あると信じていたよ! コメの・・・・・・
「へえ…。アリスさんとルシアンのマントはお揃いだったんだな」
「え?」
【クリーン】で綺麗になった自分たちを見ながら、マッシモが気づいて面白そうに笑う。
私のマントはルシアンさんお手製の物を譲ってもらったものだから、ルシアンさんが同じ素材を使ってマントを自作したら当然❝お揃い❞になる。私には当然のことだったんだけど、ルシアンさんは意外そうに目を見開き、自分のマントと私のマントを見比べた。
うん、お揃いだよね?
どうしたのかなぁ?と思いながら見ていると、ルシアンさんは1つ頷き、
「アリスさんのマントは新しく手に入れたものだと思っていたよ。まだ使ってくれていたんだな」
照れ臭そうに笑った。
ルシアンさんからもらったホーンラビットのマントは【クリーン】でくすみが取れてふわふわに、パラサイトツリーのマントは生壁色だった木の皮の色が綺麗な胡桃色になっていたので気がつかなかったようだ。
でも、自分のマントも同じように綺麗になったのを見て、私の羽織っているマントが自分の作った物だと気がついたらしく、とても嬉しそうに笑っている。
せっかくもらったマントだもん。大事にするのは当たり前だよね!
このマントのお陰で街中でも着物ドレスが目立つことなく、移動中も野営時もとても助かっていると改めてお礼言う。
このマントは、ライムが従魔部屋に出入りする時もとっても助かっているんだよ♪
護衛依頼の詳しい打ち合わせをすませ、マッシモに❝家族分❞の<ミルクフォンデュセット>を渡すと、マッシモはとても嬉しそうに目を輝かせた。
マッシモが❝ご近所さん❞だった彼らのことを自分の❝家族❞として大切にしていると聞いて嬉しかったので(ルイーザさんとの結婚は考えているらしい)、家族みんなで楽しめるようにミルクフォンデュを選んだんだ。具材も色んな種類を用意していたので、多少は好き嫌いがあっても、きっと楽しく食べてもらえるハズ。……チーズが苦手な人がいることを考えて保険にから揚げもつけておいたから、きっと大丈夫なハズ!
嬉しそうに急いで家へと走るマッシモを見送って、ルシアンさんを振り返る。
さて、ルシアンさん(とハクとライム)の晩ごはんは何にしようかな?
お腹が空いた! ガッツリとしたものが食べたい!というルシアンさんのリクエストに応え、テーブルの上にはオークカツ丼(卵とじバージョン)と野菜炒めとから揚げと果肉ゴロゴロのゼリーを出してみた。
嬉しそうな表情を見て不服はなさそうだと安心しながら酒場のテーブルチャージ料代わりの飲み物を選んでいると、満面の笑顔を浮かべたマスターが黒いビンとグラスを手に近づいて来る。
「味が気に入って仕入れた酒なんだが、なかなか飲んでくれるヤツがいなくてなぁ。 アリス、どうだ試してみないか? 1杯10,000メレだ」
何かと思えば、売れ残りを押し付けにきたらしい。1杯10,000メレもするなら売れ残るのも納得だよね!
ルシアンさんが「俺はこの後護衛依頼が入っているから水でいい。アリスさんは好きにしてくれ」と言うので、ルシアンさんの分は私のフレーバーウォーターを出すことを条件に、1杯だけ購入することにする。
10,000メレは高いけど、マスターが❝味が気に入って仕入れた❞と言っているんだから今回は特別だ。マッシモがごはんを食べ終わってから戻ってくるまでの間、テーブルを占拠するつもりだしね。
サービスのつもりで頼んでみたお酒だったんだけど、注いでもらったお酒を見て驚いた。
色はほぼ透明。一瞬水のようにも見えるその液体は、
「お酒……?」
「ここは酒場だからな」
マスターは酒なのは当然だろう?という顔で答えるけど、そうじゃない。
私は急いでお金を払い、一口飲んでみる。
! 間違いない!! これはお米から作るお酒。別名<日本酒>だ!
米が流通していて、醤油があることを知った時、もしかして?とは思っていたけど……。
やっぱりあったよ! 米の酒!!
懐かしさのあまり、グラスの中身を一息で飲み干して、……むせ込んでしまったことは気にしてくれなくていいからね!
ありがとうございました!




