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極桃オークの試食会 2

 ・アペリティーヴォ = ジャスパーの酒場で買ったお手頃価格の赤ワインか白ワインをお好みで

 ・アンティパスト = ラフトマトを使用したカプレーゼ

 ・プリモピアット(変則) = オークの生姜焼き & オーク肉のハンバーグ目玉焼き乗せ 

 ・セコンドピアット = 極桃オークのステーキをりんごのソースで   

 ・コントルノ = たまごたっぷりのポテトサラダ

 ・ドルチェ = 極桃のコンポートバニラアイス詰め or りんごのハニーコンポート



 今回は試食会の意味合いが強いので、プリモピアット(いちばんめのおさら)も肉料理という少し変則的なフルコースにしてみた。


 極桃オークのステーキはディアーナとシルヴァーノさんの為に外せなかったし、オークの生姜焼きとハンバーグはライモンドさんの勉強&モチベーション向上の為に外したくなかったからだ。


 うちの仔たち(ハクとライム)はこういった献立にも慣れているけどゲストたちはどう思うだろうと、少しだけ心配だったけど、


「これは細切れにした肉を固めて焼いたのか……」


「うん、ライモンドさんがスライスしてくれたお肉の中で、形の悪かったものを細かくして使ったの。 ね? スライスに失敗しても、お肉は無駄にはならないから安心して。

 生姜焼きに使ったのはマルゴさんがスライスしてくれたお肉よ。火と味が均等に馴染んでるでしょ?」


「ああ。さすがはマルゴ姐さんだ……。 こんなに美味いのは、もちろんアリスさんの腕がいいからだろうが、俺の切った肉を使ってもここまでの味になるのか……?」


 ライモンドさんは、自分が切ったスライス肉がどんな料理になるのかがわかって、一段とやる気をみなぎらせているし、


「「~~~~っ!!」」


 極桃オークのステーキを初めて口にしたディアーナとシルヴァーノさんは、極桃オークのあまりのおいしさに声も出ないようだ。 


 小食のディアーナがぺろりと一皿食べきっている。ハンバーグと生姜焼きはとても残念そうに残して、ライムに食べてもらっていたけどね^^


 凄い勢いであっという間に食べきったシルヴァーノさんにはおかわりを出してあげる。びっくりした顔で❝本当にいいのか?❞とでも言うように私を見たけど、すでにおかわりステーキを食べ始めていたハクとライムに気が付くと、とても嬉しそうにおかわりステーキにナイフを乗せた。


 そして、総支配人さんは一つ一つの料理をゆっくりと味わい、


「<生姜焼き>も<ハンバーグ>も初めて食べる調理方です! なんと見事な!」

「<スフェーンの森の中心部に生息するオークの肉>がこんなに柔らかくなるとは! りんごのソースと喧嘩することなく旨味はそのままで……、いや、旨味もアップして、口の中に広がる肉の甘みが素晴らしい……! 」

「このワインは…? これだけ素晴らしいステーキにも負けていない! どなたの城で作られたものなのかお聞きしても?」


 目をキラキラさせながら、感想を呟いている。 


 ワインはジャスパーの食事会用に用意した赤ワインの残り。 気楽な試食会の場には少し張り込みすぎかな?と思ったんだけど、極桃オークのおいしさを受け止めてくれるのがこの赤ワインしかなかったんだ。


 叙爵して間もない当主が作らせたものとしか知らないので、<ジャスパーにあるモレーノ家御用達の酒屋>で手に入れたワインとだけ答えたら、さっそく手に入れる算段を立て始めた。 この宿のレストランで使いたいらしい。 


 あの時、かなりおまけしてくれた酒屋のご主人へのお返しになったかな~?


 最後の極桃のコンポート(ディアーナとシルヴァーノさんはもう桃は飽きたかもしれないのでりんごも用意したんだけど、2人とも迷わずに桃を選んだ^^)を口にする頃には誰もが黙り込んで、ひたすらスプーンを口に運び、最後のコーヒーを飲み終わってしばらくしてからやっと、夢を見るような顔で深いため息を吐き、ぽつぽつと口を開き始めた。


 黙っていてもみんなの表情(かお)が十分に感想を言ってくれていたから、私は楽しかったけどね。 どんな風に気に入ってくれたかを言葉で教えてもらうと嬉しさが増すから、黙って感想を聞いていた。


 話を進めてくれるのは総支配人さん。さすがの対人スキルで和気藹々とギルド組と意見交換をしている。


 みんなリラックスした顔で楽しそうに笑っていて、そんなみんなを見ているだけで私も楽しい気分だ。


 今は壁際で気配を消している給仕さん達の仕事ぶりを思い返し、改めて部屋を眺め、楽しそうなみんなの笑顔を見てから総支配人さんに視線を向ける。 


 ……良い宿に泊まれて本当に良かったなぁ。 ハクとライムが味見の時よりもおいしそうに食べてくれたのは、みんなとの時間がとても楽しかったからだろう。  


 おいしい極桃オークと楽しい時間でついついワインを飲み過ぎた私は少し酔ってしまっていたようだ。


 みんなを見送った後からの記憶がおぼろげで、気が付くとベッドの上でハクとライムに寄り添われながら眠っていた。


 ………せっかくお風呂付の宿に泊まっているのに、お風呂に入らずに眠ってしまったよ!  


 でも……、楽しい時間を過ごせたからまあ、いいか。  今日はもう少しだけ、眠ってしまおう♪


ありがとうございました!

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