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賠償を求める“話し合い” 9  終了! かなぁ…? 多分

「モレーノさま、これをどうぞ」


 ティト裁判官が手にしているのは4枚の誓約書。 王様の介入で賠償の内容に変更ができたので、急ぎ書き直してくれたらしい。


 手早くチェックを済ませたモレーノ裁判官から誓約書を預かり、サインと血判を押してウーゴ隊長に渡すと、ウーゴ隊長は私の血液を舐めているライムをひと撫でしてからレイナルドへ誓約書を渡しに行った。


 今度はレイナルドも素直に……、と言うか幾分慌てた様子で誓約書にサインをして血判を押している。


 ……王様が出てきたらもうごねようがないし、ごねた結果が被害拡大じゃあ、もう、ごねる気にはならないか。


「では、こちらの1通を陛下に提出します。 アリス殿とレイナルド殿が1通ずつで、裁判所に保管分が1通。

 これで今回の賠償に関する話は終了となりますので、この部屋を出たら、レイナルド殿並びに伯爵家の縁者はアリス殿への接触を禁じます。

 ソラルが先日、貴族家の者は裁判官と交わす誓約を守るつもりがないことを教えてくれたので、陛下を証人として締結します。 以上、かいさ」


「モレーノさま! お待ちください!!」


 “解散”と言いかけたモレーノ裁判官の言葉を遮って、レイナルドが立ち上がった。 モレーノ裁判官に待って欲しいって言ってるのなら、私は無関係だよね?  裁判官に会釈だけして出て行こうとすると


「お待ちください! あ、ありす、どの…!」


 私まで呼び止められた。 ……賠償の話がすんだら、これ以上ここにいる必要はないよね? レイナルドの言う事を聞いてやる義理もない。  


 レイナルドはしつこく私の名前を呼んで出入り口を塞ごうとするけど、護衛組に簡単にどかされているし、この扉を出て行けばレイナルドは私に接触してこない! 駆け出したくなる足を騙しながら、ゆっくり出て行こうとすると、


「アリス殿、お待ちいただきたい」


 モレーノ裁判官がとても静かな声で私を呼び止めるのが聞こえた。 モレーノ裁判官が呼ぶなら仕方がないので立ち止まって振り返ると、


「ご紹介させていただきますよ。 その扉を塞ごうとした無礼な男は、この町を治めている領主の息子でレイナルドと言います。 伯爵家の嫡男です」


 にこりとも笑わないでレイナルドを紹介してくれた。 


 …すでに知っている情報ばかりなので、モレーノ裁判官が何を言いたいのかを推測している間にレイナルドが慌てて自己紹介を始める。 と言っても、先ほどのモレーノ裁判官が話してくれたこと以上の情報は入っていないけど。


 何の用かと続きの言葉を待っていると、先に廊下に出たマルタとエミルの話し声が聞こえてきた。


「アリスはどうして立ち止まってるの? さっきまでは無視してたのに」


「モレーノさまに紹介されちまったからだろう。 さっきまでは“自己紹介すらしていない無礼な男が呼び止めてきたけど、相手にする必要はないと判断”って感じじゃないか?

 貴族の世界では、下位の者から上位の者への声がけは非礼だから無視しても良いって聞いたことがある」


「そうなの? じゃあ、アリスは伯爵以上の侯爵か公爵、……王家ってことね」


 !! マルタ! エミル! 待って、それ誤解! 


 慌てて周りを見回すと、皆さんは誰も私を責める気配がない上に私を見て納得したように頷いている…。


 失敗した気がするけど、もう、私が訂正をしても無駄な気がするし、


(アリスはビジュー様の加護を受けていて神獣の僕を従魔にしているんだから、その辺の王よりもずっと偉いのにゃ!)


 ハクがドヤ顔で胸を張るので、このことは一旦棚に上げておくことにした。


 モレーノ裁判官に笑いかけて、レイナルドには、


「アリスです」


 名前を告げるだけにしておく。 仲良くする気もなければ甘い顔をするつもりがないことがちゃんと伝わるかな?











 レイナルドがモレーノ裁判官と私を呼び止めたのは、今回の賠償とは別に私と護衛組にお詫びをさせて欲しいという話で、裁判官にはその証人になって欲しいということだった。 


 私に1千万メレ、護衛組にそれぞれ500万メレを払いたいとのことだったので、早い話が口止め料ってヤツだろう。


 私が“口止め料”を受け取るのは気が進まないな~と思っていたのを護衛組はどう判断したのか、


「コンラートが何の罪もないアリスを疑った時の慰謝料は3千万メレほどだったか?」


「ああ、平民のコンラートからしたら3千万メレは大金だってのに、頑張ったよな」


「それだけ反省の気持ちが強かったんでしょ」


「そうだったな。 家まで売って金を作ろうとしていたな。 やっぱりコンラートはさすがだよな」


 と、遠まわしなイヤミを本人に聞こえるように言っている。 

 

「訂正します。 アリス殿に3,500万メレ、冒険者たちには800万メレを支払いたいと思います」


 …しっかりと聞いていたらしいレイナルドは金額の訂正をしたけど、表情は変わらなかった。 ……腐っても貴族?  


 少しだけ見直したので口止め料を受け取ってあげることにする。 他の賠償金と一緒に口座へ預けてもらうことにしたんだけど、護衛組と従魔たちがほくほく笑顔なのは言うまでもないよね?


ありがとうございました!

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