表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

440/763

断罪 2

「なによ、あんたたち?」


 突然ギャラリーの中から進み出た2人(とその仲間?)に、ビーチェとフランカの元パーティーメンバーの2人は訝し気な視線を送る。ギャラリーの中からも「アイツらがアリスと一緒にいる所を見たことないぞ? どういう関係だ?」という疑問の声が上がるのを聞いて、思わず私も頷いてしまった。


「おいおい、アリスさんは俺たちのことを忘れちまったのか? スフェーンの森で助けてもらったパーティーだよ」


 不思議顔で男性を見ている私に気が付いたらしく、男性は驚いた顔をしながら説明をしてくれる。……私への説明というには大きすぎる声量で。


「俺たちが劣勢でもうヤバいって時に通りがかったアリスさんが加勢してくれて俺たちは助かった。 戦いの後、アイツが重症を負って死にかけていたら回復魔法を売ってくれただろ? えっと……、現地価格で……」


 彼が仲間たちを指差しながら説明をしてくれるのを聞いて、やっと思い出した。 彼に指を指されて私に手を振ってくれている彼女は魔物に犯されかけていた女性で、彼女の肩を抱いて笑っているのが重傷を負っていた男性だ。重傷を負っていた彼が「あなたの治療のお陰でここにいられます」と笑って頭を下げてくれたので、私も「皆さんが無事に戻って来ていてよかった」と微笑んで見せた。


 でも、それすらもビーチェの攻撃材料になるようで、


「助けられたって言っても無料じゃなかったんでしょ? それは回復魔法を売りつけられただけでよ。しかも()()()()で! その女は相手の弱みに付け込んで、高い報酬をふっかける意地汚い女なの。 

 今回だって、フランカの髪飾りに目がくらんで手紙を偽造したんじゃないの!?」


 と声を荒げ、その隣ではヤツらが揃って首を大きく縦に振って同意を示していた。


 ❝相手の弱みに付け込んで高い報酬を受け取る女❞に異論はないけど、❝フランカの手紙を偽造❞と言われては黙っていられない! 私が反論を口にしようとすると、


「おまえは本当に冒険者ギルドの職員なのか? ソロの冒険者が遠征先で【リカバー】のように魔力消費の高い魔法を使うことがどれほど危険な行為かわからないのか? その後に遭遇する魔物を攻撃するための魔力が減っちまうってことなんだ、割高になって当然だろう?

 それにリーダーは❝現地価格❞と言ったが、ふっかけられたとは言ってないぞ」


 先に重症だった男性が反論してくれた。 


「アリスさんは……、適正価格にほんの少しだけ色を付けた金額しか受け取ってくれなかった。 

 その髪飾りがどれほど高価な物かは知らないが、アリスさんは金に目が眩んで卑劣なことをするような人じゃないと思うぞ!」


 とリーダーも追撃してくれる。


 ……お金のことになると、ちょっと言い難そうだけどね。あの時の約束を守って❝格安❞だって言わないでくれていることに感謝する。


 彼らの説明を聞いて、ギャラリーの中から、


「そうだ! アリスちゃんは治療で暴利を取ったりしねぇぞ! アリスちゃんに絡んで腕を切り飛ばされた俺の治療費だって、適正……っていうより少し安かったしなっ!」


 バルトロメーオさんが立ち上がってくれた。 ……経緯はどうあれ、治療の前に腕を切り飛ばした身としては、高い治療費を払わせたことに少し気まずかったりするけどね。でも、そう言ってくれるのは素直に嬉しい。


 それでもビーチェたちは言い逃れることを諦めず、


「だったらどうしてフランカが死んでるんだ? フランカに手紙なんて書ける余裕があったなら、その女がフランカを助けることもできただろう!?  ああ、フランカが【リカバー】代を払えないからって見殺しにしたのか! 助けてやるって騙して手紙を書かせた上で、邪魔なフランカを殺したんだな!」


 男が❝これが真実だ!❞とばかりに声高に言い放ち私をせせら笑う。 


 こんなヤツらのせいでフランカは死ななくてはならなくなったんだ。 とフランカの最期が思い出されて悔しさに唇を噛みしめると、


「フランカを死に追いやったのはお前たちだ! アリスは絶対に!フランカに非道なことをしていない! 私の冒険者生命を賭けて誓ってやる!」


 メラーニアが鋭い声を上げて男を睨みつけ、


「私も! 私もギルド職員生命を賭けて、アリスさんの潔白を誓います!!」


 それまでサブマスの隣で議事録を作成していたイルマまでもが声をあげてくれた。


「こら、おまえはまだ中立の立場だろうが」


 サブマスが呆れたように言ってイルマを小突いているけど、目元が笑っているから大丈夫だろう。


 私を擁護してくれる人たちを見てビーチェたちが眉をしかめたり唇を噛みしめているけど、ビーチェたちを擁護する声はあがらない。


 顔色を悪くするビーチェを睨みながら、


「知っているヤツもいるとは思うが、私はAランクのメラーニア。 今回の件で、現場を検証しに行ったうちの1人だ」


 メラーニアは大きな声で話し始めた。


ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 断罪ってことは最後は断罪の水晶を使うってことかな。 自分としてはこの二人は裁かれるの決定済みと思ってるのでそれよりビーチェが気になるわ。 今だになぜクビにしないのかとか裏で何か色々と関わって…
[一言] まさに日頃の行いですねぇ。双方とも。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ