街歩き4日目 6
いつもお読みくださってありがとうございます。
体調を崩してしまったので、今回は短くなってしまいました。
次回は長いお話にできるように、体調管理に努めます。
更新を期待してくださっていた読者さまには申し訳なく……。すみません。
1軒目に行った古着屋さんの5倍はありそうな店内を、店員さんの存在を視界から外すようにしながら一周してみた結果。
お店の入り口付近が普段使い用の服(ディアーナに言わせるとお出かけ用)を置いているスペースになり、奥に行くほど高級な服、ドレスなどを置いているコーナーになっている。ディアーナによるとレディ・メイドとしては高級な部類に入るらしい店内は清潔感にあふれる明るい店内だった。でも、
「このブラウス可愛い! ああ、でも少し色が暗いかなぁ…」
「うん。ディアーナにはもっと明るい色の方が似合うかも。デザインは素敵なんだけどねぇ」
「このスカートは色とラインがとっても綺麗! アリスに似合いそう! でも……」
「うん、こっちの生地でそのデザインだったら即買いだったかも!」
なんとなく相性が良くないらしく、私たちにはどこか1つ物足りない物ばかりだった。 でも、お値段はなかなかのものなので、妥協するにはちょっとためらいが出てしまう。
他のお店も回ってみようとディアーナに提案していると、
「お嬢さまはお目が高くていらっしゃいますね。よろしければ、父の店を紹介させていただけませんか?」
奥から出てきた男性が、にこやかな笑みを浮かべながら話しかけてきた。
……お店の商品を貶してしまった私たちとしては少しだけ気まずいものがあったんだけど、店主らしい男性は、
「ああ、そのようなお顔をなさらないでください。お客さま方がお褒めくださった服は私がデザインしたものです。予算や材料の関係上、お客さま方にはご満足いただけませんでしたが、私はデザインを褒めていただけただけでとても嬉しいのですよ」
にこやかな笑みを崩すことなく話し続ける。
紹介してくれようとしている店長のお父さまのお店はオートクチュールのお店で、普段はドレスの注文ばかりを受けているせいか、たまには普段使いの服も作りたいと言っている人らしい。
「私のデザインをお気に召してくださるのなら、父のデザインもお客さま方のお気に召すと思います。父の店なら布のストックもじゅうぶんですから、よろしければお立ち寄りくださいませんか?」
……息子さんがお父さまのお店を紹介してくれるのはこれで何軒目だろう? この街の職人さんたちは、親子仲が円満の様で微笑ましい限りだけど……、
「とても失礼ですが、……仲介料が発生します」
私の疑問をディアーナがあっさりと聞いてくれた。こんなに熱心に勧められると、やっぱり何かを疑っちゃうよね?
店長さんはディアーナの質問に一瞬だけびっくりした顔をするけど、すぐに破顔して、あっさりと頷いた。
「ええ。実は…。 父の気に入りそうな仕事を紹介すると布を回してもらえるのです」
「!! ……ぶっちゃけましたね? でも、アリスさんがそのお店で服を作るとは約束できませんが?」
ディアーナもだけど、私も驚いた。 本当に、随分とあっさりと内情をばらしてくれるな……。
目を丸くして店長さんを見ると、店長さんは悪びれることなく私を…、私の着ているキモノを見ながら、
「お客さまのお召しになっていらっしゃるドレスを一目見るだけでも、私たちにとっては大きな刺激になるのです。どうでしょう? 私の店を助けるつもりで父の店に足を運んでいただけませんか?」
と満面の笑みを見せた。
……図々しいとは思うけど、なんだか憎めないなぁ。
私は行ってもいいよ?とディアーナに視線を送ると、ディアーナは、
「あの服、少しお安くなったりします?」
先ほど見ていたブラウスを指差した。色が少し暗いから却下したものなんだけど、
「仕事着にするなら、あのくらいの色の方が良いかと思って」
と言いながら、ブラウスを取りに向かった。そういうことなら協力しよう。割り引いてくれるなら、お父さまのお店に行くよ?の思いを込めて微笑みかけると、
「では、半額で」
あっさりと交渉が成立する。
……どれだけ、私たちを紹介したいんだろうね!?




