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有意義なアドバイス

「嬢ちゃん、いいか? 食い(モン)はもっと高く売るんだぞ」


「はい^^」


「嬢ちゃんの丁寧な言葉遣いは聞いていて心地良いが、相手によって使い分けろ。 <冒険者>は舐められたらおしまいだ。必要だと思ったら、ギルドにも、依頼主にも牙を剥け!」


「はい♪」


「<冒険者>になるなら、治療行為にも相応に見合う対価を受け取るんだ。 優しすぎると舐められちまう、世知辛い世の中だからな。 もしも依頼主に舐められると、嬢ちゃんだけじゃねぇ、嬢ちゃんと同レベルや下のレベルのヤツ等が報酬をケチられたり、迷惑を受けることになりかねないんだ。

 いいな? 相手を見て、態度を変えるんだぞ!」


「はい!!」


「嬢ちゃんの作った携帯食は、凄く良い(モン)だ。もしも広めるなら、先に<商業ギルド>に登録をして自分の権利を守るんだ。忘れるんじゃないぞ?」


「はい!」


「世の中にはふざけた野郎がウヨウヨいる。理不尽な目に遭いそうだと判断したら、遠慮なくぶった切っちまえ!」


「はい!!!」


「いやいや! ぶった切るのはダメだから!! 少し痛い目を見せるくらいで止めておこうな!?」


 オスカーさんからのアドバイスを心に刻んでいたら、オースティンさんからダメ出しが入った。でも、もう、頭と心に刻み込んじゃったよ、『ぶった切る』! 殺しさえしなければ、回復魔法で治せるから大丈夫だ。 ふざけた野郎に出会ったら、存分に痛い目を見てもらおう♪


 オスカーさんに向かって満面の笑みで答えると、オスカーさんは満足そうに頭を撫でてくれた。オースティンさんは頭を抱えてしゃがみこんでしまったが、そっとしておいてあげる。悩みの多い年頃なんだろう。


「皆さん、この2日間、とても楽しかったです。 遊んでもらった従魔たちからのプレゼントを受け取ってもらえますか?」


 前もって、2匹と相談しておいたプレゼントを取り出し、『おじちゃん』から順番にポーションを手渡しながら、お礼を言う。 最初は受け取るのを拒否していたけど、ハクとライムが足元にすりすりして、気を引いている間に無理やり持たせた。

 ネフ村までまだ距離があるのに、ポーションを持たずに移動なんてさせられない。


「俺達は遊んでいないぞ」


 オスカーさん親子の前に立つと、オスカーさんがからかうように言うが、強引に手渡した。


「ハクとライムからのプレゼントです。お守り代わりにはなりますよ? 拒否すると、2匹が拗ねます」


 私がそういうと同時に、ハクとライムがオスカーさんの足元でいじけるフリをする。芸達者な仔たちだ。


「ああ、ありがたくもらっておくよ。ありがとうな!」


 2匹の攻撃に負けたオスカーさんは目尻を下げ、屈んで2匹を撫でてくれた。


「嬢ちゃんのお守りは大変だろうが、頑張るんだぞ!」


「んにゃん!」

「ぷきゅう♪」


 お守りとはなんだ!と思ったけど、確かに従魔たちには世話をかけっぱなしだから、仕方がない。


 オースティンさんが何か言いたげだったのでしばらく待ってみたが、何も言わないのでポーションを強引に握らせると、慌てて口を開いた。


「ルシアンの足を治してやれないか?」


 瀕死の自分を治せたならルシアンさんも治るかも、と考えたらしい。黙ったまま静かに微笑むと、


「そうか…。そうだよな。無理を言った…」


 勝手に納得してくれた。


(これも黙ってるにゃ?)


(さぷらいず?)


(村に戻ったときに、嬉しいことはたくさんあった方がいいでしょ?)


 ルシアンさんの足が治ったことは言っても良かったけど、話が長引きそうな予感がしたので黙っておいた。 村に着けばすぐにでもわかる話だし。


 最後にもう一度オスカーさんに向き合って、


「もしものトラブルで村へ帰るのが遅れたときの為に、どうぞ」


 手紙を貰ってから急いで用意できたのは、鍋いっぱいのごはんで作ったアルファ化米だ。持ち運び易いように大ビンに入れてある。


「さっき、俺の言ったことに返事をしていたな? いくらだ?」


「アドバイス通り、相手を見て態度を変えてるんです。 重たいから、早く受け取ってくださいよ」


 にっこりと微笑みながら言うと、溜息を吐きながら受け取ってくれた。 お礼のお礼だ。


「では、皆さん。さようなら! お元気で!!」


「元気でな!」

「本当に、ありがとう!」

「飯、美味かったぞーっ」

「また、どこかで会えたら遊ぼうな!」

「気をつけて行けよ~!」

「にゃん!」

「ぷきゅ!」


 にぎやかな別れの挨拶をして、一斉に歩き始めた。


 さて、進路は北にある町だ。 張り切って行こう♪


ありがとうございました!

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