販売は自由とのこと。 ラリマー支部を優先することを約束しましょう」


「おおっ! では早速契約を……」


 優秀な2人の商売人さんたちはさっさと折り合いを付けて握手を交わしているから、なんの問題もなさそうだ。


 私の組んだ紐を返してもらいながら、<組紐用円盤>の作り方と<組紐>の組み方を説明し、ついでに実演して見せてから、これからヴァレンテ君に作ってもらう予定の<丸台>などの説明や組紐を使った髪飾り、ブレスレットやアンクレット。剣の房飾りなどを詳しく説明する。


 これら全てをきちんと登録して、期間内は誰にも真似をできないように権利を守ってもらう為に、できるだけ細かく説明をし、思いつく限りの使い道を挙げていると、


「アリスさんがこれほど熱心なのは、こういった理由で……」


「ほうほう……。なんと! わかりました。我がギルドにも協力させてください!」


 熱心な商売人さんたちがこそこそと短いお話を始め、なぜか硬い握手を交わし、


「「この件に関して、我々はどんな協力も惜しみません!!」」


 と応援まで初めてくれる。


 ………私、そんなに意気込んでいたっけ?


 静かに様子を見ていたハクとライムに笑われたのは、なぜかなぁ?


 あとで聞いてみよう。


ありがとうございました!

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