表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界メイド喫茶にいこう  作者: 仲良むら
3/38

第3話 レストランをメイド喫茶にしようと決めました

今回はシルリーの妹のメリーちゃんが登場します。正統派の可愛い系の女の子です。


 そのレストランは少し大きくて、周りのお店に比べて、外観から良さそうな雰囲気が伝わってきた。


「ただいまー」

「お邪魔しまーす」

 シルリーの後にお店に入った。


「大丈夫だった? お姉ちゃん」

 シルリーより年下だと思う女の子がシルリーに駆け寄ってきた。


 シルリーは二十歳くらい。駆け寄ってきた女の子は十七歳くらいに見える。


 ツインテールで同じようにスリムなスタイル。ピンクのワンピースを着ていて、幼さが残るキュートな顔をしている。


 お姉ちゃんと呼んでたから、きっと妹なんだろうな。キラキラした瞳は似ている。


「全然大丈夫よ、メリー。この妖精使いの走助が結構倒してくれたから」


「そうすけさん?」

 妹のメリーちゃんは俺の顔を見ながら、この人が妖精使いなのって顔をした。


「さっきも言ったけど、俺は妖精使いじゃないから」

「いいじゃない。呼び方なんて」


 さっきまで消えていたリルカが、俺の前に現れた。

 リルカは気分で消えたり、急に現れたりする。呼んだら必ず姿を見せてくれるかいいけど。


「本当に妖精なの?」

 不思議そうにリルカを見つめるメリーちゃん。どうやらファンタジー世界でも珍しいようだ。


「一応人間を護る妖精なんだからね。ジロジロ見ないでくれる?」

「そんなことで怒るなよ」

「怒った。可愛い」


 まるでぬいぐるみを抱きしめるように、メリーちゃんはリルカを抱きしめた。


「ふぎゃー。苦しい、苦しい。ギブ、ギブ」

 リルカは消えてピンチを逃れた。残念そうな表情を浮かべるメリーちゃん。


「お父さん。走助に美味しいご飯作って」

 厨房に行ってシルリーはお父さんにお願いしてくれた。シルリーのお父さんは俺の方に来てくれた。


「娘が一人でも街を護りにいくと言ってきかなくて。一緒に戦ってくれてありがとうございます」

 コック帽を取って、深々と頭を下げた。


「みなさんは逃げなかったんですか?」

「シルリーが一人でも必ずモンスターを倒す。このお店は絶対に護るというので」


「こう見えて冒険者学校では、一番剣術の成績は良かったのよ」


 確かに剣の腕はすごかったし、低級モンスター相手なら、あの数でも何とかなったのかもしれない。


「本当にありがとうございます。シルリーの父ジルクといいます」


 ジルクさんは男性にしてはやや長めの髪、伸ばしたひげなど見た目的には、コックさんには見えないが、娘の心配はかなりしていたようだ。


「腕によりをかけて作ります。何か好きなものはありますか?」


 腕まくりをしながらそう訊かれ、俺は何が食べたいかを考えた。


「ハンバーグ、オムライス、ステーキ」

 思いつくままにメニューを言ってみたが、ここは日本じゃないんだ。この世界にこのメニューがあるのかな?


「わかりました。ハンバーグに、オムライスに、ステーキですね。ステーキならすぐに出来ますよ」


 疑問に思ったけど、あるみたいだった。

 厨房に戻ったジルクさんは、調理に取りかかった。一緒におばさんが調理をする。たぶんお母さんだろうな。


 肉を焼くジューッという音がした。これを聞くと食欲がわいてくる。


「ここに座ってて」

 メリーちゃんは俺の手を引っ張って、カウンター席の真ん中辺りに座るように促した。後ろにはテーブル席が四つほど。


 メリーちゃんも自然に手を繋いで、俺をドキドキさせて、普通の顔してる。

 壁に掛けてある振り子時計を見ると、十二時半頃。この時間でお客さんが誰もいないのか。


「妖精使いなんて格好良いね」

「そんなことないよ。メリーちゃんは可愛いね」

「えへへ。褒められちゃったかな」


「おまちどおさまです」

 ステーキののったお皿が、カウンターに置かれた。


「めっちゃ早いんだけど」

 俺が驚いていると、説明してくれた。

「実は最近お客さんが来なくてね。新しいメニューを考えて作っていたところなんですよ」


「食べて、食べて。絶対美味しいから」

「うん」

 メリーちゃんに急かされ、ナイフでステーキを切った。断面は赤身が残りながらも、肉汁が出てきて、湯気と香りが鼻腔を刺激する。


 カットしたステーキを口に入れると、軟らかい肉が、噛むたびに極上の肉汁を出し、今まで食べたステーキで一番だと思った。


「すごい美味しいです」

「本当ですか?」

 ジルクさんは嬉しそうに、俺を見つめる。


「問題はお客さんが来ないことなのよね」

「お母さん」


 厨房で一緒に調理をしていたおばさんが来た。年齢的には四十代前半だと思うけど、すごく綺麗で、女優さんと言われても不思議じゃない。


「母のユルフィーです」

 お辞儀をしたユルフィーさんに、俺は立ち上がって宣言をした。


「俺に任せてください。このお店を人気のお店にしてみせます」


「変なこと考えてるときの顔になった」

 リルカが出てきて、余計なことを呟いたけど無視する。


「ジルクさん。このお店をメイド喫茶にしませんか?」


「やっぱり」

 リルカが予想通りって顔をしたけど無視して話を進める。


「料理は美味しいです。だけど食べなきゃそれはわかりません」

 俺が熱弁すると、ジルクさんが尋ねた。


「そのメイド喫茶とは何ですか?」

 そもそもここは日本じゃないんだった。日本語が通じるし、日本で食べられるメニューを食べたし、みんな日本人ぽい顔立ちと肌色だから、日本にいる感覚だった。


「女の子がメイド服を着て、接客する喫茶店ですね」

 腕を組んで考えるジルクさん。


「ねえねえ、それって楽しいの?」

「すごく楽しいよ。例えばね、美味しくなるおまじないをかけるの。手でハートマークを作って」


 俺が両手でハートの形を作ると、真似をしてくれた。

「美味しくなーれ、美味しくなーれ。萌え萌えきゅん。これでこのステーキはさらに美味しくなりました」


 俺が左右に身体を揺らすと、メリーちゃんは俺に合わせて身体を揺らしてくれた。


「なんか楽しい」

「メリーには魔法の才能はないでしょ。魔法らしいものは何も出てないし」

 シルリーは冷めた声で言った。


「野暮なこと言わないの」

「シルリーもメイド服着てお給仕するんだから」


「ゆ、勇者のあたしが、メイドになるわけないでしょ!」

「女の子みんなの憧れじゃん」


「メイドになりたいと思ったことなんてないんだからね」

「シルリーはツンデレの才能があるね」

 俺は感動で胸が熱くなってきた。


「ツンデレって何よ?」

「あえて説明しないでおこう。シルリーの才能を潰すことになるから」


「あたしの職業は勇者なんだからね」

 俺は少し考えてから、説得方法を変えてみることにした。


「シルリー。本当に強い勇者には、どうやったらなれるか知ってるかい?」

 落ち着いて話し始めた俺に、さっきまでのとにかく断るスタンスはなくなった。


「毎日修行をして、剣と魔法の腕を磨き、モンスターの知識を蓄え、敵に合わせた戦い方を出来るようになることかしら」

 真剣に考えてから答えるシルリー。


「残念。一般的にはそう考えられているけど、さらにその上をいく方法があるんだ」

「それは何?」

 一歩近づき前のめりになって、興味を示すシルリー。


「メイドさんになることだよ」

「えっ?」


「剣と魔法の修行をするのはいいけど、それよりも俺がいた国に伝わる言葉を教えよう」


 シルリーはつばを飲み込んだ。期待の眼差しが俺の言葉を待っている。少しの間をおいて、その言葉を伝える。


「可愛いは最強」

「は?」

「可愛くってメロメロになったら、敵は戦闘不能状態に近い。そして可愛いの頂点はメイドさんなんだよ」


「よくもそんな」

 リルカが余計なことを喋りそうだったから、口を押さえてポケットにしまった。小さなポケットに無理矢理押し込んだから、口を押さえてるのに変な声が漏れてる。すぐに消えたけど、今邪魔をされなきゃいいや。


「俺のいた世界だと、科学的にいろいろ解明されてきているんだ」

 これは本当。


「だからメイドさんになって最強の勇者になろう」

 これは嘘だけど、シルリーにメイドさんになってもらうための方便。


「わかった。あたしはメイドさんになる。そして最強のメイド勇者になってみせる!」

 拳を突き上げ、やる気満々のシルリー。

メイド喫茶といえば愛込め。めいどりーみんや@ほぉ~むなどでは良くやりますね。

次回はハイテンションで元気な女の子が登場します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ