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スレイプニル

投稿を再開しました。

心配してくださった皆さま、ありがとうございました!


「うん?」


 乗り合い馬車はそんなにイヤだった? 私はライムのお陰でそれほど辛くなかったけど、ハクには辛かったのかな?


「あの揺れが辛かったのなら、今度からは従魔部屋(ハウス)に入って」

「あいつらの方がアリスよりも高いなんて、おかしいのにゃ!」


「……うん?」


 私にはハクの言っていることが一瞬理解できなかったんだけど、ライムには理解できたらしく「ぷきゅぷきゅ」鳴きながらぽよんぽよん跳ねて同意を表している。


 ライムの同意に力を得たのか、そこからハクは怒涛の勢いで乗合馬車(?)への不満を口にした。


 曰く、


 ・サルとビビアナは依頼料を受け取っての乗車だったのに、お金を払って(負けてもらったけど)乗った私よりも護衛として役に立っていなかった。負けてもらった分を依頼料として考えるなら、報酬の差がありすぎる。


 ・客として乗っていたのに、馬車の護衛のサルたちに絡まれて不愉快だった。


 ・のんびり(?)と野営をしたかったのに、ディエゴ(ぎょしゃ)親子やサルたちが何度も邪魔をするのが煩わしかった。


 ・乗り合わせた客に獲物を安く買い叩こうとされて気分が悪かった。


 ・途中で見かけた魔物を勝手に狩りに行くこともできなくて見逃しにした。悔しい。


 などなど。 ご機嫌に過ごしていたように見えて、なかなかのストレスがかかっていたらしい。


 それを言うなら登録前の私よりも現役Bランクのイザックの方が…と反論しかけて、今はハクのストレスを吐き出させる方が優先だと思って黙っていると、


「あの盗賊たちは乗客も巻き添えにするつもりだったのにゃ。 ペーターたちに怪我がなくて良かったのにゃ……」


 最後の最後に、ポツリと小さく呟くのが聞こえた。


 確かにそうだ。 私たちが乗っていなかったら、あの馬車が盗賊&暗殺者の集団に襲われることはなかった。


「ハクっ!」


 なんだかんだと理由を付けてもハクの優しさは隠せない。嬉しくなった私がハクを両手で包み込み、頬を寄せてすりすりしていると、


「もう、乗車賃なんて無駄金を使わなくて良いのにゃ!」


 慌てたように言い繕う。


 いまさら照れ隠しなんて言っても遅いよ~? 明後日の方向を向いて視線を合わせようとしないハクを、ライムと一緒に気が済むまで構い倒した。











「<スレイ>と<ニール>」


「……安易な上に、両方とも男の名前なのにゃ」


「<すれい>ひびきがかわいいよ~?」


 ハクのプレゼンにライムの後押し、私たちが話をしている間中ずっと顎を地面につけたまま微動だにしない(寝ていたわけではない)2頭の忍耐を評価して、私はスレイプニルたちを従魔にすることを受け入れた。


 後は恒例の名付けの時間なんだけど……。


 どうにも私にはネーミングセンスがないらしくて、頑張って絞り出した名前にハクからのクレームがついてしまった。


 でも、


「きれいな響きの名で、わたくしは気に入りましたわ」

「我はアリスさまのくださった名に異存などない」


 スレイプニル(ほんにん)たちは問題ないようだ。 気を遣って我慢しているのかも?と思ったけど、嬉しそうに互いの名を呼び合っている姿と、突然理解できるようになったスレイプニル語が、2頭が新しい名前を心から受け入れていることを教えてくれた。


 私の提案した名前を彼らが受け入れた瞬間に従魔契約が成立し、私の【言語翻訳】の対象になったらしい。


 話し方から察するに2頭はなかなか気位が高そうだけど、本当にライムと上手く付き合って行けるのかな…? 


 少しだけ不安が残ってしまったけど、どうしても上手くいかない時はスレイプニルたちとお別れすれば済む話だし、少し様子を見ることにしよう。











 ❝ドカッ❞

「邪魔ですわ」


 ❝ドシュッ❞

「無礼である」


 ハクのプレゼン通り、スレイプニルたちは弱い魔物ではなかった。 

 

 タイミングよく近づいて来たゴブリンがいたので戦ってもらったら、ひと蹴り、ひと踏みであっさりと倒してしまったので、これなら十分に戦力になる。


 でも、


「スレイとニールはゴブリンしか倒しちゃダメにゃ」


 あっさりと勝利してご機嫌な2頭に、ハクの厳しいダメ出しが入った。 私も同意見だけどね。


 この調子で倒されてしまうとせっかくの素材にダメージが残るしお肉が傷んでしまう。


 せっかくの勝利に水を差されてショックを受けている2頭にライムが丁寧に説明をしてくれた後、私の所にボアの干し肉をねだりに来た。 


「よくかんでたべてね」


「え? 馬って肉を食べたっけ?」


 干し肉を受け取ったライムがそのまま2頭に持って行ったのでびっくりしたけど、「スレイプニルは魔物にゃ」の一言で納得した。 好物は草や野菜や果物だけど、魔物の肉も食べるしチーズやパンも食べられるらしい。


 ひと掴み分の干し肉を食べながら「まもののにくはありすのてでごちそうになる」とライムに説明された2頭はあっさりと納得し、食材になりそうな魔物を倒す時は頭を狙った攻撃をすると約束してくれた。 


……(ホーン)が素材になる魔物もいるから気を付けてね?


お読みくださってありがとうございました。

体調が回復したので投稿を再開できました。 

感想欄にお見舞いの言葉をくださった読者さま、ご心配くださった皆さま、ありがとうございました!


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