〆はラーメン! ・・・・・・いつかはね!
森の中心部には一段と大きくて甘い実をつける桃の木が群生しているが、森の中では最上位種のアラクネーが巣を張っていて、なかなか採取することができない。
アラクネーがいるお陰で他の弱い魔物たちが寄り付かないので、静けさを好むトレントがこの周囲に集まり、桃が大好物なオークたちは、アラクネーに他の魔物の肉を貢ぐことで桃を分けて貰うという共生関係ができている。
つまり、何が言いたいのかと言うと、
私たちはこの森でも貴重な一番甘い桃をたくさん採取した上に、甘~い桃の実を食べて、その身を甘くしたオーク肉をそれなりの数手に入れた上に、トレント素材までも大量に入手することができたのだ!
その上、
「このいととってもきれいだね~。きらきらでつやつやしてる!」
「これは高く売れるのにゃ♪」
ハクとライムが大喜びするほどに、美しい糸が手に入った。 ……アラクネーと戦うのは精神的に負担が大きいので、これはひたすら【複製】で増やそうと思っている。
「ニールとスレイのお陰だね!」
ニールも無事に雪辱を果たして満足そうだし、そんなニールを見てスレイも嬉しそうなので、今回の狩りは、全てに大満足!な結果になった。
……もう、アラクネーとは遭遇しないと思っていた私は甘かったらしい。
マップでアラクネーを見つけるたびに迂回しようとしたんだけどね。目ざといハクが許してくれなかったんだ……。
そのたびにニールとスレイが活躍してくれたことは、言うまでもないかな。
マップでヴェルを見つけては狩りに走り、ヴェルが私たちに気が付いて糸の攻撃を仕掛ける前に速攻で倒す。
「何匹分くらい集めればいいのか、聞いてくるのを忘れてたね」
「うっかりしていたのにゃ……」
スレイとニールの鞍に使う<ヴェルの綿>。必要な量がわからないし、ヴェルのお腹がからっぽだった時のことを考えて、❝できるだけ多く狩る❞というなんともアバウトな計画を立てた。
その途中で<カープリフォリオ>の群生地を見つけたので、綺麗に咲いている花だけを選んで摘み、インベントリに収納する。
調合に使うんだから、花の美しさは関係ないと思うんだけどね。 種を残す為に、今綺麗に咲いている花だけを摘むことにしたんだ。
これは守銭奴からのアドバイス。 お金よりも森の次世代のことを考えるうちの守護獣は、私の自慢の保護者です♪
空が明るいうちにたくさんのヴェルを狩り、ついでに他の魔物や採取もしながら移動を続け、完全に日が落ちる頃には森の出口にたどり着くことができた。
いくらスレイやニールの足が速くても、このまま戻ったら街の門が閉まっている時間になってしまうので、今日は森の外でゆっくりと野営をすることにする。
2つの大鍋にお湯を入れて、それぞれに血抜き済みのオークの骨とハーピーの骨を入れて火にかける。 しばらくすると特有の臭いが辺りに広がるので、街に戻る前に<出汁>を作ることにしたのは正解だったと思う。
ついでに、椎茸を一度乾燥させてから水で戻すことで、椎茸の出汁もとっておく。
これで料理の幅が広がると喜びながら鍋を見ていると、従魔たちの期待に満ちた視線が私に突き刺さる。 今から料理を作るわけじゃないんだよ? 出汁をとるだけでも朝までかかるからね?
説明を聞いた従魔たちのがっかりとした視線が私の心を抉るけど、中途半端なおいしくない出汁にはしたくない。心を鬼にして、じっくりと骨を煮込んで濃厚な出汁を取ることにした。
下茹でした煮汁を捨てる時には驚いたライムに止められて、本煮の際に玉ねぎ・人参・キャベツ・ニンニク・生姜・りんごを入れた時にはスレイとニールにびっくりされたけど、気にしない。
スキル【世界の理】を使って出汁のことを知っていたハクが訳知り顔で笑っているから、みんなへの説明はハクにお任せして、私は鍋をかき回すことに意識を集中した。
意外と力仕事なんだよね~。骨から出汁をとるの……。
ギルマスがいる時にお願いすればよかったかも!
ありがとうございました!




