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異世界メイド喫茶にいこう  作者: 仲良むら
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第2話 美少女勇者シルリー

タイトルを異世界メイド喫茶にいこうに変更しました。

 変身も解けていて、白シャツにデニム、黒のスニーカー。変身前の服になっていた。よく着る定番のコーデだ。


「早く逃げて!」


 慌ただしく人が走っていた。俺は立ち上がりはたいて砂を落としながら、走っている人達を見て、状況をつかめずにいた。


 雰囲気から察するに、向こうの方で何かがあったのは間違いなさそうだ。


 それとは別に気になることがあった。逃げている人達の服が、俺と違いすぎた。いろんな服があって、好きな服を着てていい。


 ただ日本人が普通に着るような服じゃない。ゲームとかアニメで、コスプレをするような服だったからだ。


 正確にいうなら、主人公達冒険者というよりも、街の人っていう感じの服装だった。


 さらに近くにあった家をいくつか見てみると、日本の一戸建てには見えない。いわゆるファンタジー世界の家のように見えた。


「逃げてって言ってるでしょ!」

「えっ?」


 俺だけが逃げずに周りを見ていたため、少女が駆けよってきた。この少女は鎧に身を包み、背中にはマント、腰には剣を差している。


 その少女はいかにもゲームの勇者のような格好をしていた。


 しかもかなり可愛い。力強い瞳で俺を見つめてくるけど、少し見とれてしまった。


「この街にモンスターの大軍が攻めてきてるのよ」

 モンスター?

 アヤカシじゃないのか?


「リルカ」

「はーい」

 俺の前にリルカが現れた。

「妖精?」

「えっ?」


 リルカを見える人間が、俺と剛以外にもいるのかと思い、思わず声を漏らした。


「妖精使いだったのね。それなら少しは戦えるでしょ?」

「う、うん」


 戦う力は持っている。でも彼女が想像しているのとは種類が違うと思う。


「あたしは勇者シルリー。今この街には冒険者はあたししかいないの。お願い。一緒に戦って」

「わかった。俺の名前は走介だ。よろしくな」


 俺は力強く頷き、シルリーの後を走って街の外へ向かった。


 スライムや虎のようなモンスターがほとんどだったが、他にもいろいろ一斉に街に向かっていた。


「妖精よ。目の前の悪を倒すために、聖なる力を。変身」


 隣にいたシルリーは剣を抜いて、俺が白い光に包まれたのに驚きの声をあげる。


「な、何が起きたの?」

 剣を持って決めポーズをする俺。


「妖精戦士エルフィアン」

「銀色のピカピカになった」


 シルリーに目で静かにしてくれと訴えたけど、顔はマスクに覆われていて、目の部分はサングラス的なもので、シルリーには見えないようだ。

 剣を構えたが、モンスター達がビビらない。

「変化の魔法なの?」

 シルリーは大声を上げて騒ぐ。


「いくぞ!」

「うん!」


 俺達はモンスターに向かって走り出した。

 最初に襲ってきたのは虎型のモンスター。シルリーの方に向かっていく。


 動物の虎と違うのは目が真っ赤で、こちらの様子をうかがうというのが全くない。

 食べるために攻撃を仕掛けるというよりも、殺人衝動があるように襲ってくる印象があった。


「えい!」

 シルリーの剣は素早い虎の動きにも俊敏に対応して、虎の横に回り込んで、一撃で首を斬り落とした。


「ガンモード」

 俺は妖精剣を銃の形に変えた。

 ざっと見ただけでも五十匹はいる。剣で一匹ずつ倒すなんて面倒な戦い方はしていられない。


 妖精銃から放たれるリルカのエネルギービームが命中して、近くに迫っていたスライムを倒す。


「魔法使いなの?」

「この妖精リルカのエネルギーを攻撃用エネルギーに変換して、撃つことが出来るんだ」


「なるほど。妖精使いは滅多にいないから、そうやって戦うのね」

「似たようなものだけど、妖精使いじゃないぞ」


 俺は話しながら、あっという間に五匹を倒した。妖精銃で撃つと、モンスター達は溶けるように消えてしまった。


 シルリーは俺の動きを、子供が憧れのヒーローを見る眼差しで見つめている。


「シルリーは戦わないのか?」

「そうだった」


 俺の言葉にハッとして、シルリーは再びモンスターに向かっていく。

 数分後ほとんど俺が倒して、モンスターは全滅した。


「ありがとう、走助」

「これくらいお礼を言われるほどのことじゃないさ」

「わたしのエネルギーが減るんだからね」

 リルカが俺の横に来た。。


「この街に来ている冒険者のほとんどが、近くに生まれた洞窟の攻略に行ってるの」


 剣を鞘に収めながら、俺の方に歩いてくるシルリー。俺も変身を解いて、白シャツとデニム姿に戻った。


「ダンジョンは魔王の力によって、急に作られるの。街や村の人を殺すことで、魔王は力を得るみたいなの」


「魔法か何かで洞窟を作るのか?」

「そうなの。どうやら今日出来たばかりの洞窟があるみたいで、冒険者が別のダンジョンに行った後を見計らって、モンスターの大軍が攻めてきたみたいなの」


「だいたいの流れはわかった」

 ゲームやアニメでよくある異世界ファンタジーだな。ダンジョンが魔王の魔法でうまれるっていうのは知らなかったけど、モンスターが汗水垂らして作るのは考えにくい。


 問題は俺はどうやって、元の世界に帰るかだな。そう思ったときだった。


 ぐ~と俺のお腹が鳴った。

「お腹空いた? 戦ってくれたお礼にうちのレストランに来て」


    ✩    ✩    ✩


 街をキョロキョロしながら歩いていく。荷物を運ぶのに、車ではなく牛車を使っている。

「こっちよ」


 珍しいため牛車を見ていると、シルリーが俺の手をつかんで引っ張った。

「えっ?」


 ドキドキしてシルリーを見つめる。シルリーの手は柔らかくて温かかった。


 二十五にもなって、女の子と付き合ったことのない俺は、幼稚園の頃に女の子と手を繋いだとき以来だ。


「どうしたの?」

 自分でも顔が赤くなっているのがわかる。恥ずかしくなって俯いたけど、シルリーは俺と手を繋いでいるのに普通の状態だ。


 そしてシルリーは勇者の装備をしているにもかかわらず超可愛い。


 大きな瞳はキラキラ輝いているし、胸まである長い髪はサラサラしている。モデル体型のスリムな身体なのに、動きは素早い。


「あたしの顔に何かついてる?」

 可愛くって思わず見つめていたら、そう尋ねられた。


「可愛いから見とれてただけよ」

 リルカの言葉にシルリーが予想外な反応を示した。


「可愛い? あ、あたしは勇者よ。女を捨てたあたしにそんなこと言わないで」

「えっ?」

 俺は思わず驚きの声をあげた。


「勇者として生きると決めた以上、女を捨てる覚悟をしたの。褒めるなら剣の腕を褒められたいの」


 恥ずかしがりながら、繋いでいた手を離して、剣を振り回す。さっきのような華麗な剣裁きはどこかへ消え、子供のチャンバラのような動きになっていた。


「街中で剣を振り回すなよ。危ないだろ」

「そ、そうね」

 赤くなった顔で剣を鞘に収めるシルリー。


「も、もう少し行ったところが、うちのレストランなのよ」

 恥ずかしさを隠すように、大声でまくし立てるシルリー。さっきよりも早足で歩き、少ししたらそのレストランに着いた。

 ヒロインのシルリーと出会いました。次回はシルリーの妹の登場です。妹は正統派の可愛いメイドさんタイプです。

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