美しすぎる女性は別世界の神でした
「ねぇ、流威は!? 弟の流威はどうなったの?
ここにいないってことは死んでないんだよね!? 無事だったんだよね!?」
どうか、どうか無事でいて欲しい! そう願いながら返事を待ったが、
「あなたと一緒に亡くなったわ」
女神様のふっくらと美しく整った唇から、私の渇望した言葉は出なかった。
「じゃあ、流威はどこ? なぜ、ここには私だけしかいないの?」
「あなたの弟の流威くんは、地球の神の管理する『癒しの庭』で眠っているわ。 次の転生に備えて、魂を休めているの」
流威は『癒しの庭』とやらにいるらしい。じゃあ、私はなぜここに?
「愛凜澄、あなたにはお願いがあって、私の元に来てもらったの」
「あなたは地球の神ではないの?」
「そうよ。私は愛凜澄のいた地球とは、別の次元の世界の神」
別の次元の世界の神……。
「次元はいくつもあるってこと?」
「ええ。 愛凜澄のいた地球に似た世界から、まるで違う世界まで、千差万別。
そして、神も次元ごとに存在しているの。 神によっては、複数の次元を管理していることもあるわね」
パラレルワールドとかそんなヤツかな?
気が付くと、女神様が服を着ていた。 神話とかに出てくるような、ゆったりとした白いドレス。
そして私は、パジャマ。 生きていた頃に着ていたのと同じパジャマを着ている。
「ああ、やっと気がついたのね?
地球から愛凜澄の魂を送って貰う時に、地球の神と共に神力を使って魂の保護をしたのだけど、そのせいか、愛凜澄の反応が妙におっとりとしてしまって…」
現実味のない状況におかれたら、こんなもんだと思うけど…? とりあえずは服を着せてもらったお礼を言わないと。
「パジャマをありがとうございます。落ち着きます」
「そう? それならよかった」
「で、女神様」
「ビジュー」
「え?」
「私はビジュー、というのよ」
「……ビジュー様?」
「ビジュー」
「え?」
もしかして、呼び捨て希望? まさか……。
「わたくしは愛凜澄と、お友達になりたいわ」
そういって、微笑むビジュー様は夢のように麗しくて、
「ビジュー…」
何か裏があるのかも!?と疑いながらも、私の口は女神様の名前を、素直に音にしていた。
ありがとうございました!