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食事会 7

「履物を脱いで寛ぐのは、なかなかに勇気のいる行為であるな?」


「履物を脱ぐ前に、クリーンをかけておけば問題ないかと」


「それでも軍人には辛いやも知れぬ」


「…?」


 モレーノお父さま(かわいいおとうと)との語らいに満足すると、王様は好奇心の塊になった。 宰相さんと2人で質問の嵐だ。


 軍人さんがどうしたのかな?


「ブーツを履きっぱなしだと、特有の足の病気がな…」


 アルバロがこそっと教えてくれたので、やっと思い当たる。 そうか! “足白癬=水虫”だ。


「足白癬……。 キュアで直して、後はドライとクリーンを併用して予防する? ……う~ん、ますますスライムが絶滅の危機かも」


「水虫に対して何か良い方法があるの!?」


 頭を整理しながら呟いていると、意外にもマルタが食いついてきた。


 パーティーのメンバーに水虫に悩んでいる人がいるらしい。 マルタはパーティーハウスで暮らしているから、感染したら大変だな。


「水虫はなかなか治らないし、治ってもまたすぐに掛かってしまうらしくて。 見ていて気の毒だし、冒険者としての活動にも支障がでるの」


 というので、簡単な予防法を説明する。


「100%じゃないけどね? まずは足を清潔に保つことかな。1日1度は足と履物をセットで【クリーン】して、【ドライ】できちんと乾燥させるといいよ。 クリーンの代わりに足を綺麗に洗って、ドライの代わりに足と靴をきっちりと乾かすように言ってあげて。 

 公衆浴場とか、不特定多数の人が靴を脱ぐ場所で裸足になったら、家に戻ってすぐに足を洗いなおすとかも有効かな。ちょっと面倒だけどね。

 治すのは…。 やっぱり【キュア】なのかなぁ?  そこはちょっとわからないんだけど」


 言葉を濁すと、宰相さんが【キュア】で治ることを教えてくれた。 


 軍人さん達が<治癒士>にかけてもらう【キュア】の代金は軍費の中でもそれなりの割合になるらしい。 すぐに予防方法を広めたいと言う宰相さんに、サンダリオギルマスがストップをかける。


 私の方をジッと見つめて、何を言いたいのかは聞かなくてもわかるな。


 頷いて見せると、いつの間に書き込んだのか私の話した予防方法を記した紙を渡されたので、私の知る限りの詳しい情報を書き加えて返すとまた凄い勢いで部屋と飛び出して行った。


 一体何人の冒険者を待機させているんだろう……。


「<登録>がされ次第、買い取らせてもらいます。 これで軍費が縮小できるやも…!」


 と宰相さんが嬉しそうに言っているので、私はまた少しお金持ちになるらしい。 視界の隅でハクとライムが喜んで一緒にころころと転がっているのは見ないことにしておこうかな。


 ギルマスのいない間も話は進み、“変則バイキングスタイル”を詳しく話すことになった。 


 と言っても見たままがほとんどだから、少し補足をするだけだけど。


「ほほう、メニュー表の他にもメイドが見本を持っておるのか。 興味が沸いたらそれを注文して席で待つのだな? なるほど、それならば自分の好きなものだけを好きなだけ食すことが出来るな。 モレーノが気に入るわけだ。

 アリス殿の国では、それが普通の晩餐のスタイルなのか?」


「いいえ。これは、気心が知れた人たちと楽しむ内輪向けのスタイルですね。 格式を重んじる時には不向きですから」


「でしたら、このスタイルを我々が知らないことも納得できますな。 だが、合理的なシステムだ…」


 宰相さんはこのバイキングスタイルが気に入ったらしい。 主催者側からすると楽なシステムだからね~。 出席者の好みを細かく把握しなくてもすむし。


「でも、残ったらどうするの? みんながアリスみたいに高レベルのアイテムボックスを持っているわけじゃないから、もてなしのために多めに作る料理は余るでしょう?」


 マルタの疑問はもっともだ。 日本では余った料理はまず廃棄だけど、この世界ではそんなもったいないことは出来ないだろうし…。


「参加していない部下へのお土産にするとか。 残りと言っても直接手を付けたものじゃないから、あまり地位の高くない人たちなら気を悪くしないで受け取ってくれないかな?

 それでも残ったら、屋敷の使用人たちに頑張って食べてもらおう!」


 さっきの食堂でのフィリップ達の様子だと、きっと大丈夫だと思う。 信頼する仲間が綺麗に取り分けた後の料理だもんね。


 そういえば、なかなかお代わりを言いにこないなぁ? もしかして、遠慮しているのかも!


 バイキング方式についてみんなが色々と意見を交わしている間にちょっと中座して使用人の食堂へ向かうと、料理はほとんどなくなっていた。 残念そうな顔で空になった皿を見ている人たちもいたので、やっぱり足りなかったらしい。


 空のお皿にクリーンをかけてインベントリに仕舞い、おかわりの料理をテーブルいっぱいに出すと、嬉しそうな声があちこちから聞こえる。 大広間に声を掛けに来いって言った私の考えが浅かったな。少しだけ反省して、おまけにクッキーもつけておいた。 


 女性だけでなく、男性の声も混じった歓声を背中に受けながら急いで大広間に戻ると、そこではマルタが水晶に向かって今日のドレスのお披露目をしていた。


 今日の食事会に合わせたドレスは第三妃には不評だったけど、王様たちには意外と好評らしい。


「ダンスのリードがしやすそう」とか、「エスコートするときに裾を踏む心配が少なくなる」とか言っているので、男性には女性とは違った視点での意見があるんだと感心する。


 とても小さい声で、


「女性本来の美しい体のラインがわかるのは嬉しいな」


 とか言ったのが聞こえた気もするけど、聞かなかったことにしてあげる。 


 感謝してね? 王様!


ありがとうございました!

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